「EIU民主主義指数」、韓国は大幅に順位を下げる・・一部のメディア、日本の順位は報じず

韓国の複数のメディアが、EIU民主主義指数(Democracy Index 2024)を報じています。いままではなんの問題もない(full)とされていたのに、尹大統領の戒厳令事態により、「問題あり」クラスになった、という内容です。もともとこういう指数やランキングなどがよくニュースになりますが、今回は、多分、戒厳事態に関して批判するために持ち出したという側面もあるのでしょう。でも、なんか妙だな・・と思う部分がありました。複数のメディアの記事を読んでみましたが、アジア経済、京郷新聞などには、なぜか日本の順位が書かれていません。で、少し探してみたら、ニュース1、中央日報などはちゃんと報じていました。日本は「完全な(full)民主主義」だそうです。別に日本の順位も書かなければならないわけではありませんが、台湾と日本はアジアでダントツに順位が高い国です。読んでみた記事の半分以上には書かれていませんでした。数値より、こちらのほうが本題かもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・イギリス時事週刊誌エコノミストの経済分析機関である「エコノミストインテリジェンスユニット」(EIU)が27日(現地時間)発表した「民主主義指数2024」(Democracy Index 2024)で、韓国は32位になった。2023年の評価では2022年より2階段上がっていたが、昨年には10階段も下がった。EIUは2006年から167カ国を対象に5つの領域を評価し、民主主義の発展水準スコアを算出してきた・・・・韓国は評価総点で10点満点に7.75点で、2023年の8.09点(22位)より下がった。 7.75点は2006年にEIUが指数算出を始めて以来、韓国が受けた最も低い点数だ。そして2020年から4年連続含まれた’完全な民主主義'(full democracy)集団から「問題ある民主主義(flawed democracy)」に下がった・・

 

・・民主主義評価が後退した理由は、昨年12月3日夜、ユン大統領の非常戒厳宣布が大きな影響を及ぼした。後続の政治問題が続いた点も、点数を下げた要因だ。韓国政府の機能が前年8.57点から7.22点に、政治文化が前年6.25点から5.63点に、すべて大きく下がった。残りの3項目(選挙過程と多元主義・政治参加・市民自由)は点数が同じだった。EIUは報告書で「ユン大統領の戒厳宣言の試みによる余波は議会で、そして国民の間で両極化と緊張を高め、2025年にも持続しそうだ」とし「韓国の民主主義に対する大衆の不満が大きくなる可能性がある」と指摘した・・

・・「完全な民主主義」に分類された25カ国に住む人は全世界の人口の6.6%で、10年前の12.5%より大きく減り、世界の人口5人のうち2人は権威主義体制の下で暮らしていると集計された。北朝鮮は最下位から3番目の165位で昨年と同じ順位を維持し、評価も1.08点で同じだった。北朝鮮より低い点数を受けた国家はミャンマー(0.96点)とアフガニスタン(0.25点)の2カ国だけだった(アジア経済)・・>>




<<・・EIUは昨年12月3日、ユン大統領の非常戒厳宣布により韓国政治システムの制度的・行動的弱点が明らかになったと分析した。具体的には、大統領が戒厳令を宣言する権限が憲法に明示されている点、政党間の根深い対立と非協力的な態度による政治システムの不安定性、極端な政治対立と社会不安のリスク増加が挙げられた。EIUは、非常戒厳の余波が2025年にも国会と一般大衆の政治的な対立という形で持続すると予想した。また、法廷が政争化し、法が政治的反対勢力を攻撃する道具として利用される可能性があると評価し、韓国の民主主義に対する大衆の不満が大きくなる可能性があると指摘した・・

・・一方、米国の民主主義指数は7.85点で問題ある民主主義に分類されたが、順位は昨年より1段階上がった28位だった。日本は8.48点で完全な民主主義に分類され、順位は昨年と同じ16位だった。1位は9.81点を受けたノルウェーだった(※記事にはありませんが、日本が全体で16位、台湾が8.78点で12位で、ともに「完全な」民主主義でした)・・・・一方、北朝鮮の順位は167カ国のうち165位で昨年と同じだった。中国は145位に3段階上がり、ロシアは150位で6段階下がった。ウクライナは92位に1段階下がった。世界平均民主主義指数は2006年5.52点から、最低の5.17点に下がっった。167カ国のうち130カ国は、指数が改善されていない、または下がった(ニュース1)・・>>




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。