東京の桜も開花し(24日)、いよいよ桜まつりモードに入ります。予約しておいたツアーも、なんとか見頃タイミングになりそうで、うれしい限りです。そんな中、朝鮮日報(23日の記事、25日の記事)が、全米桜祭り(ワシントンDCの桜まつり)特集記事を載せました。パブリック・ディプロマシー、すなわち公共外交として典型的な成功例である、というのです。記事で説明している公共外交の定義は(他の定義を適用する場合もあると聞きますが)、「相手国に対して、自然と心を開くこと」です。「文化交流によって得られる親しさ」を外交だと言うなら、確かにそのとおりです。
でも、「外交による文化交流」なら、続きしないでしょう。例えば、無理して文化を売ろうとしても、それは長続きしません。文化交流が自然な形で行われ、その結果として外交という側面まで言われるようになったなら、それは長続きする(した)でしょう。韓国が目指しているのは前者、日本文化の世界への影響力は、後者、『長続きするもの』ではないでしょうか。桜の影響力がここまで強くなったのは、アニメなどによる複合的な影響のおかげでもありましょうし。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・首都ワシントンの名物である桜の滿開が近づいた。例年より気温が高かったこともあってか、すでにホワイトハウスや議会、リンカーン・ジェファーソンメモリアルのような都心の主要スポットでは、桜が咲いた姿を確認することができる。ワシントンに植えられたほとんどの桜は1912年3月、尾崎行雄、当時東京市長が日米友好の象徴としてプレゼントした染井吉野品種の桜の苗木3000本から始まった。・・・・昨年4月にも米国を国賓訪問した岸田文雄前首相が、米国250周年(2026年)を祝うという意味で桜250本を寄贈した。当時、岸田は「桜が寿命60年よりはるかに超える100年以上の時間、ワシントンで生き残った」とし、「地域住民が桜を大切に保護してきたように、日米関係も互いに愛する人々の支持を受けてほしい」と話した・・
・・タフツ大学フレッチャースクールの学長であるエドモンド・ガリアン博士が提起した概念である「公共外交(public diplomacy)」は、相手国民に自然に心を開くようにする方式だ。そして毎年この時期には日本がワシントンDC全域に満開の桜を利用してその真髄を見せてくれる。米国の主要マスコミは毎年この時期に「どのようにワシントンが日本の桜でいっぱいになったのか」という記事を載せ、世界で最も成功した公共外交事例にも挙げられる。20日開幕して来月13日まで続く市当局の「桜まつり」には、航空会社全日本空輸(ANA)が米ビッグテックのアマゾンと共に最上位スポンサーである「リーダーシップサークル(leadership circle)」として参加した。
米全域で毎年150万人が桜まつりを見るために首都を訪れるが、ワシントンDC観光収入の3分の1以上がこのときに発生する。駐米日本大使館はもちろん、大型製薬会社である第一三共、日本国際交流基金、三菱、丸紅、パナソニック、レクサスなど日本の民館機関数十カ所も後援リストに名を載せている。日本政府もこの時期ワシントンDCを訪れ、対米アウトリーチをする予定だ・・・・政府が(※日米政府が各種イベントを行って)数ヶ月前から雰囲気を盛り上げてくれたこともあって、全米桜祭りを前後にして、ワシントンDCのレストランやパブなどは、寿司、サケ、茶道、ウイスキーのような日本の文化遺産を活用したイベントを企画して集客に出る。自然な形で、ソーシャルメディアには「桜まつり和食グルメ」「ワシントンDCで日本文化がちゃんと感じられるところ」などなどのコンテンツがあふれる、「好循環」が起こる。桜まつりをテーマにした主なホテルパッケージは、すでにほとんど売り切れになった状態だ。
この時期になると、日米関係、日本の外交・安保、日米と他の国との三者協力などをテーマにした真剣なイベントも、また集中的に開かれる。スティムソンセンターは25日、「より深い日米同盟」をテーマにセミナーを開催する。 26日、米議会では日本の対米アウトリーチの拠点ともいえるマンスフィールド財団が日本大使館と共に「日米間立法協力」に関するブリーフィングを進行する予定だ。ワシントンDCを代表するシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)は、エネルギー・先端技術協力、空軍維持・保守・運営(MRO)などをテーマとする行事を、今月だけで3回も開催した。日本の笹川財団などは、日本を研究する研究員や大学院生などに全面的な支援を惜しまないでおり、訪日プログラムを企画し、彼らが知日派に生まれ変わるのに重要な役割を果たしている(朝鮮日報)・・>>
先もちょっと書きましたが、「外交」とか「知日派」とか、そういうのも重要なことかもしれませんが、まず、桜まつりを『楽しむ』ことが重要でしょうし、外交などはその結果の一部でありましょう。どうしても外交や支援などの話に持っていこうとする、そんな考え方では、『自然に心を開く』につながるとはとても思えません。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。