家計債務が多い韓国では、主に利用する「層」によって、もっとも安定していて金利も低いけどお金を借りるためのハードルも高い「第1金融圏(銀行)」、その次の「第2金融圏(貯蓄銀行、信用金庫など)」、そしてもっとも金利が高い第3金融圏(合法貸金業者)があります。それでも金を借りることができなかったら、私債(サチェ)、私金融(サグミュン)などと呼ばれる違法貸金業者を訪れることになります。朝鮮日報など複数のメディアが、「1000%超えも多い」と報じています。その違法貸金業者のことはずいぶん前から問題とされてきましたが、やっと関連法が改定され、7月から施行される予定です。
いろいろ変わりますが、その中でも「上限金利の3倍(現60%)を超える契約は、元金も利子の分も、無効」という内容が入ります。いままでは、上限金利を超える分でも、無効にならない場合が多く、この部分が前からもっとも指摘されてきました。ただ、これについては「借りた金を返さないための道具とされる懸念がある」という指摘もあります(ニュース1、1月30日)。ソース記事の朝鮮日報(朝鮮BIZ2月3日)、1980年代には違法貸金業者問題が多かった日本が、この問題をどう解決したのかについて書いています。記事によると、1986年から2023年まで、日本での貸金業者は90%減少しました。違法貸金業者が減少したのはいうまでもありません。また、合法的にやっている貸金業者も、記者さんが考えていたものとは異なり、ちゃんとした施設で運営されていた、とも。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・先月18日、日本東京の新宿歌舞伎町通り近く。かつて「貸付業の街」とも呼ばれたここ一帯には、依然として「レイク」、「アコム」など合法貸付業者の大型広告看板を簡単に見つけることができた。すべてのフロアがすべて貸金業法で満たされた建物も目立った。2000年代だけでも、この街の両側には70余りの合法・違法貸付業者が位置していたが、今では、すべてが合法の貸金業者で、その中でも大手企業の非対面営業店(※職員と客が直接顔を合わせることがない店舗)だけが残っている。貸金業者のある建物に入ると、予想とは異なる姿に驚いた。暗いオフィスでこわい人が金を督促している姿をイメージしていたが、営業店内部はほぼ人がいなかった。職員もなく、無人貸出審査機だけ置かれている部屋が3~4室あるだけだった。無人ローン審査機に座って画面の指示通りに入力するだけだった・・
・・私債業界を描いた漫画「うしじまくん」の営業方式は、もう昔のことになった。日本政府は20年前、違法金融問題を解決するために貸付業関連方案を大幅に強化した。貸付業者数の推移が最低水準を記録し、多数の金融機関に債務を保有した多重債務者も大幅に減った。多重債務が原因と思われる社会問題も自然に改善された。また、ほとんどの貸付業者が消えて「ちゃんとした」大型メーカーだけが残るようになった・・・・日本は、関連した問題を解決するために関連法整備を始めた。2006年に改正された貸付業法改正案によれば、年最高金利を20%水準に下げ、債務者年収の3分の1までだけ、新規貸出ができるようにした。返済能力以上の債務を負うのを防ぐためだった・・
・・効果はすぐに現れた。 1986年多くは4万7504社まで増えた日本の貸付業者は、改正案施行直後の2007年に1万1832社まで減った。 2014年には2113社を記録して以来減少し続け、昨年は1515社の貸付業者だけが残ったが、最も多かった時より96.8%も減少した・・・・日本金融庁の関係者は「日本の貸付業改正案は、収入が少ない人が20%の金利でお金を借りること自体が普通な状態ではないことを前提とするため、このプログラムを通じて債務者が貸付業債務を整理するよう誘導したもの」と説明した・・・・日本の金融庁関係者は、「韓国が進行する貸付業法改正度法も、どのように影響を及ぼすことができるかについて、あらかじめ分析し、社会的におこりうる現象など法律外の部分も気にしなければならない」とし「本人の収入に比べて過剰な融資を起こさないように、金融と経済認識を強化する教育活動などが例示できるだろう」と話した(朝鮮日報)・・>>
与党側では100%超過の場合を無効化する案をだしましたが、野党側が60%を主張、60%超過で無効に決まった、と言われています。引用部分の、「普通ではない」という認識。これがもっとも大きいのではないか、そんな気もします。そもそも、家計債務・・というか、債務そのものが問題ではありません。ちゃんと返すなら、なんの問題もありません。ただ、「借りてもいい」と認識する基準(範囲)が、日本と韓国とではかなり異なる・・そこが問題ではないだろうか、と。また、先もニュース1の記事などからちょっとだけ紹介しましたが、「逆に、借りた人が(借りるときには60%超過でもいいとお願いしておいて、あとになって法律を言い出して)金を返さないための手段として利用する可能性がある」ことを懸念する声も出ています。つい、「ありそう」と思ってしまいました。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。