「2024年にもっとも多くの法人税を納付した法人が、中央銀行(韓国銀行)だった」という記事がありました。日本もそうですが、中央銀行も一つの法人としてちゃんと関連税金を納付しています。で、これは他の企業、たとえばSKハイニックスとかサムスン電子とか、そんなところが払う法人税が減少したからで、毎日経済(29日)は「財界の人たちの間では、法人税1位が韓国銀行だなんて、いったい景気がどれだけ振るわないというのか」という話が出ている、とも。このニュースを結構多くのメディアが報じていますが、その中であまりクローズアップはされていませんが(ソース記事、28日のソウル新聞はこれをちゃんと報じています。本当はこのデータの方が重要な気もしますが)、税金滞納金額が日本円にして約2兆円(19兆4000億ウォン)だ、とのことでして。
これは「徴収が可能とされる分」のことで、韓国では「整理中滞納額」とします。言葉通り「滞納整理中のもの」で、日本では一般的に「滞納残高」と表記することが多いそうです。日本の場合はどうなんだろうと思って調べてみたら、「2023年度末の国税の滞納残高は9276億円(前年度比3.7%増)となり、4年連続で増加したことが29日、国税庁のまとめでわかった。23年度中に発生した滞納額は7997億円(同802億円増)だった。国税では例年、徴収を決めた税額の1%前後が滞納となるという」、とのことです。朝日新聞2024年8月29日からの引用です。単純比較になりますが、韓国が日本の2倍を軽く超えている、ということになります。経済規模、経済活動参加人口などを考えると、結構な差があると言えるでしょう。不景気というのは確かにあると思いますが、景気がパッとしないのは日本も同じ。心がけの問題、といったところでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・韓国銀行がサムスン電子、現代自動車など国内屈指の輸出企業より法人税を払い、納付額で1位に上がった。事実上、政府機関とも言える韓銀の法人税納付額が、国内法人を全部含めてもその中で最も多いというのは、それだけ企業の実績が不振だったという意味になる。最近の景気低迷を反映したものだと思われる。財界では、「いったいどれだけ景気がよくないと、韓銀が法人税1位になるのか」という懸念が出ている。28日、韓銀が発表した「2024年年次報告書」によると、韓銀の今年法人税納付額は2兆5782億ウォンと集計された。韓銀は昨年の税引前基準で10兆3972億ウォンの当期純利益を収めた。利益が大きく増えたのは、米国株式市場の活況と、金利引き下げを迎え、株式と債券投資で収益を上げた結果だ。
韓銀はこのうち約25%に相当する額を法人税として出しているが、今年は法人税納付額は前年納付額の5倍になった。法人税は当該年度決算を完了した後翌年3月末まで国税庁に申告・納付する。韓銀は1981年、政府が公共法人に対しても課税し、法人税を納付し始めた。 1999年までは一般法人より低い最高税率15%を適用されたが、1999年から一般法人と同じ課税標準と税率が適用されている・・・・一方、税金滞納額も増加していることが分かった。国税庁によると昨年末基準滞納額は19兆4000億ウォンで、前年比1兆7000億ウォン増えた(※滞納残高は、ちゃんと整理される分が減少するため、1兆7000億ウォンというのは総額で増えた分という意味で、「新規発生した分」という意味ではありません)。激しい業況不振を経験している建設業者が、付加価値税と法人税をそれぞれ2兆2000億ウォン、4000億ウォン滞納した余波だ(毎日経済)・・>>
<<・・税収が少なくなったけど、税金の滞納額はさらに増えた。徴収が可能とされる滞納額である整理中滞納額は、前年より1兆7000億ウォン増加した19兆4000億ウォンと集計された。国税庁は、「経済規模が成長し、所得が増え、物価が上がり、滞納額も増加する傾向」と説明した。税目別では付加価値税滞納額が8兆4000億ウォン(43.5%)で最も多かった。続いて所得税(4兆ウォン)と法人税(2兆1000億ウォン)が後に続いた。
業種別では、滞納された付加税は建設業(2兆2000億ウォン)、製造業(1兆7000億ウォン)、卸売業(8000億ウォン)の順で規模が大きかった。法人税滞納額は不動産売買業(5000億ウォン)、建設業(4000億ウォン)、製造業(2000億ウォン)の順だった。昨年の隠れ財産申告件数は1855件で、130億ウォンの税金が追加で発生した・・・・昨年、地域別税収では、ソウルが115兆4000億ウォンで全体の35.1%だった。京畿道(※地域別納付額2位)は50兆6000億ウォンでソウルの半分にもならなかった。人口は京畿道がソウルより多いが、税収規模はソウルが大きい理由は、主要企業と金融機関がソウルに集まっており、家賃が高いためと分析される。釜山は23兆9000億ウォンで3位だった(ソウル新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。