予想されていたこととはいえ、中国のメモリー半導体が躍進しており、韓国のメモリー半導体業界が危機感に包まれています。2~3%とされていた中国メモリーのグローバルシェアは2024年1月に4.8%に上昇しました。今年1月には7.1%(予想値)で、10~12月期には10.7%(予想)まで上昇するだろう、と予想されています。前からこの件を指摘してきた朝鮮日報(5日)が、結構大きく報じています。個人的に、ファウンドリー分野となるTSMCとかラピダスより、韓国メディアがもっと気にすべきは圧倒的にこの件だと思っていますが、全体的に見るとそうでもありません。
韓国の中国へのメモリー輸出も15%減少しており、これは「中国が国産半導体を使うようになった」からだ、という内容です。最近はテレビなどでも中国が韓国メーカーを超えたと言われていますが、やはり韓国としてもっとも警戒すべきは、半導体、メモリー分野でしょう。1~2年前から、中国のメモリー半導体の技術が急速に上昇したという報告が相次ぎました。そして、いまでは、中国のYMTCはすでに294段3D NANDフラッシュメモリ量産を始めました。現状、SKハイニックス312段、サムスン286段です(似たような話は日米メーカーからも聞こえてきます。日本のキオクシアは国際固体回路学会(ISSCC)で332段NANDフラッシュ技術を公開、米国のマイクロン社も6世代10ナノDRAMのサンプル供給を開始しましたが、両社ともにサムスン電子やSKハイニックスを超える技術です)。
中国のCXMT社も、韓国メーカーの主力の一つであるDDR5を量産し、HBM(広帯域メモリー)の生産を進めています。今回、NANDにおいてYMTCの急成長も報じられ、日米企業がメモリー技術でサムスン電子やSKハイニックスを追い越したことなどで、韓国でも話題になっているわけですが・・先も書きましたが、朝鮮日報の記事のような記事よりは、どちらかというと日本関連(笑)が多いのが現状です。前にもいくつか紹介したことがありますが、工場内には入れず、周辺を取材してきては「活発に動いている(ぐぬぬ)」とする記事とか、そんなものが目立っています。いまのところ、自動車とともに輸出、いや韓国経済そのものをリードしているメモリー半導体。もっと緊張感を持つべきでは。ちなみに、すでに1月になって半導体輸出全体が減少しています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・昨年12月、中国メモリーメーカーCXMTがDDR5量産を始めたというニュースが流れた時だけでも、国内ではあまり信じない雰囲気が強かった。米国の関連措置で先端工程の適用が難しく、実際の性能面で韓国が格段に速いと考えていたためだ。DDR5はサムスン電子・SKハイニックスの主力DRAM製品だ。しかし、今年に入って中国市場にCXMTのDDR5製品が本格供給され、このような気流は180度変わった。メモリでは先端工程として挙げられる16ナノ(nm)を適用したうえ、DRAM性能の核心であるビット密度(単位面積当たりの記憶単位)がサムスン電子・SKハイニックスより高く出たためだ。半導体業界の関係者は「似たような水準の技術なら、政府補助金を上げた中国企業が価格競争力で有利だ」とし「2~3年前までは、懸念しているだけのレベルだった中国企業だが、もう韓国メモリ産業への侵食が現実になってきた」と話した。
CXMTをはじめとする中国メモリメーカーが、昨年下半期から中国内需市場供給量を大きく増やし、韓国の対中半導体輸出が減少している・・・・主要輸出国の中で唯一中国だけが15.3%減少した。中国を含め、すべての国に対する半導体輸出が増えた1年前と比較しても、異例の状況だ。中国の低価格DRAMが自国の内需市場に大挙供給され、韓国企業の輸出物量が大幅に減った影響だ。韓国メモリー輸出の半分ほどは、中国への輸出だ。中国内の半導体自給が増えれば、韓国企業が直接的な影響を受けるしかない・・
・・アン・ギヒョン韓国半導体産業協会専務は「CXMTとYMTCなど中国メモリー生産の半分以上は中国市場で販売されるものだが、これはそのままサムスン・SKなど韓国企業の実績減少につながる」とし「先月の対中半導体輸出減少は、中国によって私たちがグローバルメモリー市場で押されるようになったとい確実なシグナルだ」と・・・・・中国メモリー躍進で堅固に維持されていた韓国メモリーシェアも揺れている。市場調査会社のトレンドフォースによると、サムスン電子は昨年10~12月期、全世界のDRAM市場で売上シェア39.3%を記録した。2023年10~12月期の45.5%、2024年7~9月期41.1%と、減少しつつある。サムスンのシェアが30%台に下がったのは、半導体不況で減産を行った2023年以外では、珍しいことだ。一方、中国メモリのシェアは今年末に10%台まで上昇する見通しだ(朝鮮日報)・・>>
サーバー側からのお知らせですが、「3月10日(月) AM 2:00頃~AM 7:00頃までの間に120分~240分程度(一部サーバーでは最大で300分程度)のサーバー停止をともなうハードウェアの大幅増強および新基盤システムへの移行メンテナンスを実施します」とのことです。参考にしてください。この件は当日までは「お知らせ」に追記しておきます。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。