対米投資、なぜ日韓でデータ基準が異なるのか・・担当者「こちらの金額が少なく見えるからです」

3月にも武藤容治経済産業相が訪米し、いわゆるトランプ関税適用除外を要請するというニュースがありました。頑張ってほしいところです。日本が対米投資で5年連続世界1位というデータもあります(ファイナンシャルニュース、2月11日)。このようなデータをしっかり説明し、最大限の収穫が得られることを願います。で、本題ですが、韓国経済に面白い記事があったので紹介します。韓国側には、「2023年韓国が米国の最大投資国だった」というデータがあります。これをものすごく強調する人たちもいます。なぜこうなるのか。データの集計基準が日本とは異なる、とのことでして。

記事によると、日米首脳会談で石破茂総理が「1兆ドル投資」について話したとき、ソース記事を書いた記者(ワシントン特派員)はびっくりしたけど、それが1年内にやるという話ではなく、多分「累計」の話で、これはトリックだ、としています。しかし、調べてみたらすでに7833億ドルというとんでもない金額のデータがあるし、それは累計で、日本企業の再投資額(米国に投資し、そこから得られた収益の一部を投資に回した)まですべて含めたもので、こちらのほうがマーケティングという側面からしてももっと優秀なデータではないのか。なんで私たちはそうしないのか、という疑問を提起します。




実は先の「2023年投資1位」というのも、グリーンフィールド、この場合新規投資のことですが、その場合に限ってのもので、全体の統計からするとそうでもない、とのことです。この点について関係者に話を聞いたところ、「累計値にすると、(記事には明記されていませんが、日本の話のあとに)私たちの投資金額のほうが少なく見えるから」だそうです。記者は、それでももう十分投資しているのは事実だろうし、日本のように累計値を集計したほうがいいのではないか、と指摘しています。ちなみに、記事は累計値での発表をトリックだとかマーケティングだとか言っていますが、結局は「私たちもそうしよう」という話になるし、なにより、1兆ドルを言ったのは石破総理ですが、対米投資1位だという日本のデータを発表したのは米国商務省です。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・日本が、5年連続で米国に最も多く投資した国家だったことが分かった。円安と労働力不足というリスクの中でも、日本企業は自動車、食品、人工知能(AI)など多様な分野で現地生産を拡大している。石破茂首相が掲げた「対米投資1兆ドル(約1455兆ウォン)」という目標も、実現できる可能性が高いと思われる。11日、米国商務省によると、2023年末基準で日本の対米直接投資残高は7833億ドル(約1139兆ウォン)で、カナダ・ドイツ・イギリスを抜いて5年連続1位を記録した。2024年7~9月、日本企業の米国内不動産・工場・設備投資額も26億ドルで、前年同期比で11%増加した(ファイナンシャルニュース、11日)・・>>




<<・・7日、石破茂首相はワシントンDCホワイトハウスを訪れ、ドナルド・トランプ米大統領に「対米投資規模を1兆ドルまで増やす」と約束した。最初は1年に1兆ドルということだとおもって「そんなまさか」という気がして調べてみて、びっくりした。2023年までに累積基準で7833億ドルを投資したという話だった。しかし、日本はこれを土台に「世界1位の対米投資国」であることを強調した。米国内の50カ州で日本が投資上位3位内に入り、39カ州では投資1位の国だという図表も出てきた。この数値は、累積投資額という一種の「トリック」だ・・・・最近でも日本は依然として対米投資で「大手」だ。日経新聞によると、昨年、日本の対米海外直接投資(FDI)が大幅に増加し、11兆7300億円を記録したという・・

・・日本側の資料を見ながら、私たちの海外投資マーケティングが不十分すぎると考えるしかなかった。韓国政府関係者が最近米国政府に最も強調する部分は、昨年、ファイナンシャルタイムズ(FT)が国連貿易開発会議(UNCTAD)資料を基に2023年の対米最多投資国(215億ドル)が韓国だと報道した内容だ。これは「グリーンフィールド」と呼ばれる初期投資金額を集計したもので、投資が集まる時期によって順位が大きく変わることがある。 2024年、2025年の統計が出れば、こういう話もできなくなるという意味だ・・

 

・・私たちの立場からすると、米国進出企業の活動まであわせて体系的に分析した投資統計は、ない。最も一般的な輸出入銀行の海外投資統計(2023年の対米投資額380億ドル)は、韓国から米国に直接投資が行われた事例だけを反映する。現地法人が発生した利益をもとに再投資することなどは入っていない。米国商務省資料を活用した日本の7833億ドルの数値が、最終受益国の概念をもとに、日本系企業の投資全般内容を包括しているのとは対照的だ。

一部の関係者は、「日本のように累積値を使う場合、私たちは相対的に金額が少なすぎるように見えるから」という理由を挙げた。しかし、急成長した韓国の状況を正確に示す必要もある。10年前や5年前に対比、対米投資額の上昇幅を見れば、私たちのような投資国もないだろう。見事な数値だけを無理して絞る必要はない。だが、一生懸命投資している企業などの活躍をきちんと盛り込む統計がまったくないのは残念だ。そんな統計があるのか​、​が関税など交渉に及ぼす影響まで考えれば、なおさらだ(韓国経済)・・>>




 

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