米国防部次官、聴聞会で異例の発言・・「韓国の政治状況により、日米韓協力の持続は不確かである」

まだ聴聞会での発言ではありますが、米国防部次官候補エルブリッジ・コルビー氏が、「韓国の政治状況により、日米韓協力がこれからも持続できるのかは不確かです」と話しました。一応、去年12月から続いている「いわゆる戒厳令事態」について、トランプ政権(現)の関係者としては初めての発言となります。いままでは、チェサンモク代行を信頼しているとか、そういう「決まったフレーズ」しか言っていません。ちなみにこの「信頼している」は、尹錫悦大統領が弾劾され、ハンドクス総理が代行になったときにも、米国側は同じ表現を使いました。その後にハンドクス総理も弾劾されましたが。コルビー次官候補の発言は、あくまで「今のような状況が長引いた場合」に、日本と米国は韓国との対話を続けることが難しくなるだろうという趣旨のものではありますが、聴聞会とはいえ、米国側から「うまく機能している」以外の発言が出てくるのはとてもめずらしいことではないでしょうか。

個人的に、彼、というか米国側が見ている「今のような状況」において、政権交代の可能性はどうなっているのかが気になります。もし、政権交代があった場合、そして李在明氏が大統領担った場合、とりあえず普通に選挙でやるものですから、システム的には「安定した」といえるかもしれません。しかし、ここでいう「日米韓協力」において、それは安定したと言えるのか、それとも「今のような状況」が続くと見るべきなのか。東亜日報(6日)が結構長い記事を載せたので、紹介します。記事には政権交代可能性などについては書かれていません(これがもっとも重要な部分のはずですが)。ちなみに、ソース記事には該当内容がありませんが、コルビー氏は日本に対しても「防衛費をGDP比3%にすべき」「アジア版NATOは、趣旨には賛成するが現実的ではない」などと指摘しました。以下、<<~>>が引用部分です。




<<・・エルブリッジ・コルビー米国国防部政策次官候補者は4日(現地時間)「韓国の政治的状況(political dynamics)を見ると、日米韓の3者協力が持続できるか不確実だ」と明らかにした。戒厳令事態と国政空白などを言及したものと解釈される。ドナルド・トランプ2期行政府の発足後、高官が韓国に対して公開的に懸念を表明したのは今回が初めてだ。コルビー候補者はこの日、米上院軍事委員会人事聴聞会に出席し、「多国間協力体には多くの事前作業と政治的資本が投入される」と述べた。続いて「域内より多くの多国間協力体が構築されるが、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」のような壮大過ぎる目標ではないと思う」とした。弾劾政局の長期化による国政空白とその政治状況によって、日米韓安保協力が弱まる可能性があることについて、懸念を示したものだという解釈が出ている。政策次官は、国防長官と副長官に続くハイレベルで、軍事同盟関係を含む安全保障戦略を実質的に総括する。




ジョビョンジェ 元・国立外交院長は「戒厳令事態で、国家信頼度に大きな影響を受けている状況だ」とし「政治的不安定が長期化すれば、米国と日本が、確信を持って韓国と対話を続けていくのが難しくなるだろう」と展望した。ドナルド・トランプ2期政権が発足後、韓国の政治不確実性に対する最初の懸念を示し、米韓外交空白リスクが可視化されているという指摘が出ている。トランプ政権が米国外交戦略を再編して、韓国の政治不確実性に対する懸念とともに、日米韓3国安保協力持続可能性に対する疑問が公開的に提起されたのだ。一部では、日米韓安保協力の範囲が、前任ジョーバイデン政権よりも狭くなるだろうという観測も提起されている。

エルブリッジ・コルビー国防部政策次官候補者は4日(現地時間)米上院軍事委員会で開かれた人事聴聞会で、インド太平洋で中国牽制のための域内同盟について質問を受け、「私たちは日本、韓国、フィリピンと強力な同盟を結んでいる」と話した。ただし、韓国の現政治状況については懸念を表明した。彼は「昨年初めに韓国を訪問したが、米国、日本、韓国間の3者協力について、ある面ではとても鼓舞された(encouraging)が、最近の6~8ヶ月間、韓国の政治状況を見ると、これが持続できるか不確実だ」と話した。続いて彼は「多国間協力体には多くの事前作業と政治的資本が投入される」と付け加えた。コルビー候補者は韓国の「政治的状況」というのが何かは、具体的に言及していない。しかし、政治的な対峙、ユン大統領の戒厳令発動、弾劾政局による国政空白など政治的不安を指摘したものと解釈される。このような政治的不確実性が続くと、日米韓三角安全保障協力を、トランプ政権2期のインド太平洋戦略の主軸にするのは難しいというメッセージを送ったわけだ(東亜日報)・・>>




 

サーバー側からのお知らせですが、「3月10日(月) AM 2:00頃~AM 7:00頃までの間に120分~240分程度(一部サーバーでは最大で300分程度)のサーバー停止をともなうハードウェアの大幅増強および新基盤システムへの移行メンテナンスを実施します」とのことです。参考にしてください。この件は当日までは「お知らせ」に追記しておきます。

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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