韓国の半導体業界、なぜか日本の「高度プロフェッショナル制度」で議論

2~3回エントリーしたことがありますが、韓国では週52時間勤務制が問題になっています。制度そのものが問題というより、半導体及び関連分野(なぜかR&Dと表現するメディアが多いです)への適用について、です。簡単に言うと、業界では半導体分野は週52時間勤務の例外を認めてほしいと主張していますが、主に野党からは、半導体だろうとなんだろうと週52時間は適用されるべきだとしています。「いつからそんなに法律をちゃんと守った?」と突っ込みたくもなりますが・・そこはいったん置いといて。一時は最大野党共に民主党の李在明(イジェミョン)代表が半導体分野には適用しないと(というふうに)話して話題になりましたが、共に民主党が公式に「半導体特別法で、52時間関連内容を抜きにして、処理する」と宣言しました。

すなわち、半導体関連でも週52時間以上は勤務できないようにする、というのです。李代表も、半導体分野にも52時間は適用されるという立場を明らかにしました。毎日経済(27日)など複数のメディアがほうじています。この件、日本ではあまり聞かないことですが、韓国ではかなり話題になっていました。個人的な感覚での話ですが、半導体関連では「補助金が必要だ」の次に記事が多かったと思います。で、次期与党(?)の可能性が高い共に民主党が、この件について完全に公言したことになります。なんか、民間資本で大規模半導体団地を作るという話がありますが、勤務時間が週52時間までも定められたままでは、あまり意味がないだろうという指摘が多い中、野党側が「それでも、勤務時間は守る」という姿勢を示したことになります。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・ともに民主党が27日、突然半導体特別法を「迅速処理案件(※ファストトラック、ある案件の通過に時間がかかりすぎた場合、一定割合以上の議席を持つ政党が迅速に案件を通過させること)」に指定すると明らかにした。半導体分野の研究開発(R&D、※詳しきは「R&Dに関わる人力」)に対して週52時間勤務制例外を許可するかどうかをめぐって、与・野党が異見を絞り込めないと、該当条項を除いて特別法を処理するという意味だ。ジン・ソンジュン民主党政策委議長はこの日「(半導体特別法が)与党国民により何の進捗もできずにいる」とし「常任委員会の法定審査期間である180日が過ぎれば遅滞なく処理されるだろう」と話した。ファーストトラックは国会在籍議員の5分の3(180人)以上が同意すれば指定されるため、野権議席数で十分だ・・

・・ユン・ジョングン共に民主党院内報道官は「半導体特別法議論の初期だけでも、週52時間は争点ではなかった」とし「国民の力があとになってからこの問題を作り出した」と話した。共に民主党はまず特別法を先に通過させた後、勤労時間の柔軟化は今後協議しようという立場だ。国民の力はすぐに反発した。クォン・ソンドン院内代表は「ファストトラックではなくスロートラックにするトリックにすぎない」とし「半導体特別法が迅速処理案件に指定されれば、本会の表決まで最長330日かかる」と話した。続いて「共に民主党はどうか米国・日本・台湾・中国がどうしているのかをちゃんと見てほしい」とし「中国のディープシーク開発が週52時間勤務でできたと思っているのか」と指摘した(毎日経済)・・>>

この件においてよく出てくるのが、日本と米国の事例です。週52時間例外を主張する側は、「日本と米国にはこのような例外規定がある」としていますが、週52時間を守るべきだという側は、「日本と米国の場合、単に時間だけを論じているわけではない」としています。時事IN(25日)からこの部分を引用してみます。明日は、1日休みをいただきます。また雛人形の展示を見に、今回はちょっと遠くへ出かけます。次の更新は、3月2日(日曜)の11時頃になります。




<<・・経営界は米国の「ホワイトカラーエグゼンション(White Collar Exemption)」と、日本の「高度プロフェッショナル制度」などの類似の制度に言及し、労働時間に制限を置かない「先進」の事例がすでに活用されているとも主張する。両制度とも、高所得専門職労働者に労働時間規制を置かないが、業務成果に基づいて賃金を支払う形だ。韓国の勤労基準法が「1日8時間勤労」という硬直な規制に閉じ込められているという指摘とともに、このような柔軟化された制度は労働法専門家を中心に、以前から検討されてきた。ホワイトカラーエグゼムションと高度プロフェッショナル制度が韓国に適用可能かどうかを調べたパクスギョン江原大学比較法学研究所研究教授は、最も重要な前提を見逃したまま、その制度が正解のように言及されていると懸念した。

業務内容と所得基準が明確ではなく、対象者の健康権利の確保のための措置が議論されていないということだ。ホワイトカラーエグゼンションは労働時間上限規制の適用を受けていないため、最長労働時間(週40時間)を超えた場合でも割増賃金を受けないが、もし明確でない分類を通じて、間違えて一般労働者にこの制度を適用した場合、会社側はFLSA(工程労働者支給法)に基づいて労働者に賠償する必要がある。その分、当該制度を適用する正確な基準を立てて、適用対象者を区分することが非常に重要である。

高度プロフェッショナル制度は、特に労働者の健康権保護措置を厳しく規定している。この制度を導入するためには、労使委員会を設置し、賃金と労働時間、その他の労働条件に関する事項を一緒に決定しなければならない。労働者に年104日の休日を確保し、退勤後の翌日出勤前まで11時間連続休息を保障し、深夜労働の回数も制限する。現在発議されている(※韓国の)半導体特別法には、これらの議論がすべて欠けている(時事IN)・・>>




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。