急に「米国からLNGを輸入しよう」という記事が増えました。7日の日米首脳会談で議論された内容の一つでしたが、日本は米国からのLNG輸入を拡大することにしました。このことで、首脳会談前には「石破総理は、トランプ大統領に『LNG買うから守ってくれ』と言っている」(韓国経済2月1日)とするなど、どちらかというと評価下げしようとする記事が目立ちましたが、それから中央日報(12日)、ニュース1(16日)など複数のメディアが記事を出し、「私たちも米国からLNGを買おう」と主張しています。それ対米黒字対策になる、というのです。方法として検討するならいいかもしれませんが、いま『会談』をするカウンターパート(大統領)そのものが存在しないのが問題ではないでしょうか。また、本ブログでも何度かエントリーしていますが、中国の対米輸出のための迂回路(いわゆるタグ替え)をどうするのか、でしょう。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。
<<・・石破茂日本首相は7日(以下現地時間)ドナルド・トランプ米大統領との初めての首脳会談で、特別プレゼントを準備した。米国産液化天然ガス(LNG)の輸入拡大だ。トランプは首脳会談直後、記者会見で「記録的な数字になるだろう」と期待感を表わした。韓国も日本のようにLNGを今後対米交渉のために活用することができるのだろうか。トランプが望む交渉カードであるのは明らかだ。化石燃料経済の復活を予告したトランプは大統領候補時代からLNGを原油とともに核心輸出品として育てると強調した・・
・・LNGはエネルギーとして必ず輸入しなければならない。11日の電力取引所によると、昨年のLNG発電比重は29.8%を記録した。原子力発電(32.5%)に続いて2番目だ。LNGの輸入がトランプ政策路線と一致し、対米貿易収支のバランスも合わせられる代替案という分析が出てくる理由だ・・・・ただし「万能」というわけではない。現実的に、LNG輸入は国家間の契約であるだけに、短期間に特定国の割合を大幅に増やすことは容易ではない。何より中東に比べ輸送料が多くかかるという短所がある。
米国産LNG輸出ターミナルが南部ルイジアナにあるだけに、西海岸にLNG輸出ターミナルを共同建設する方案も交渉カードとして提案しなければならないという提言が出ている。ユ・スンフン ソウル科学技術大未来エネルギー融合学科教授は、「交渉は相手(米国)が必要としている時に、最も遅く、劇的にしなければ最高効果を得ることができない」とし「LNG収入拡大は既に出ている方法なので、米国産収入を増やしても、できるだけ安い値に、安定的な方法で導入しなければならない」と話した(中央日報、12日)・・>>
<<・・日本がドナルド・トランプ米大統領が力を入れている440億ドル規模のアラスカLNG(液化天然ガス)プロジェクトに参加を決定するなど、「対米エネルギー収入拡大」を米国の関税政策から抜けるための交渉カードとして活用する姿だ。「貿易収支の不均衡」を理由に自由貿易協定(FTA)締結国である韓国などにも例外のない関税を取り出したトランプのを動かすために、韓国政府も参加を考えている。16日、外国メディアの記事などを総合すれば、ドナルド・トランプ米大統領は、石破茂日本首相とワシントンDCでの共同記者会見で440億ドル規模のアラスカLNGプロジェクト推進のための合弁法人設立を発表した・・
・・政府は当該プロジェクトに官民ともに参加するなど、様々な案を置いて慎重に考えている。大規模投資が行われる場合には、鉄鋼・建設など韓国企業が参加する機会が拡大し、韓国技術力と資本が積極的に活用される可能性も大きくなると見込んだ。ソク・ビョンフン梨花女子大学経済学科教授は「日本は先制的に対米投資とLNG収入を増やし、防衛費増額などで関税引き上げの圧迫を下げる効果を得て、オーストラリアも航空機輸入を増やす提案を先制的にして鉄鋼・アルミニウム関税免除の検討を得た。トランプの立場で、名分として掲げられる成果を作らなければならない」と助言した(ニュース1)・・>>
ちなみに、 前にも紹介したことがありますが、「日本はLNGハブになろうとしている」という話もあります。ここでいうハブとは、アメリカなどから輸入したLNGを他の国に販売することです。1月24日の中央日報です。もともとLNGは、購入する際に「第3国への販売はできない」という条項があるそうです。でも、アメリカ産のLNGは、このような条項がない、とも。日本はこの点を利用して、いわゆるLNGハブとしての立場になりつつあり、これは中国への牽制、すなわちエネルギー安保関連でも重要なことである、と。そのための関連ターミナルなどは各国で建設中・または完成しており、日本側が多くの支援を行っています。韓国の場合、まだこんな話は出ていません。
<<・・日本は、また別の理由で米国産LNGに注目している。目的地制限条項がない米国産LNGを大量に導入、最近天然ガス消費が急速に増加している東南アジアや台湾などに再販で差益を残すことになる。日本はすでに世界最大のLNG輸入インフラも保有中であり、世界2位のLNG輸入国という地位を利用した価格交渉力も、相当なものだ。近いうちに東アジアのLNG取引ハブとして浮上する可能性がある。事実、われわれも「LNGハブ」という名目で蔚山や麗水などに構築事業をしてきた。実は、それらは周辺発電所などに自家消費の天然ガスを供給するターミナルに過ぎない。今、蔚山に「北東アジアエネルギーハブ」事業構想が進行中だ。日本の事例を参照して、米国産LNGベースの取引ハブ構築を試みてみるのはどうだろうか(中央日報、1月24日)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・準新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・既刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。