最近はあまりエントリーしていませんが、現政権(現政権だけでもありませんが)は各銀行の金利に対して、不思議な要求を繰り返してきました。大統領自ら、「銀行が『自分たちだけのパーティー』をしている」と話すなど、基本的に、銀行はあまり利益を残さず、ローンの金利などを下げるべきだ、でも家計債務が増えてはいけないから、それも対策すべきだ、という内容でした。金融当局が、中央銀行が金利を上げた直後に、各銀行の代表を集めて、ローン金利を下げるように話したというニュースもありました。また、政府政策によって増えた家計債務対策(満期延長など)を、各銀行がそれぞれ担当するように(事実上、続けるように)とするなど、いろいろありました。
で、約3ヶ月前に・・政府(大統領は代行の代行ですが)は、各銀行に、ローンを金利を下げるように、という政策を出しました。家計債務もそうですが企業債務、特に自営業債務がすごいことになっているので、その対策の負担を金融機関のほうに回したものではないか、と思われます。でも、家計債務がまだまだ増えており、つい1ヶ月前にも同じ趣旨の話をしていた、とのことですが、また政策を変えました。デジタルタイムズ、デイリアン(共に23日)などによると、今度は「金利を下げるよう要求しないから、『運用の妙』を活かしてほしい(とても巧みな手で解決してほしい)」という、詳しく何をどうすればいいのかよくわからないことを、各銀行側に話したそうです。
運用の妙・・って、結局は「金利を下げてローンの負担を減らしながら、家計債務は増えないようにしてほしい」ということでしょう。本ブログだけでなく、韓国の一部メディアも指摘している、データと現実の乖離のこと、そして、次の政権はどういう金融政策を進める気なのか、などなど。気になるとことです。ちなみに、データ関連では、まだまだ延滞率が低すぎるのが不思議です。第2金融圏の代表格とされ、庶民向け銀行とされている「貯蓄銀行」(銀行となっていますが詳しくは銀行ではありません)の場合でも、まだまだ延滞率が8%。これはこれで高いとも言えますが・・以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・政府のローン関連政策が一貫せず、結局は金融消費者たちがどうすればいいのかわからない状況になっている。銀行の貸出が、昨日まではできても今日はできなかったり、住宅関連のローン条件が大幅に変わったりしているためだ。先月末までにも、金融当局のリーダーたちが「ローン金利を下げる時が来た」としながら各銀行を圧迫していたが、今になって「運用の妙を活かせ」と曖昧な注文をし始めたのだ。銀行側がローンのハードルを下げてから数ヶ月も経ってないのに、再びハードルを高くするようにと言っているわけで、市場は大きく揺れている。
23日、金融機関側によると、17日の金融当局駐在「家計債務点検会議」で、当局の関係者は、各銀行の参加者たちに江南3区など主要地域の住宅取引件数と価格上昇現象が見られるなど、「買収心理拡散の可能性」に注意しなければならないという意見を伝えた。「当分の間、家計ローンの加算金利の引き下げ要請はしない」とも伝えた(※家計ローンなどのハードルを上げるように、という意味)。政府の家計ローン関連政策と指針が、1ヶ月前とはまた別の方向になったわけで、各銀行は対応できないでいる・・・・先月までにも、当局は「ローン金利を下げる時となった」とし、各銀行を圧迫していたが、最近、金利の下落と土地取引許可区域の解除などで住宅価格が上がると、「運用の妙を活かせ」という曖昧な注文をしている(デジタルタイムズ)・・>>
<<・・また、「市場状態を安定的に管理するため、一時的にローン基準強化措置を施行してほしい」と協力を求め、「当分の間、家計ローン加算金利の引き下げ要請はないだろう」と強調した。このような発言は、先にキムビョンファン金融委員長やイボッキョン金融監督院長が行っていた銀行家計ローン金利引き下げ圧力とは、まったく異なる話だ。先立ってキム院長は先月24日、「今はローン金利に基準金利の引き下げを反映する時となった」とし、金利決定が市場原理によってなされるかをチェックするという意志を明らかにした。同院長も同月25日、「昨年10月以降、3回引き下げられた基準金利が家計・企業ローン金利に波及した効果を綿密に分析する」と各銀行の加算金利の調査方針を示した(※すなわち、1ヶ月前までは加算金利など適用せずに、もっとローン金利を安くするように、と要求していたという意味です)。
今回の会議では「銀行側が自体的に運用の妙を発揮し、家計債務管理に万全を期してほしい」という要請まで出てきた。銀行側としては、一貫しない政府政策に対する指摘も出ている。ある市中銀行関係者は、「今年初め、市場金利が下落していて、貸出ローンも下がりつつある状況だったのに、当局が追加金利引き下げを要求してきた」とし「突然のソウル市の土地取引許可区域解除決定もそうだが、政府と自治体が政策を一貫して維持することが先ではないだろうか」と批判した(デイリアン)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。