韓国国策シンクタンク「日本と同じやり方で、トランプ政権へ対応を」

主に国の対外経済政策に関するシンクタンクとして、対外経済政策研究院というところがあります。政府出捐機関で、経済や通商関連でよく目にする機関でもあります。そのシンクタンクが、トランプ政権(韓国メディアがよく使う表現として「トランプ2期」)への対応として、日本と同じやり方を取るべきだと提言し、ニューシース(26日)など複数のメディアが報じています。この前の日米首脳会談のときのように、米国へ多額の投資をした、これからもする、そんな内容を具体的に、たとえば石破茂総理が1兆ドルという数値を話したように、提示すべきであるというのです。LNG関連の話もそうですが、日米首脳会談当日でも、韓国メディアの一般的な報道は「アブ(おもねること)」というものでした。

多くのメディアが同様の表現を使い、日本語版記事では「追随」などと(オリジナルに比べると)比較的おとなしい表現にしていました。なのに、いまはベンチマークすべきだとの記事が圧倒的に多く、ついに政府系シンクタンクからもこんな話がでているわけです・・なんというか、いつものことですが。相変わらず「トランプ大統領との(電話)会談はいつになるのか」という話が続いています。10日のものですが文化日報など一部メディアの記事によると、かなり積極的に米国側に通話(電話会談)を要請していたけど、とも。そんな中、多国間会議などでやっと長官(大臣)クラスの会談が行われるようになりましたが・・この前のハワード・ラトニック米国商務長官の「10億ドル」発言もあるし、しかも日程を急に変えてのことだったとか、まだまだ懸念を示す記事が相次いでいます。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・日本が、対米経済貢献を強調する方式で「トランプ2期」政権を相手にしている点を、私たちも積極的に参考にしなければならないという国策研究機関の提言が出た。対外経済政策研究院(KIEP)は26日、このような内容を盛り込んだ「トランプ2期通商政策に対する日本政府の対応と示唆点」報告書を発表した。KIEPは、日本がこれまでの日米同盟関係をもとに、米国と緊密な経済関係を形成してきたが、米国優先の関税をかけてきたドナルド・トランプ米大統領の通商政策には、対応の策定に困難を経験していると診断した。昨年基準で、日本は683億ドルの対米貿易黒字を記録し、米国の7大貿易赤字国に名前をあげた。最大貿易黒字品目は自動車と関連製品、最大貿易赤字品目はガスなどエネルギー分野だった。

日本はトランプ2期発足の前から米国に対する海外投資を増やし、対米経済関係を管理してきた。それにもかかわらず、トランプ2期の「米国優先」の通商政策がもたらす影響については依然として懸念が深い、というのがKIEPの分析だ・・・・これに日本政府は日米首脳会談を早期に実現し、トランプ2期通商政策に細かく対応している。特に日本は米国経済に対する自国の貢献を強調し、対米「1兆ドル」投資目標および米国産LNG輸入拡大を通じた対米貿易黒字規模縮小、防衛費増強などの具体的なこれからの政策も提示している・・

・・KIEPはこのような日本の対応とそれに伴う成果及び今後の課題を綿密に分析し、韓国もトランプ2期の通常政策に備えなければならないと主張した。具体的に、我々が米国経済に寄与している点を多様なデータで積極的に広報し、今後の米韓経済協力に対する具体的な計画を先に提示できるように準備する必要があると強調した。また、アラスカ産LNGの輸入拡大などにおいて日本と協力し、米国優先主義に共同対応できるようにする必要もあると提言した(ニューシース)・・>>




引用部分では具体的に提示すべきだとしていますが、この対外経済政策院、前から「日本と協力」という点を強調してきましたが、どこをどう協力するのかなどについて『具体的には』は話していません。たとえば朝鮮日報(朝鮮BIZ)7日の記事では、同じテーマでの講演会で「日本、ドイツなどと協力して対応を」としていますが、同じく対米貿易で大きな黒字を記録しているという点以外に、なぜ、どう協力するのかなどについてはこれといった内容がありませんでした。もちろん韓国も米国への投資かなり行った国ですから(補助金目当てというのもありますが)、そういう部分を説明するのは政策として間違っていません。

ただ、それより、国内での問題・・たとえば、最近一部のメディアが記事を出している「中国資本の迂回路になる現象」のこと、いわゆるタグ替えのことをもっと気にしたほうがいいかもしれません。日本のような事前審査制度を作る必要性については、国会議員なども提起していますが、いまのところ、なんの動きもありません。「まず、中国からの投資がうれしい」というスタンスなのでしょう。それに、大統領が不在ということもありますし、なにより、政権交代の可能性があります。やはり、文政権の「運転者論」を直接経験したトランプ大統領としては、それが一番気になるはずですから。




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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