ハワード・ラトニック米商務長官の「米国への投資10億ドル」発言、大きな話題に・・1期トランプ政権との対比も

昨日お伝えしましたが、訪米した韓国の経済関係者たち(経済使節団)が、ハワード・ラトニック米商務長官と予定通りに会談できず、別の日に30分(記事によっては40分)の面談だけをして、帰国しました。しかもほとんどハワード・ラトニック長官が対米投資を説明するだけで、使節団の話にはほとんど反応がなかったと報じられています。しかも、各企業が10億ドルずつ投資すれば、その企業のためのファスト・トラックを用意するという話ですが、これが使節団のハンファグループの人が「米国の造船所を1億ドルで購入しました」という話をした直後に出てきたものだ、とのことでして(韓経ビジネス、24日)。一部からは「ラトニック長官が、ルールを説明しただけ」という話も出ていますが、各記事によると、「事実上、基準ラインを提示されたものだ」と認識している、とのことです。

そして、前のトランプ政権、「1期」という表現をよく使いますが、1期のときと藩王が全然異なるという指摘もあります。1期のとき、「サンキューサムスン」と言ったり、トランプ大統領も韓国企業の対米投資について、結構気を使ってくれました。朝鮮日報(25日)がこの点を強調しています。ちなみに1期のときは、当時も大統領権限代行体制でしたが、就任してから約1週間で電話会談がありました。今回はそういうものもなく、いまのところ外交部長官(外務大臣)が多国間会議の場で会っただけである、とも。多国間会議での会談は、時間的な問題もあって、基本的には既存の合意事項を再確認するなど30分位の会談になるのが一般的です。記事は、「通商秩序が完全に変化している」とし、対応を注文していますが・・対応といっても、なにがあるのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・ラトニック長官が10億ドル以上を必ず投資するようにと言ったわけではないが、面談でハンファグループ側が1億ドルを投資して買収した米国現地フィリ造船所の話を取り出すと、(※長官は)10億ドル以上からファスト・トラック手続きが進行されることを強調したと伝えられた。これにより、一部企業は、面談過程で言及された「10億ドル」を、投資の基準下限線として受け入れているという伝言だ。トランプ2期の関税政策や半導体補助金の見直しなどで対米投資戦略を調整している国内企業は、算法がさらに複雑になった。チェテウォン会長は21日(現地時間)ワシントンDCのあるホテルで開かれたセミナー「2025トランスファシフィックダイアログ」会場で取材陣と会って、トランプ2期行政府以後にも米国に対する追加投資を検討するが、税金引き下げなどインセンティブが必要だと強調した。

こうした中、通商分野の長官となるアンドクン産業通商部長官は、早ければ来週、米国を訪問してラトニック長官などに会い、通商政策に対する韓国側の立場を伝え、協力案を模索する予定だ。アン長官はトランプ2期に入っても半導体科学法による投資補助金とインフレ抑制法(IRA、Inflation Reduction Act)補助金などの基本が維持され、韓国企業の安定的な投資環境が保障されれば、強力な両国産業動力が維持され、さらに多くの対米投資が達成できるだろうと説得する方針だと伝えられた(韓経ビジネス)・・>>




 

<<・・「トランプ政権2期」を迎え、政府でこれまで米国と長官(※大臣)クラスの会談をした人は、ジョテヨル外交部長官だけだ。トランプ大統領就任から一ヶ月近く経つ今月15日(現地時刻)、ドイツで開かれたミュンヘン安保会議に出席し、マルコ・ルビオ米国務長官と40分ほど会談をしたのがトランプ2期政府発足後「長官級の初対面だった。チェサンモク大統領権限代行兼企画財政部長官は、トランプ大統領と電話通話もできなかったことはもちろん、「カウンターパート」になるスコット・ベッセント米財務長官にも会えなかった。当初、26日南アフリカ共和国で開かれる「G20財務長官・中央銀行長」会議での会談を推進していたが、ベッセント長官が会議に参加しないことにして、チェ代行も参加しないことにした。

国防部長官は現在、長期間空席状態で、「通商の首長」のアンドックン産業通商資源部長官も、訪米を推進中だが、まだハワード・ラトニック米商務長官との日程が定まらずにいると伝えられた・・・・このように対米外交が総体的空白状態になっている中、企業人が直接使節団を作って米国を訪れているが、「民間の限界」がはっきりしているという評価が出ている。実際に19~20日、産業界の26人で構成された経済使節団が米国を訪れたが、彼らは長官クラスと会う日程さえ確定できないまま出発した。匿名を求めたある使節団の一員は、「今回の訪米で感じたのは、同盟は同盟であり、経済は徹底的に経済だということだった」、「他の国は、大統領、首相が直接1兆ドルにもなる投資を提示している。そういう中、政府同士の調整もなしに企業人だけで訪米してどうにかなるはずがない」とした・・

 

・・財界では、トランプ2期政権が以前の1期の時とは雰囲気が明らかに異なると言う。トランプ大統領は1期当時、就任直後だった2017年2月、SNSに「サンキューサムスン!あなたと一緒にしたいです!」という文章を投稿した。サムスン電子が米国に家電工場を建てるという報道が出ると、発表する前なのに「ありがとう」と先手をうったのだ。当時、サムスンは3億8000万ドルをかけ、サウスカロライナに工場を建てた。31億ドルを投資し、ルイジアナに石油化学工場を建てたロッテグループは、会長が2019年5月にホワイトハウスに招待され、トランプ大統領と直接会った。だが、いまの2期では、企業が政府の不在の中、どうすればいいのかわからず右往左往しているだけだ(朝鮮日報)・・>>




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。