すでに本ブログでも何度もピックアップしていますし、韓国メディアも一部が「タグ替え」「迂回輸出基地」などのキーワードで注意喚起していますが、中国と韓国の経済連帯がどんどん強化されています。特に、これは私の気のせいかもしれませんが、最近の一部の記事は、書き方的に、というかニュアンス的に、「中国は米国とは違い、自由貿易を重視する」というような記事も増えました。今回の韓国経済(18日)の記事も、一応「迂回輸出」などの問題は指摘しているものの、似たようなニュアンスの記事です。
前にも紹介しましたが、去年、中国の韓国投資額は2023年の約4倍まで増えました。ただ、その分、事実上「中国製品を韓国製品として米国に輸出するための」工場確保が中心ではないのかという指摘があり、一部のメディアが関連記事を載せるようになりました。ちなみに、外国資本の国内投資について、日本のような「事前審査制度」がないこともあって、中国資本の韓国投資は、基本的にも政府及び各自治体からも「ウェルカム」モードだと言われています。ちなみに、ここでいう多国間主義は、「自由貿易主義」と同じ意味になります。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・中国が、産業・観光・人工知能(AI)など多様な分野にわたって韓国に「ラブコール」を送っている。「米国優先主義」を掲げるドナルド・トランプ米大統領とは異なり、「多国間主義強化」を強調する中国政府の政治・経済政策の一環だ。米国の孤立主義で浮上している国際リーダーシップの空白を、中国が素早くものにしようとしているという分析だ。特に韓国などアジア諸国と積極的に関係改善に乗り出しながら、既存の「リスキーな競争相手」から「安定的パートナー」に立場を再構築しようとするのが、中国の考えだという分析も出ている。
「人脈発掘に地域協力まで希望」(※見出し)・・18日、中国財界によると、最近、大韓商工会議所北京事務所が事務局を運営する中国・韓国商会に5社の中国企業が会員加入の意思を明らかにした。中国韓国商会は中国に進出した韓国企業のために活動する経済団体だ。サムスン、現代自動車、LG、SK、ポスコ、大韓航空など国内代表企業を含めて計3500社が会員となっている。会員加入意思を明らかにした中国企業は、ほとんどが流通、小売企業としてB2C(企業・消費者間の取引)を主力としている。
これら中国企業は、正式会員社とは異なり、投票権のないオブザーバー(参観)会員になることを望んでいる。中国企業がオブザーバー会員社加入要請をしてきたのは1993年設立以来、初めてだ。彼らは中国韓国商会で投票権や別途の影響力を行使するより、韓国企業とのネットワークの拡大と、今後の韓国進出の可能性などを念頭に置いて会員加入を希望していることが確認された。文化業界でも同様の雰囲気が現れている。中国内モンゴル自治区シンアンモンは、韓国観光公社と協力のための了解覚書締結を希望している。文化や観光分野などで友好的に交流し、関係を増進するためだ。シンアンモンの高位関係者は「関連企業と政府省庁間の協力を通じて観光や文化などの様々な分野で共生発展を遂げ、深い交流を結ぶことを望んでいる」とし「近いうちに韓国政府省庁側に正式公文を送る計画」と話した。
科学技術業界の状況も同じ流れだ。中国のある非営利財団は、今月末に韓国を訪問し、韓国のAI専門家たちに集中的に会う予定だ。現在、AI応用国際化研究センターの発足を準備しているが、韓国の専門家の参加を希望している。この研究センターはAIモデルを医療、美容、教育、物流倉庫、行政事務など多様な産業に繋げ、実際に活用することを目指している。特にアジア地域でAI活用の基準を確立するための作業にも注力する方針だが、韓国の参加を優先的に考慮している。同財団関係者は「各国のAI発展水準と需要が異なるため、美容や文化など特定産業で競争力のある韓国の参加が必須だと見ている」と伝えた(韓国経済)・・>>
記事には、注意すべきだという趣旨の段落もあります。「専門家たちは、このような動きを米国以外との多国間貿易の中心になろうとする中国の動きと無関係ではないと見ている」、「トランプ大統領の再集権以後、中国は不確実になった国際情勢に積極的に備えている。特に関税を前面に出したトランプ大統領の対中圧迫の中で、韓国・日本などアジア諸国との関係改善に力を入れつつある」、などです。ただ、なんというか・・技術協力とかそんな話が出ると、どうしても一つ前のエントリーにあったようなことが、『関連案件』としか思えない今日この頃です。
また、引用部分にはありませんが記事には、産業研究院北京支援長の見解として、「今後、各国は自国の利益を極大化するための外交を志向する可能性が高い」、「米・中対立の中で、私たちも産業を保護しながら(米国による)経済への影響をを最小化するための戦略策定に注力しなければならない」、「中国との関係でもパートナーとして友好的なアプローチと国際情勢に応じた選択的協力など、多様な選択肢を置いて慎重なバランス外交が必要だろう」などと書いています。これもまた同じでして・・バランス外交という言葉は、主に左側が中国側に近づきたいときによく使う言葉です。文在寅政権でもそうでしたが、特に盧武鉉政権のときにも、このバランスという言葉がよく話題になっていました。バランス外交という言葉そのものではなく、こういうところが『行間』として存在するわけです。果たして、真の意味でのバランスなのか、それとも「安保は米国、経済は中国」の別の表現にすぎないのか。多分、後者でしょうけど。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。