米エネルギー省契約社員、韓国に原子炉設計図を搬出しようとして摘発

さて、本ブログでも2~3回取り上げましたが、SCL(sensitive country list)関連でまだまだ多くのニュースが出ています。駐韓米国大使(代理)が「それは研究所での問題であり、そこまで心配しなくていい」と話したものの、チェサンモク大統領権限代行は、この件に積極的に対応せよ各省庁に指示しました。実際にどんな影響があるのかはまだわかりませんが(短期間で集中的な影響が出るとはちょっと思えませんが)、政府としてはやはり気になる案件ではないでしょうか。そんな中、ソウル新聞が、今回のSCL入りは、原発関連技術などで「積もった」ことが原因ではないのか、という記事を載せました。

まったく報じられてなかったけど、去年(※明記されていませんが、去年上半期の報告書の内容として)、米国エネルギー省との契約会社の職員が、最新式原子炉の設計データなどを搬出しようとして、摘発されたことがあります。その人の行き先が韓国だった、とのことでして。これまた本ブログで「チェコ原発」関連で何度か書いたことがありますが、原発技術関連で、韓国は米国のウェスティングハウスなどと対立していました。そういうものが「積もった」のではないか、というのです。興味深いのは、ソース記事も言及していますがこの件はまったく報じられておらず、今回SCリストに載ったという話が出てからも、他のメディアはもちろん国会でも、このような話はまったく出てこなかったことです。米国側が保安を理由に公開しなかったとのことですが、それだけで本当にここまで『知らなかった』状態になるのか、ちょっと不自然です。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・米国エネルギー省(U.S. Department of Energy、DOE)と契約した都級業者(※契約会社のこと)職員が、韓国に原子炉設計関連資料を流出しようとして摘発されたことが、一歩遅れて確認された。最近、DOEが韓国をSCリストに追加したのは、これまで、様々な「流出」の試み、米原発企業ウェスティング・ハウスとの知的財産権(IP)対立などが、積もりに積もった結果だという分析が出ている。17日(現地時間)、DOE監査官室(The Office of Inspector Genera、OIG)が昨年の上半期に米議会に提出した半期報告書によると、エネルギー省傘下のアイダホ国立研究所(Idaho National Laboratory、INL)の契約会社の職員が、原子炉設計ソフトウェアを持って韓国行き航空機に搭乗しようとし、摘発され、解雇された。

報告書は、「該当資料は、INLが所有する技術の原子炉設計ソフトウェアであり、OIGは、この資料が輸出関連措置の対象であると判断した」とし、「その職員が、輸出関連規定を認知していながら、外国政府と疎通したことを示す、電子メール、チャットデータについても調査した」と明らかにした。続いて、「この件は、連邦捜査局(FBI)、国土安保捜査局(HSI)とともに共同捜査が進行中である」と付け加えた。報告書には「外国政府」となっているが、結局は韓国政府のことだと思われる。この日(※記事掲載日18日)、現地の外交情報筋たちの話を総合すれば、この職員は韓国国籍の永住権者で、当時、韓国政府側にこのような事実は通知されなかった。資料搬出が故意的なものなのかどうかについても、関連情報は韓国側と共有されなかった。




ある情報筋は、「最近、米国政府側の説明によると、この件がSCリスト入りの主な理由ではないと思われる」とし、「これまでも『産業スパイ』レベルの韓国側のセキュリティ流出の試みがあったという説明があり、韓国との研究開発(R&D)などのコミュニケーションという側面で引き続き問題が生じ、人力を検証する必要があるという米国側の結論があったのではないかと思われる」と話した。これまで韓米間で発生した技術流出事件については、米国側でセキュリティを理由に、なにも公開していない。しかし、核心同盟国である韓国が、核心技術の流出を試みるなど、「ありえないことをされた」という思いが積み上げられ、ウェスティング・ハウスの原発技術関連の件まで重なり、SCリストに載ることになったのではないか、そんな分析である(ソウル新聞)・・>>

 

引用部分の最後、直訳ですがちょっとわかりづらい気がして補足致しますと、この件『だけ』がそこまで重く見られているわけではないけど、いままで似たようなことが結構あったので、そういう『積もった』ことそのものがSC入りの理由ではないのか、という話です)。ちなみに、ジョセフ・ユン駐韓米国大使(代理)は18日、駐韓米国商工会議所・駐韓米国大使館共同主催の座談会で、「SCリストに載ったのは、エネルギー省の実験室(ほとんどのメディアにこう訳されていますが、多分、『研究所』『研究機関』などをあえてせまい範囲のイメージで話そうとしたのではないか、と思われます)に限定された措置」とし「まるで大きな問題であるかのような雰囲気になっているが、そんなことはない。そう思われているのはとても残念だ」などと話しました。

ただし、「相応の情報の扱いを間違えたから、そのリストに載ったわけだ」とも話しました。座談会で話したことなのでちょっと微妙なニュアンスではありますが、『情報の扱い』となると、本ソース記事の内容と合致するような気もします。ちなみに、これも質問を受けたから答えただけで、米国側からはこの件の詳細(リストに載った理由などについての)は発表されていません。




 

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