複数の韓国メディア、半導体関連で「週52時間勤務」を指摘・・日本での事例(TSMC熊本工場)も紹介

本ブログでエントリーしただけでも相当な数になると思いますが、日本の半導体産業再編に関し、韓国メディアは実に多くの記事を出しています。いつものことですが、記事の内容より、こんな動きそのものが驚きだったりします。日本メディアよりも記事が多いのではないか、そんな気もします。ソフトバンクとArmに関する記事も多くなってきました。TSMC熊本工場のこと、そしてラピダスなどについての記事も、まだまだ出ています。また、最近は中国半導体の技術力についての記事も増えています。ディープシークは、その安全性などの問題で政府機関が使用を制限するなどしていますが、AIの性能そのものは業界にかなりの影響を及ぼしたようです。完全に遅れを取っている、と。

そんな中、いつも出てくるのが「半導体だけでも週52時間勤務の例外にすべき」という話です。労働組合というか、市民団体の政治勢力化の結果の一つ・・と言えなくもないものでしょう。半導体分野でも例外なく週52時間勤務が義務付けられているため、対応ができないというのです。韓国経済(11日)、中央日報(13日)などが報じていますが、半導体企業が国会にこの話をしても、国会側は「社員に長時間勤務をさせようとしているだけ」としか思ってない、とのことでして。半導体業界だけでも例外にするという話には野党側もある程度は同意していると聞きますが、まだ政党レベルで何かの動きが出ているわけではありません。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・(※半導体関連企業の)A代表は「地球反対側の顧客会社の要求に合わせてリアルタイム設計を修正・検証するが、納品日の直前でも、私たちは52時間制度によって、帰宅するしかない」と話した。「米国・ドイツの顧客会社は半導体設計エンジニアが労働時間の制限を受けるということについて、理解できないでいる。中国の競合会社は、顧客会社が日程をどれだけ短くしても、それに合わせる」と話した。彼は「私たちにはすべてがかかっている問題で、R&D(※研究開発、Research and Development)だけでも52時間の例外にしてほしいと言っても、国会は『長時間の仕事をさせようとしているだけ』としか思わない」と付け加えた・・

・・中国企業のスピードは違う。春節(中国の旧正月)連休だった1日、ファーウェイは自社クラウドでディープシークのAIモデルR1を使用できると発表した。R1はNVIDIAグラフィックス処理装置(GPU)で開発されたが、米国の輸出関連措置でNVIDIAチップが使えないHuawei社が自社開発チップで、R1が同じ性能で駆動されるようにエンジニアリング作業を行った。サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は「ファーウェイと中国の協力会社が連休中に夜勤した」と報道した。国内AI半導体企業の設計担当研究員は「同僚と連休中、ディープシークの話をしたが、ファーウェイがこれをすぐに適用したと分かって、驚くしかなかった」と話した(中央日報)・・>>

 

<<・・世界最大のファウンドリ(半導体受託生産)メーカーの台湾TSMCの日本初の製造拠点である九州熊本1工場は、昨年12月に量産を始め、ソニーグループなどに納品している。昨年2月、工場開所式の際に明らかにした日程をそのまま守った。日本各地の大学を通って、昼夜に研究開発(R&D)に没頭する博士級人材を集めたおかげだ。熊本工場にはモーリスチャンTSMC創業者の「24時間R&D」原則がそのまま適用された・・・・日本労働者の年間労働時間は2022年基準で1626時間で、韓国(1904時間)より短い。日本は延長勤労を月45時間、年360時間に制限するが、業務量の急増など特別な理由があれば労使合意で月100時間、年720時間まで勤務できる。熊本工場がTSMCの「リレーR&D」を日本でもそのまま適用できる背景である。

 

TSMCは日本政府の支援を強く受けている。2027年の稼働を目標に、1~3月期中に熊本2工場の工事を開始する。1・2工場総投資額は約2兆9600億円で、日本政府が最大1兆2000億円を補助する。熊本はTSMCに3工場まで要請した・・・・南の九州でTSMCが走っているなら、北の北海道では日本のラピダースが走る準備を終えた。来る4月から試験生産を始める。米国ブロードコムに6月まで最先端2ナノ半導体試製品を供給する計画だ。 2027年から量産工場を稼働するという目標だ・・・・日本の半導体復活は議会が率いる。自民党が支援に積極的で、野党も昨年12月、人工知能(AI)・半導体産業支援(1兆3000億円)を盛り込んだ追加経済予算通過に協力した。

共に民主党が「週52時間勤労制限例外条項」において半導体特別法を遅延させている私たちの姿とは、まるで異なる。1980年代に世界1位だった日本半導体産業は、韓国、台湾に遅れを取った。米国、中国が半導体競争に全力を尽くしている中、30年間の後退を経験した日本は、半導体を国運がかかった問題と見て、復活のために力を注いでいる。このままなら、30年後、韓国と日本の半導体産業は境遇が逆になる可能性がある。その時、国内に週52時間でも働ける工場はもう残ってないかもしれない(韓国経済)・・>> 明日は1日休みをいただきます。次の更新は17日(月曜日)のいつもの時間になります。

 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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