「トランプ関税」関連のニュースが世界的に話題になっている中、韓国も「産業通商資源部」長官(大臣)が今月中に訪米し、関税適用例外措置を要請するというニュースがありました。記事によると、本当は首脳会談が必要な場面ですが、長官「だけ」が動くことになりました。少なくともこのような「交渉」をするには、首脳クラスのカウンターパートは首脳クラスが必要ですが大統領権限代行(の代行)のままでは、もし会談ができても関税関連の議論はできないためです。また、ニューシース(23日)など一部のメディアは、なぜか「私たちと提示できるカード(交渉のために出せる条件など)が似ている日本が先に動いているので、日本に全部もっていかれる、という主張をしています。
日米首脳会談の後に「LNG輸入」「アラスカプロジェクトへの参加」関連ニュースが急に増えたのもそうですが、日米の会談をベンチマーク(?)する動きのほうが強いし、日本が出したカードと似たような条件が出せるなら、それはそれでうまくいく可能性が高くなるわけですが・・なぜこれを「日本がもっていく」になるのでしょうか。むしろ、日米首脳会談のおかげでなんとかなった案件も少なくないはずですが。たとえば、韓国側が、少なくとも保守側がもっとも懸念していたのは、トランプ政権から「北朝鮮の非核化」関連の話が出ていなかったことです。でも、日米首脳会談のときからこのフレーズが復活し、普通に公言されるようになりました。野党側からするとうれしくなかったかもしれませんが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・通商当局が、米国政府の全防衛的な関税措置予告に対応するために、早ければ今月末にも、長官(※大臣)クラスの会談を推進する。産業通商資源部は、韓国の対米投資効果を強調し、関税措置除外国に含めるよう要請する予定だ。ただ、韓国と産業・貿易構造が似ている日本が一歩先に会談に出ている点は、交渉に不利に作用する可能性があるという懸念が出ている。23日関係省庁によると、産業部はアンドックン産業部長官の訪米日程を調整中だ。早ければ今月末、遅くとも来月初めに米国政府と会い、米国トランプ政権の関税措置が本格化する前に交渉に乗り出すという構想だ。これに先立ち17日(現地時間)から4日間、パクジョンウォン産業部通商次官補はアン長官の訪米を事前調整するために米国ワシントンD.C.を訪問した。
アン長官とは別にジョンインギョ産業部通商交渉本部長も訪米を準備している。長官と本部長は時差を置いて、別々に動く予定だ。通商本部長は国内では次官(副大臣)クラスだが、外国では通商長官として扱われるだけに、ツートラックで高位級交渉を引き出すということだ・・・・政府は韓米自由貿易協定(FTA)上、すでに無関税品目が多く、韓国の対米投資が活発な点を挙げて交渉力を高める方針だ。これにより、相互関税、鉄鋼・アルミニウムなど諸般関税措置に韓国が含まれないよう要請し、インフレ抑制法(IRA、Inflation Reduction Act)及び半導体法補助金など韓国企業に対する友好的な環境を持続的に造成するよう要請する。大統領権限代行体制により、首脳会談は事実上不可能だが、長官級会談を通じて対策を設ける。外交・通商の慣例上、相手とのクラスを合わせなければならないため、可能な部分である長官級会談からまず成就させるということだ・・
・・産業部は、カウンターパートである商務部長官と米国貿易代表部(USTR)代表が決まると、長官級交渉に進む方針だ・・・・産業部の訪米が他の主要国に比べて一歩遅れたという指摘が出る中、本格的な対米交渉に突入した後、交渉力にどのような影響を及ぼすか疑問だ。各主要国はドナルド・トランプ米大統領と会うために、順番待ちの状態だ。日本、インド、イスラエルがすでに首脳会談を行っており、来週にはフランス、英国も首脳会談に出る予定だ。問題は、私たちと戦略が似ている日本が先に動きながら、私たちが提示できる交渉カードが減る可能性があるという点だ。すでに日米首脳会談を通じて交渉力を引き上げた日本政府は、トランプ政権と後続交渉を準備中だ。
武藤容治日本経済産業大臣は、トランプ内閣に関する承認が完了する時期に合わせて(※USTR代表ジェミソン・グリアー氏はまだ聴聞会中で、承認が完了していません)、来月、大臣級会談に乗り出す計画だ。産業部の関係者は、「米国側が、日本と韓国を比較しながら交渉するかどうかは分からないが、日本と韓国が重点を置くポイントは異なる可能性がある」とし「他の国がどのような話をするのか、どのカードを持っているのか、その動向は共有し続けている」と明らかにした(ニューシース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。