各メディアは「R&D(Research and Development)分野」書いたりしますが、詳しくは半導体産業関連での、「週52時間勤務制度の適用例外」。昨日もお伝えしましたが、この件では結論が出ませんでした。税額控除などにおいては結構話し合いも進んだそうですが(補助金はまだ)、やはりなにもかも野党が賛成せいないと、難しいでしょう。今回も適用例外が成立できなかったことで、韓国では結構大きく報じられています。そんな中、「韓国経済」紙が、日本のTSMC熊本第1工場を取材し(さすがに中には入れず、周辺だけですが)、いくつかの記事を載せました。
半導体分野で、技術的にも市場的にも大きな変革が訪れている今、その対応が、日韓であまりにも異なるというのです。思えば、韓国メディアが「日本の半導体復活関連記事」略してうわあぁ記事を本格的に載せるようになったのも、このTSMC熊本第一工場の完成、開所式あたりでした。なにか突っ込んだ内容があるわけではありませんが、実際に記者さんが見て感じたことを書いているので、チョイスしてみました。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・日本、半導体で疾走・半導体競争への対応であまりにも異なる日韓・熊本TSMC工場は工事期間3分の1に・週52時間例外できず・与党も野党も責任取らず(※ここまで記事の見出し)・・・・日本九州熊本県菊陽町にある世界最大のファウンドリ(半導体受託生産)メーカー台湾TSMC第1工場。12日に訪れたここは、小雨が降る曇りの天気にも、トラックと作業者たちが休むことなく出入りしていた。工場の煙突から出る煙も目立った。昨年2月24日にオープンしたTSMC第1工場は、その年12月から12~16ナノメートル半導体を量産し、ソニーグループなどに納品し始めた。 1工場のすぐ隣では2工場建設のための仕事が真っ最中だった。
12日に訪れた1工場を行き来する職員たちの表情には、活気があふれていた。1工場は昨年12月に量産を始め、ソニーなどに納品している。昨年2月、工場開所式の際に明らかにした量産日程を守った。開所式で「日本半導体製造のルネッサンスが始まった」としたTSMC創業者の言葉通りだった。工場関係者は「台湾TSMC工場と全く同じ品質でライン稼働に成功した」と述べた(※米国など一部のTSMC工場は、職員たちの勤務の時間や強度の問題で、一部ラインが台湾や日本のようにスムーズには動いていないという記事もあります)。1工場のすぐ隣、約32万㎡の広大な敷地は、高さ3mの白い塀に囲まれていた。塀の内側からは地を掘る工事が進んでいた。TSMC第2工場が入るところだ。第2工場は日本国内の工場の中では最も先端となる6ナノメートルロジック半導体などを生産する予定だ。2027年末の稼働が目標だ。第1・2工場投資額は計3兆円ほどで、日本政府が最大1兆2000億円の補助金を直接支援する。
TSMC効果で、近隣数キロ半径に半導体関連企業が集まっている。ソニーはイメージセンサーを作る工場を合志市の約37万㎡の敷地に年内着工する。世界4大半導体機器メーカー東京エレクトロンも合志市に今夏、新しい研究開発(R&D)拠点を開く予定だ。近くの菊池市では三菱電機が今年11月にパワー半導体新工場を稼働する。半導体素材工場投資も増えている。富士フイルムは先月、TSMC1工場と車で10分の距離にある半導体ウェハ研磨剤工場に、約20億円を追加投資し、生産能力を30%増やした。三菱ケミカル(北九州、フォトレジスト原料)、サムコ(佐賀・長崎、シリコンウェハ)、ローム(宮崎、SiCウェーハ)、東京応化工業(熊本、現像液)なども九州で新設または増設に乗り出した・・
・・産業波及効果も大きい。熊本には廃棄版などから金、銀、希少金属などを回収してリサイクルする工場も入っている。半導体工場耐震対策を組んだり、熊本地域車両停滞対策を立てるコンサルティング会社も開業を準備中だ。日本三大銀行の一つである三菱UFJ銀行も熊本ビジネスを増やしている。不動産市場も盛り上がっている。日本国土交通省が発表した2024年基準地価によると、TSMC第1工場のある菊陽町の地価は前年比16.9%上がり、全国自治体のうち上昇率6位、近大津町は19.4%上がり1位を記録した。半導体人材確保は今後の課題だ。九州では年間1000人規模の半導体人材が不足するという分析もある。九州各大学は半導体人材養成に本格的に乗り出した。熊本大学は今年「半導体大学院」を開く。宮崎大、九州大なども半導体人材育成過程を増やす計画だ(韓国経済)・・>>
せっかく現地まで行ったのに、「活気あふれていた」だけだとちょっと物足りない気もしますが、そこはともかく。他にも東亜日報がほぼ同じ内容の記事を載せていますが、米国マイクロン社が、SKハイニックスよりも先端世代となる5世代HBM(High Bandwidth Memory)量産を発表したり、設立からわずか3年のラピダスから2nm半導体の話が出ている点(1月、日経新聞がラピダスが「6月頃に回路線幅2ナノメートルの製品の試作品をブロードコムに供給する」という記事を載せました)などで、日米の急激な動きを報じています。韓国の場合、メモリー分野で気にすべき相手は別の国じゃないのか、そんな気もしますが。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
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