米「こ、これでどうだ」、中「じゃ、じゃぁこれでどうだ!」という、レベルが高すぎるのか低すぎるのかよくわからない応手が続いています。予想通り、中国はレアメタルの制限措置を行いましたし(14日東亜日報)、トランプ大統領は「スマホもコンピューターも『半導体関税』が適用される」とし、新しい半導体関税発表を行うとしました。ちなみに、トランプ大統領は「スマホや半導体を相互関税から例外にするというのは誤報だ」と主張しましたが、誤報もなにもその発言のわずか1日前に税関・国境取締局CBPが例外品国として発表したばかりです。中国政府はスマホ・半導体除外を「間違いを正す小さな一歩だ」と発表したりしましたが、これもキャンセルしたほうがいいかもしれません(笑)。「14日に半導体関税の具体的な発表がある」とのニュースもありましたので(本ブログでも昨日紹介しました)、とりあえず様子見しかできませんが、もうなにがなんだか。とりあえず韓国としてはものすごく重要な発表になるので(世界各国にとってそうですが)、いずれまた取り上げることになるでしょう。
そんな中、「サービス貿易収支まで考えると、トランプ政権が発表した相互関税(上乗せ分も含めて、日本24%、韓国25%など)は大幅に下るという記事がありました。中央日報が報じています。そもそもトランプ関税そのものが、単には米国の(相手国との)貿易赤字額を輸入額で割って、100を掛けて算出しただけのもの、という指摘もあります。算出そのものが無茶苦茶だけど、でもあえてそれに合わせて算出するとしても、サービス貿易まで考えると、その相互関税は大幅に下がり、特に日本の場合は7%も差が出る(韓国が6%)、というのです。また、マネーSなどによると、米国は今年になってから非関税障壁を大幅に強化している、とのことです(貿易技術障壁など)。以下、もう一つずつ取り上げるとキリがないので、各記事の該当部分だけ<<~>>で引用してみます。
<<・・今年1~3月期、WTO(世界貿易機関)各加盟国が韓国に通知した「技術規制」が、前年比で大きく増えた。ドナルド・トランプ米政権は関税に続き、非関税障壁である技術規制でも韓国輸出に影響を及ぼしている。14日、産業通商資源部によると、今年1~3月期のWTO加盟国の技術規制通報件数は、前年同期比12%増の1334件であり、これは四半期期基準では最多記録となる。技術規制の一部は貿易に大きな影響を与え、TBT(貿易技術障壁)とされる。TBTは代表的な非関税障壁である。1~3月基準、米国、EU(欧州連合)、中国など韓国の主要3大輸出市場での技術規制が平均増加率より高い20%以上も上がったことが分かった。米国は自動車安全規制、エネルギー効率規制を強化し、化粧品製造のための物質など制限するなど、前年比29.4%急増した132件で、1位に上がった(マネーS)・・>>
<<・・中国が先端技術の核心鉱物であるレアメタル輸出に制限をかけた。13日(現地時間)ニューヨークタイムズ(NYT)によると、中国政府は自動車とドローン、ロボットとミサイルなど先端製品を作るのに不可欠なレアメタルと磁石の輸出を中断した。ニューヨークタイムズは今回の措置が中国政府の新しい管理システムが用意されるまで施行されると見た。また、このシステムは軍事企業を含む米国会社にレアメタルなどが供給されるのを永久的に防ぐだろうと見通した。中国のレアメタル輸出制限措置はすでに予告されていた。中国国務院傘下商務部は4日、特定レアメタルに対する輸出管理制限措置を施行すると明らかにした。
サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムなどレアメタル7種に対して輸出許可制度を適用する方式である。中国のこのような措置は、長期的に韓国にも影響を及ぼす可能性があるという分析が出ている。現代自動車など完成車業界は、ジスプロシウムがモーターとバッテリーの主要部品製作に使われるだけに、レアメタル供給が長期間制限されると、電気自動車などの生産に影響が出るだろうと見ている(東亜日報)・・>>
<<・・ドナルド・トランプ米大統領が全世界を対象に相互関税をかけ、商品貿易で米国の赤字だけを強調しながら、実は黒字を出しているサービス貿易は除いていたことが分かった。昨年、米国は韓国との貿易で商品では662億ドルの赤字を出したが、サービスでは107億ドルの黒字を見た。トランプ大統領は商品赤字だけを反映して相互関税25%を課したが、実際のサービス黒字を含めると韓国の関税率は19%に減少する・・・・商品とサービス貿易数値の両方を入れて同じ方法(※トランプ政権の算出式)で計算すれば、韓国の関税率は19%になる。非商品貿易であるサービス部門には、旅行・輸送・通信・情報サービス・知識財産権(映画・ドラマ・音楽など)・保険・金融サービスなどが含まれる・・・・主要貿易国のうち、韓国・日本・欧州連合(EU)などがトランプ政府式関税計算で最も大きな影響をを受けた。 EUに実際に課された関税率は20%だが、サービス貿易収支を含めると10%に減る。米国から高率の関税をかけられた日本(24→17%)・台湾(32→28%)・ベトナム(46→44%)なども税率が下がる(中央日報)・・>>
最後に、前にも引用したことがありますが、「日本に24%」の関税率が適当に計算したのではないか、という指摘の部分をもう一度紹介します。 <<・・みずほ銀行の長谷川久悟マーケット・エコノミストによると、この関税率は米国の対日貿易赤字額を輸入額で割り、100を掛けて算出した可能性が高いという。実際に米国の2024年の対日貿易赤字685億ドルと輸入額の1482億ドルをもとに計算すると、約46%になった。他の主要国でも同様の結果で、相互関税率は関税率を単純に2で割った数字にほぼ一致した。相互関税率を関税率の半分程度とした理由について、米政府高官は「大統領は寛大であり、世界に親切でありたいと望んでいる」と強調した(時事通信)・・>>、と。ちなみにこれ、韓国でもまったく同じ記事が出ています。このやり方で計算してみたら、ちょうど50%(その半分の25%適用)になった、という内容です。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。