米国を訪問中のジョンインギョ通商本部長が、米国側の人たちと会談、面談を終えました。いろいろ話したそうですが、これといって確実な返事を聞くことはできなかった、とのことです。そもそも、彼らとの面談の直後(本当に直後)に関税猶予措置が発表されたので、話した内容にズレが生じる可能性もあるのではないか、そんな気もします。90日間猶予はもっとも重要な情報の一つのはずですが、それが本部長側にはまったく伝えられていなかった、という話になります。ジョン本部長は、トランプ大統領の関税猶予措置について、とりあえずはよかったとしながらも、中国への高い関税率のことで、バルーン効果(風船の一部を押しても、中の空気が移動して風船の別の部分が膨れ上がるだけ)、すなわち中国への影響が韓国にまで及ぶ可能性について懸念を示しました。
本部長は、米国に対して特別待遇を要請した、とも話しました。さて、「特別待遇」ですか・・「関税適用の除外を要請した」とか「見直しを要請した」と内容は同じですが・・なんというか、日本など他の国とは表現が異なることで、ちょっとおもしろいと思いました。『韓国的な表現』ではないでしょうか。本部長は、関連省庁である産業通商資源部所属の人で、次官、すなわち副大臣レベルにあたいします。ソース記事はニュース通信会社ニューシースの今日の記事で、特別待遇は記事の題でもあります。米国側の人たちと、いろいろ面談をした、とのことですが・・すでにその時点で、関税猶予は決まっていたのではないか、そんな気もします。
実際、本部長も記者団とのインタビューで、「(面談などで米国側の人たちと話している間)猶予の可能性はまったく見えなかった」と話しています。今回の関税猶予は、トランプ大統領が自分で決めたことで、政権の中にも知っている人がほとんどいなかった・・という話もあります。しかし、実は90日間猶予の話、2日位前に一部のメディアに報じられて、米国株が急騰したことがあります。ただ、そのあとすぐにホワイトハウスが「事実とは異なる」と発表し、ハプニングが終わりました。こういうニュースがあったということは、すでに2日前にはある程度、政権内部で話し合いがあったと見るべきではないでしょうか。相手側の人たち、会談しながら何を思ったのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・政府はドナルド・トランプ米大統領が9日(現地時間)発効した国家別相互関税を90日間猶予すると明らかにし、「関税交渉を持続して韓国業界の影響を最大限減らす余地が確保されたという点で、肯定的」と評価した。ただし、トランプ大統領が中国に100%を超える関税を課したことには、韓国経済に風船効果があると見た。また、米国と交渉妥結までは簡単ではない過程を必要とする、と見ているとも話した。ジョンインギョ産業通商資源部通商交渉本部長はこの日、米国ワシントンDC駐米大使館で特派員懇談会を開き、「我が国にも25%国別関税を賦課するという発表があっただけに、対米輸出条件が大きく下がるのではないかと懸念される状況だった」と述べた。トランプ大統領は2日、相互関税を発表し、韓国には25%の関税を策定した。関税はこの日午前0時1分から発効した。ところが、午後に入って突然中国を除いた残りの相互関税は90日間猶予し、10%の基本関税だけ適用すると発表した。
これにより韓国も当分の間は全世界の国々と同じように10%の関税を課されることになり、とりあえずは一息つけるようになった。この10%の関税は世界中の国々に一律、同じように適用され、輸出競争力に与える影響は比較的制限的な見通しも出ているからだ。ただし、関税による費用上昇負担は相変わらずだ。相互関税のほか、鉄鋼及びアルミニウム、自動車産業も25%の関税が適用されている。米国が中国にはなんと125%の関税を課し、全面攻勢に乗り出した点も憂慮すべき課題だ。
本部長は「韓国を含む全世界の基本関税10%はそのまま維持され、中国を対象とした125%関税により、韓国企業の対中輸出、風船効果による第三国輸出に及ぼす間接的な影響などを勘案すれば、依然として影響を最小化するための迅速な対米協議努力が必要だ」と話した・・・・米中貿易がさらに深化した場合、一次的に中国に進出している韓国企業が影響を受けることになる。米国輸出が詰まった中国商品の一部が韓国市場に注がれ、国内産業も影響を受ける可能性がある・・・・ジョン本部長は相互関税などを交渉するために前日ワシントンDCに入国し、世界各国代表たちと関税交渉を行っているジェイミーソン・グリア米貿易代表部(USTR)代表と約1時間面談した・・
・・(※他にも何人かの米国側の人と面談したが)彼らとの会同で、相互関税猶予の気配は感じ取ることがまったくできなかった、と政府関係者は伝えた。本部長は引き続き、グリアー代表に「韓国に課した相互関税及び鉄鋼、自動車など関税措置に対する私たちの立場を説明し、関税引き下げなど特別待遇を要請した」と話した。商務部の人事との出会いでは「鉄鋼と自動車関税は韓国産業の観点から非常に大きな負担になるため、早く撤廃しなければならないという立場を明らかにした」と政府関係者は伝えた。ただ、グリアー代表などが関税引き下げと関連して確実な返事はしていない、とも伝えられた。また、両国貿易収支調整と造船産業、液化天然ガス(LNG)分野に対する協力議論が行き来したが、細部事項への合意までは至らなかったという(ニューシース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。