一時は、韓国のメディアの見習おうという記事が(見習えとも)多かったドイツですが、最近になってドイツ経済が弱体化してからは、どこか今の韓国と似ていないか、という話が増えてきました。ソース記事ニューシース(17日)にはそんな内容は書かれていませんが、中国関連など記事の多くが、いまの韓国経済と似ている部分が見られます。記事が分析したドイツ経済弱体化の理由は5つで、一つ目はロシアからガスが輸入できなくなり、カタールや米国からLNG(液化天然ガス)を買うようになったこと。すなわちエネルギー安保関連です。2つ目は中国経済、3つ目は投資をしなくなったこと(政府の財政支出に制限がかかった)、4つ目は熟練労働者の不足、若い世代が科学技術に興味を示さなくなったこと、5つ目は官僚主義(各政策に時間がかかりすぎる)です。
政府の投資(財政支出など)や官僚主義は日本でもよく言われている現象ですが、韓国だけでなく、日本と重なる部分もあるかもしれません。LNG関連は、最近「日本が東南アジアのLNGハブになろうとしている」など韓国メディアがよく日本とセットで記事にしています。つい今月初旬までは「LNGを買うから守ってくれと言っている」としながら評価下げする記事も見られましたが、日米首脳会談以降、いそいでアラスカプロジェクトに参加すべきだとか、米国からLNG輸入を拡大すべきだとか、そんな記事が増えました(昨日も一つ紹介しましたが)。韓国の場合、エネルギー、投資、官僚関連もドイツと似ている部分があると言えますが(文政権のとき、北朝鮮を経由してロシア側からエネルギーを送電してくる東北亜グリッドという構想がありました)、特に中国関連は言うまでもなく、有能な人材は基本的に医師になると言っていることが、特に似ていると言えるでしょう。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・天然ガスなどロシアからの安いエネルギーで輸出用商品を大量に作り出すのがドイツ企業モデルだったが、大きな影響を受けた・・・・ドイツは、再生エネルギー発電に置き換えられる中間過程をロシアの天然ガスに依存することになっていた。ドイツは、ロシアを信じられるエネルギーパートナーと考えていた。ポーランドとアメリカが警告したが、ドイツは応じなかった。ロシアからのガスが中断されるろ、ドイツでガスと電力価格が急騰した。鉄鋼、肥料、化学薬品、ガラスなどのエネルギー集約産業では、これらの2つだ。ドイツは液化天然ガス(LNG)に変え、これをカタールと米国から船で運んできた。LNGはパイプライン供給ガスよりも高価だ。現在、ドイツ産業用電気価格はkwh当たり平均20.3ユーロセントと集計される。ドイツの競争企業が多く所在している米国と中国の価格は8.4ユーロセント程度だ・・
・・他の先進国が中国によって雇用を失っていたとき、ドイツ企業は中国に産業機械、化学薬品、自動車の巨大な販売市場を発見した。2010年代初頭と半ばまで、メルセデス・ベンツ、フォルクスワーゲン、およびBMWは世界最大の自動車市場に成長した中国で車を販売し、大きな利益を得た。この時、中国企業はドイツの中核産業と競争しない家具や消費電子品の生産にとどまった。しかし、中国はドイツが作るのと同じものが作れるようになった・・・・中国政府の補助金の恩恵を受け、中国企業の鉄鋼、機械、太陽光、電気自動車および電気自動車のバッテリーは現在、輸出市場でドイツ製と競争している。
欧州連合最大の自動車中心産業国であるドイツは、中国の輸出志向産業政策の影響をもっとも強く受けた。2020年、中国は自動車の純輸出国ではなかったが、2024年には純輸出量が500万台となった。同期間、ドイツの純自動車輸出量は半分に減り、120万台に落ちた。中国は1年に5000万台の自動車を生産する能力を備えたが、これは世界全体の需要の半分をカバーする。3番目の理由は、ドイツは投資をしなかった。ドイツは好況期に油断し、鉄道や高速インターネットなどの長期プロジェクトへの投資を延期した。政府は予算バランス財政を優先視し、時には好況により税収が黒字を記録した。積極的な投資をしていなかったのだ。
今、ドイツの電車通勤労働者は、古くて摩耗してしまった鉄道整備のため、電車が来なくて運行自体が頻繁に中断されることに慣れている。高速インターネットは田舎町には届かない。風の多い北部生産電気を南部工場に送る電線は完工が遅くなり、2028年前には難しい。産業地帯のルール地方と南部ドイツを結ぶ高速道路の核心橋梁が、2021年に閉鎖された。耐久性が10年間ずっと疑われ、結局閉鎖されたのだ。代替は2027年になる。2009年に憲法改正を通じて連邦政府の予算赤字規模を制限し、政府は動きが取れなくなった・・4つ目、熟練労働者の不足という問題を抱えている。高級IT技術者から保育施設要員、老人ホームケア、ホテルスタッフまで、ドイツは労働者不足だ・・・・科学技術工学数学(STEM)分野に興味を示している学生は、前よりずっと少なくなった。ここに高齢化問題が重なっており・・・・最後に、承認手続きには時間がかかりすぎて、あまりにも多くの文書が必要な、いわば官僚主義が激しくなっている(ニューシース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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