深海ガス・油田「大王クジラプロジェクト」、1次試錐の結果「経済性なし」

日本海、韓国近くにある深海ガス・油田開発プロジェクト、いわゆる「大王クジラプロジェクト」。その試錐(ボーリング)結果が出ましたが、予想通り、経済性なしというものでした。実は開発を担当している石油公社が、2日か3日前に「近くの海で別の有望な油田が見つかった」と発表しました。それも、実は今回の大王クジラの結果を事前に知っていたから、急にそんな発表をしたのではないか、という話も出ています。試錐が予定されているポイントはまだいくつか残っていますが、MBCなどによると、構造はどのポイントも似たようなものだとのことです。また、発表当時に本ブログでも取り上げましたが、大統領がバラ色の展望を発表するなど、実は「政治」ではなかったのかという話も出ていますが、東亜日報によると「政府側の人が、政務的な介入があったと話した」とのことで、尹大統領にとっては不利な展開になりました。

関連した株価が急落しているのは言うまでもなく(今朝、ガス公社の株価は15%近く下がりました)、尹大統領に対する批判も強くなっています。一部からはこのプロジェクトの予算が削減されたことが戒厳事態の原因だという話まで出ていましたので、そのことを強調する政治家も増えてきました。たとえば共に民主党のパクジウォン議員は「大王クジラの喧嘩で尹大統領の背中が裂けた」とSNSに投稿しました。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・浦項近くの迎日湾に、莫大な量の石油とガスがある可能性を提起した大王クジラプロジェクトの初試錐(ボーリング)結果、経済性がないことが判明しました。大統領まで直接出て、なぜそんなに急いでバラ色の展望を出したのかという批判があふれています。昨年6月当時、尹錫悦大統領は突然、浦項近くの海に大規模な石油とガスが埋蔵されている可能性が高いと、サプライズ発表をしました。【尹大統領:「韓国全体で使える天然ガス最大29年、石油最大4年を超えている量だと判断されます」】。いわゆる「大王クジラ」を含む7つのポイントから石油・ガス埋蔵量が140億バレルになる、という推定まで出しました。

ところが、大王クジラを試錐した後、公開された結果は全然異なりました。産業部は、ガスの兆候が発見されたが、飽和度が低く、経済性がないと明らかにしました。大王クジラ試錐のためのは再び覆われました。最初の試錐から失敗したわけです。政府が、大いに成功の可能性を膨らませたという指摘が相次ぐと、産業部の上級関係者は「考えられなかった政務的介入があった」として「申し訳ない」と話しました。ただし、残りの6つのポイントに石油・ガスが埋蔵された可能性は残っているとし、海外企業の投資を誘致して試錐探査を続けていくと明らかにしました。しかし、他のポイントも同様の構造という点で、可能性はより低くなりました(MBC)・・>>




<<・・「一次発表は、私たちが考えていなかった政務的な影響が介入される過程で、長官が比喩的に話したことだけが強調され、そうなったわけです」。産業通商資源部の高位関係者は、深海石油・ガス田探査第一次試錐結果、「大王クジラ」プロジェクトと関連して6日、政府世宗庁舎で記者たちと会い、「意図しなかったが、そのような結果が出た部分について申し訳ないと申し上げる」と話した。昨年6月、アンドックン産業部長官が明らかにした「サムスン電子時価総額5倍」の発言などについての質問に対する返事だった。尹大統領が大王クジラプロジェクトを「1号国政ブリーフィング」として発表した点を念頭に置いた発言だという解釈が出ている。尹大統領の介入という「政務的な影響」により、該当省庁が経済性などに対して客観的な判断できなかったではないか、という指摘だ。

尹大統領が直接ブリーフィングした大王クジラプロジェクトが、一次試錐の結果、経済性が低いことが明らかになり、経済的・社会的費用だけを大きくしたのではないかという指摘が出ている。ある与党側の関係者は当時の状況について「大統領室でも『これは失敗の可能性があるため、大統領が発表してはならない。大統領は成功する政策だけ発表しなければならない』という意見を出したが、受け入れられなかった」とし「産業部でも、結果に対する圧迫が相当なもので、客観的判断が難しかっただろう」と伝えた。

大王クジラプロジェクトは経済性論議とともに、政治での対立を育て、ユン大統領が非常戒厳発動した理由とされている予算削減問題にもつながった。共に民主党は昨年の減額予算通過過程で、大王クジラプロジェクトに対して「無理なプロジェクト進行」として予算497億ウォンを削減し、与党「国民の力」は「大韓民国の未来のための予算だ」と反発した(東亜日報)・・>>




 

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