去年12月から始まった、「大統領不在」。いくつかの表現がありますが、個人的には「政治空白」がもっとも適切ではないだろうか、と思っています。なにかの事態とかそういう見方もできますが、結局は「空白」になっているだけですから。そして、その空白の中、ソウル経済の昨日(10日)の記事によると、海外大手からの対韓投資が2ヶ月も「止まった」ままだ、とのことです。記事で挙げているのは、KKR(アメリカの投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ)、GIC(シンガポール政府投資公社)などの事例です。
これらの韓国担当部署(支部など)が、資金を使うためには本社などもっと上から許可を得る必要がありますが、その本社などから「いまは待て」と言われるそうです。事前に予定されていた投資も、いまは保留中で、日本やオーストラリアなどでやればいいだけのプロジェクトもあるので、いろいろ『止まっている』、と。もちろん、去年12月のインパクトはかなりのものでした。しかし、それ「だけ」でしょうか。もし次の大統領選挙の日程などが発表されたとしても、次の政権がどうなるのか。そのほうがもっと重要ではないしょう。以下、<<~>>で引用して、政治空白についてちょっとだけ私見を綴りたいと思います。
<<・・資本市場への影響が2カ月以上続いている。海外の大手による低価格買収の勢いがはっきりしていた物流センター市場において、最近、相当数の投資が中断されているのが、もっともわかりやすい事例となる。特に、企業公開(※新規公開株式、IPO)市場と、コスピ(KOSPI)など上場株式市場でも、グローバル機関の闘心は盛り上がらずにいる。10日、投資銀行(IB、Investment Bank)業界によると、最近シンガポール投資庁(GIC)は「クパン」が賃借する国内のある物流センター投資を暫定中止することにした。カナダのブルックフィールド資産運用も、昨年から推進中だった仁川のある大型物流センターの買収に速度を出さなくなった。IB業界関係者は「国内に進出したグローバル機関の多くは、アジア太平洋本部やグローバル本社から投資承認を得なければ資金の使用ができない仕組み」とし「海外本社は、国内政治を懸念する雰囲気が強く、アジアの他の国家に投資を向けようとする傾向が明白だ」と話した。
GICは、物流センターなど国内不動産市場に最も多い資金を投入した海外大手に挙げられる。コリアーズ(※カナダのコンサルティング会社)によると、GICが国内物流センタープロジェクトに投資していた資金は計3兆1530億ウォン、25件に達する。GICは特に昨年からは国内不動産開発市場で、公売に出てきた資産や不良債権(NPL、Non-Performing Loan)などを低価格に続々買い入れてきた。低金利時代に乗って過剰に進んだ国内の物流センターなど開発資産が、ブリッジローン、プロジェクトファイナンシング(PF)段階で相次いで座礁したからだ。NPL化された資産を、海外の大手は良い買収機会だと認識して投資を続けていたわけだ・・
・・しかし昨年末からは、該当ファンドの投資をしばらく中断するよう、運用会社に相次いで要請している。コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が2年の準備過程を経て昨年下半期、国内に設立を完了した代替投資専門のクリエイト資産運用も、まだ国内で初の投資を行っていない。ある私募ファンド運用会社代表は、「大統領の弾劾、大統領選挙の有無など、不確実な側面が多く、資産市場も影響を受ける可能性があると懸念されている」とし「日本やオーストラリアなどの代替地域も多いため、国内への投資はしばらく保留してもよいと判断されているのだろう」と話した。
このほか、ブラックストーンなど韓国不動産・インフラ市場で着実に投資機会を求めているグローバル機関の投資計画も止まっているという言葉が流れている・・・・企業資金調達先の核心として挙げられる企業公開(IPO)市場でも、海外機関の投資は見当たらない。今年のコスピの最大IPOとされたLG CNSは、今年初め、機関需要予測において、海外投資家からあまり反応がなかった。当時、国内外の機関投資家が2059カ所が需要予測に参加し、114対1の競争率が出てくるなど健闘していたが、外国人投資家の需要予測参加率は約3%にとどまった。ケイバンクは、海外企業説明会(NDR)もきちんと行えず、上場計画をやめることにした。海外大手たちの反応は上場株式市場でも同じだ。取引所によると、昨年12月3日から12月末までに外国人投資家たちは3兆4710億ウォン分を売った。今日までに累積基準売り越し金額も5兆3000億ウォンに達することが分かった(ソウル経済)・・>>
首脳会談関連でも、よく「なぜ米韓電話通話(電話会談)もないのか」という指摘が相次いでいますが、それは空白だから、仕方ないでしょう。引用はしませんが今日のデイリアンの記事によると、すでに外交部は米国側に電話を要請してある、とのことですが・・しかし、それでもいつ電話会談ができるかは未定のままです。2017年にも、トランプ氏が大統領になったとき、韓国はファンギョアン総理による大統領権限代行状態でした。でも、当時はトランプ大統領就任後、約10日で電話会談があった、とのことでして。いまは、権限「代行の代行」ではなく、言葉通りの意味で空白と見られているのでしょう。もちろんユン大統領のこともそうですが、ハンドクス代行(国務総理)まで弾劾したのは、さすがに外国側へあたえる影響が大きかったのでしょう。
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