韓国メディアの千歳市・ラピダス取材記事・・「人口10万人の都市に18兆円の経済効果」

なんか、キオクシアが332段DNANDフラッシュメモリを開発したとか、サムスン電子が東京エレクトロンの極低温エッチング機器の導入を計画しているとか(いままでこの装備はラムリサーチ社のものだけを使っていたそうです)、半導体関連ニュースがまた大幅に増えています。そんな中、中央日報(25日)のラピダス関連記事をピックアップしてみました。19日にも、熊本市のTSMC第1工場(の周辺)を取材した韓国経済紙の記事を紹介したことがありますが、今度は千歳市のラピダス取材記事で、ラピダスという存在がその地域に及ぼす経済効果をメインに紹介する記事です。他にもラピダス関連記事がいくつか出ていますが、個人的にこちらのほうがユニークでした。

昨日も世界最大規模のAI(人工知能)データセンターに関するニュースを紹介しましたし、去年には600兆ウォン規模の大規模半導体団地を作るという話もありましたが、関連したインフラ、たとえば電力とか水とか、交通問題とか、そんな話まで展開するメディアはそうありません。そんな中、「地域経済」という側面からアプローチしたのは、傾向としては良い記事ではないでしょうか。道路渋滞を減らすために、ラピダス職員たちはマイカーを使わないとか、工事のために集まった人たちが周辺の店で食事することを想定し、「周辺の美味しい店」などを作って配布したり、大小の努力が見られる、そして効果を出していてう、とのことでして。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・12日に訪れた日本の北海道の千歳市。雪が降る中、都心のあちこちにはマンションやホテルの工事で盛り上がっていた・・・・人口9万8000人余りの小さな小都市、千歳が変化していた。いわゆる「ラピダス効果」だ。日本政府の全面的な支援と、トヨタ自動車、ソフトバンクのような日本大企業8社が参加し、2022年8月に発足したラピダスがここに工場(IIM-1)建設を開始してから、もう2年余りが経つ。来る4月に本格的な試験稼働を控えて、37カ所に達する半導体関連企業が事務所を開くことにしており、千歳市内のオフィスは空きがない状態だ。半導体特需のために57社が進出を検討し、駅前通りに沿って不動産が相次いで増えた。不動産の前には今年初めに竣工予定の新規住宅分譲と賃貸広告がいっぱい貼られていた・・

 

・・北海道経済連合会が推算したラピダス効果は18兆8000億円(2023~2036年)。いままで人口減少を懸念してきた千歳市は、2036年までに人口が10万2246人に増える見込みだ・・・・「速い」という意味のラテン語を会社名にしているラピダスは、工場建設のために「速」を出した。このスピードを支えたのが、千歳市だった。次世代半導体拠点推進室を作り、2023年2月、ラピダスが千歳科学技術大と繋がっている産業団地を工場立地に選定し、その直後から6人の職員は昼夜なく働いた。工場建設に必要な各種の許可手続き、人材、道路管理、宿舎の確保などなどのために、夜間の会議も行った。森周一 半導体拠点推進室長は、「ラピダスは複数の工事を昼夜なしに同時に進行し、建設現場が夜を知らない勢いで、すごい速度で速度で工場を建てた」と説明した。「1時間でも工事が遅れれば20億円の損が発生する」という理由からだった。




森室長は「ラピダスには日本の根性がある」とし「すべての職員が必ず2ナノを成功させるという根性を持って働いている」と説明した。彼は「(2ナノ量産が)難しいだろうという意見もあるが、ラピダスをきっかけに、新しい未来が待っていると思う」と話した・・・・ラピダスの速度に合わせるために、千歳市は半導体生産に必須の水の供給計画はもちろん、建設支援に乗り出した。世界最大のファウンドリ会社である台湾のTSMCが熊本に建てている工場も、事前に見回した。最も気にしたのは交通問題だった。道路整備がきちんと行われず、朝夕に常習渋滞を経験している熊本と同じ流れにしないためだ。千歳市は一日最大4000人が建設に動員されるだけに、車両停滞を防ぐために事前に建設会社と相談して「ルール」を作った。

空港からラピダス工場がある産業団地に入る唯一の国道で、建設車両が一般車両とからまないように、路線を組んだ。ラピダス職員がマイカーを利用しないようにしたのも、千歳市のアイデアだった。代わりに工場敷地3ヶ所に駐車場を作り、職員がバスで出勤、退勤するようにした。常習渋滞をなくしながら、建設の速度を上げて、住民の不便も解消するという一石二鳥を目指したわけだ。その効果はあった。一日に最大で1000台以上の車両が出入りしているのに、今まで停滞は一度も発生しなかった。これだけではない。半導体室の職員たちは直接「グルメ情報」ガイドブックを作って、毎朝、工場の前で工場建設人力の出勤の道に配布するなど、力を注いでいる。ラピダス工場の建設という「良き影響」を、実際に近くの商人たちも体感できるようにするためだった(中央日報)・・>>

 




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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