トランプ大統領が、高い関税、及び非関税障壁(一部は日本もそうですが、FTAを締結している韓国の場合は特にこの言葉に緊張しています)の貿易相手国に相応の関税をかける「相互関税」関連文書に署名しました。読売新聞は、高官の言葉として、「(日本について)比較的低い関税を課しているが、高い構造的障壁がある」と報じています。ただ、朝鮮日報の記事(その1、その2)によると、相互関税が4月あたりから始まること、国によって関税が異なるなどの理由から、「協商をはじめよう」という宣言でもある、という分析も出ているようです。世界各国は時間制限付きのビジネスゲームをはじめないといけないわけでして、政治空白の韓国としては、特に気になるところでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・ドナルド・トランプ米大統領は予告どおり13日、相互関税措置を発表した。トランプはこの日、ホワイトハウスの執務室で記者たちと会って「貿易と関連して公正さという目的のために相互関税をかけることに決めた」とし「米国は他の国々が(米国に)かけるだけの(関税をこちらも)かける」と話した。商務省が4月1日まで国家別の検討を経て差分賦課する予定だ。韓国は米国と自由貿易協定(FTA)が締結されており、ほとんどの商品に関税が撤廃された状態だが、トランプが非関税障壁や為替レートなども検討していると明らかにし、韓国も無差別相互関税の対象国に含まれる可能性がある。昨年韓国の対米貿易黒字額は557億ドルで、米国の立場から見ると8番目に赤字規模が大きかった。
トランプはこの日「台湾が米国で半導体産業をもっていった」とし「韓国で少し生産されるが、大部分が台湾産だ。今すぐ米国で半導体チップを生産しなければならない」と述べた。また「自動車関税もすぐに発表することになるだろう」と話した。ハワード・ラトニック商務長官指名者はこの日、相手国の関税障壁と非関税障壁を検討し、国別に異なる関税率を導出することを示唆した。彼は「我々は各国別に一対一で扱うだろう」とし「4月1日までは調査がすべて完了しなければならないと考える。4月2日には大統領が(措置を)始められるように結果を渡す予定だ」と話した。ホワイトハウスの上級当局者は、同日、トランプの相互関税関連覚書の署名に先立ち進めたブリーフィングで、「関税・非関税障壁、補助金と負担のある規制要件を含め、不公正なまたは問題のある措置、政策や慣行のため、米国企業・労働者・消費者にもたらす費用も評価対象となるだろう」と述べた。これには、通貨価値を人為的に下げる為替レート政策、米国貿易代表部(USTR)が不公正だと判断した他のその他の慣行なども含まれる。
この当局者は「中国共産党(CCP)のような戦略的競争者でも、欧州連合(EU)や日本、韓国のような同盟でも関係なく、すべての国が異なる方法で米国を利用している」とし「(米国より)より高い関税をかけたり、より高い非関税障壁を立てながら、今後も今までと同じように扱われることを期待してはならないだろう。引き続き相互関税の視点で「非常に迅速に動いている」とし「数ヶ月かかることはないだろう」と話した。商務省は米国の貿易赤字規模が大きい国から覗く方針だという。ただ、「私たちは世界の国々と対話することを望む」「大統領は、各国が関税を下げるなら、こちらも関税を下げる意向が十分だ」と話し、交渉の可能性を示唆した。ブルームバーグは「(相互関税)を直ちに施行しないのは、交渉を始めようという『公開入札』と見ることができる」とした(記事1)・・>>
<<・・ホ・ユン西江大教授は「米国は(※FTAを締結していても))「韓国の各種規制によって輸出があまりできないでいる」という式で主張し、これを金額に換算して関税をかけることもできる」と話した。ジョソンデ韓国貿易協会通常研究室長は「相互関税は法で定められた概念ではないため、米国が一方的に「これが相互関税だ」と言えば、他の国々はそう理解しなければならない状況」と話した。米国現地でも同様の分析が出ている。米ウォールストリートジャーナル(WSJ)は12日、「トランプの相互関税計画は単に他の国の関税と同様に合わせることを超えて、付加価値税、政府補助金、米国企業に対する規制など非関税貿易障壁を含めることができる」と報道した・・・・パクジヒョン ソウル大教授は「米国はトランプ1期の時に韓米FTAを改正したが、むしろ韓国産収入が大きく増え、貿易赤字が増えた」とし「長い時間をかけて韓米FTAを改正するのではなく、関税脅威を加えて米国現地工場建設などを得ようとする可能性が大きい」と話した(記事その2)・・>>
個人的に、ブルームバーグの記事に書いてあるという「競争入札の宣言」という表現が、いまのことろ(あくまで『いまのところ』ですが)、もっとも正解に近いのではないか、そう思っています。なにせ、4月あたりから始まるというのに、これから検討するというのがちょっと不自然です。日本の場合、鉄鋼関税を含め、出来る限り「提示できるものはちゃんと提示しておく」スタンスを続けてほしいところです。さて、トランプ大統領のバレンタイン関税、日本へのものは本命か、それとも義理か。こんな状況で、石破総理が5月に訪中を検討しているとかそんなニュースもありますが、まずはこの件を優先してほしいところです。
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