本ブログで紹介したものだけでも結構な数になりますが、韓国メディアの半導体関連記事が急に増えました。チップ4という単語が急に消えたことと、ほぼ同じタイミングです。そして、TSMC熊本第1工場の開所式あたりから、本格的に増えました。でも、私だけでなく読者の皆様も同じことを思ったはずですが・・いま韓国側に重要なことは、メモリー分野と、中国の技術力です。でも、日本のこと(日台協力、日米協力、TSMC日本進出、ラピダスの存在、政府の政策など)を気にしているからか、メモリーや中国の技術力の話より、ファウンドリー、そして日本の半導体復活に関する話が目立ちました。
それでも1年前までは、メディアによって書き方は少しずつ異なりますが、「超技術力」という言葉でカバーしていました。「超」と言ってもいい技術力があるから、問題ないという論調のことです。さすがに、この超技術力というのは、メモリー関連でした。でも、最近、韓国科学技術評価院という機関が分析した半導体基礎科学分野で、初めて中国が逆転したというデータが出ており、また、ZDネット(26日)、デジタルタイムズ(23日『キオクシアも復活、日米中に挟まれる国産半導体』)など複数のメディアの報道によると、日本のキオクシアが332段NANDフラッシュメモリー技術を公開、米国のマイクロン社も6世代10ナノDRAMのサンプル供給を開始しました。両方、サムスン電子やSKハイニックスもより先になります。
引用はしませんが、先の科学技術評価院関連で、中央日報が「メモリー半導体『までも』・・中国が基礎力量で追い越し、日本NANDもすぐそこまで来ている」という題の記事(24日)を載せたのが、個人的にちょっとヒットしました。超技術力と信じていたものが、もう通用しなくなってきたのでしょう。いますぐ市場でなにか大きな変革が起きるとは思えませんが、そもそもこういう技術は数年後、十数年後を見据えての、発展の記録。チップ4の次は、超技術力という単語が消えるかもしれません。ちょうど一つ前のエントリーにも書きましたが、「中国資本の韓国進出」関連もまた、韓国としては気をつけるべきことでしょう。通路とされる側面ももちろんありますが、技術の安保という面においても。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・半導体導体素材・部品・装備 競争力の高い日本も、NAND・メモリ分野で力を育てている。代表的に、キオクシアの場合、最近米国サンフランシスコで開かれた国際固体回路学会(ISSCC)で332段NANDフラッシュ技術を公開した。これはSKハイニックス312段、サムスン286段より高積層で、昨年日本政府から受け取った2兆ウォン規模の補助金が功を奏したという評価だ。日本はTSMC工場誘致、ラピダス設立など、素材部品装備分野を基盤に半導体復活を試みている。ラピダスは2022年にトヨタ、ソニー、ソフトバンクなど8社が出資して設立し、日本政府はこれを含めて2030年まで半導体とAIに10兆円を投入するという戦略を発表した。他に中国のYMTCも先月294段3D NANDフラッシュメモリ量産を始めた。米マイクロンとウエスタンデジタルも高積層技術の高度化を進めている・・
・・ドナルド・トランプ大統領の関税政策にも、半導体競争で優位を占めようとする布石が盛り込まれている。中国に対する牽制はもちろん、半導体にも関税をかけて自国への投資を誘引するということだ。サムスン電子とSKハイニックスは半導体法により米国から補助金を受け取ることにしたが、不確実さが大きくなった。ハワード・ラトニック米国商務長官は先月29日(現地時間)、米連邦議会上院人事聴聞会で半導体法補助金を受けると米国政府と確定した契約を履行(honor)するかという質問には「言えない。私がまだ読んでいないものを履行するとは言えない」と答えた(デジタルタイムズ)・・>>
<<・・米国マイクロンは最近、第6世代10ナノメートル(nm)級のDRAMサンプルを顧客に供給することに成功した。サムスン電子・SKハイニックスなど主要競争社より、一歩先行した成果であり、次世代メモリ市場で国内メモリ業界との激しい競争が予想される。26日、マイクロンは1γ(ガンマ)プロセスベースのDDR5サンプルをインテル、AMDなど潜在顧客社に出荷したと発表した。線幅は11~12ナノレベルだ。サムスン電子、SKハイニックスなど国内半導体業界ではこれを1c DRAMと呼ぶ。マイクロンは「業界初で次世代CPU用の1γDDR5サンプルを一部の協力会社と顧客に出荷した」とし「まず16Gb(ギガビット)DDR5に活用され、以後AI用の高性能および高効率メモリ需要に対応するようにする」と明らかにした。今回の1γベースの16Gb DDR5は、最大9200MT/sのデータ処理速度を実現する。前世代と比較して速度は最大15%増加し、消費電力は20%以上減少した(ZDネット)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。