韓国大統領(代行)「私と電話会談した後に相互関税が90日間猶予された。私たちの意志に米国が答えたのだ」

今月13日、駐韓中国大使が韓国語で「米国が相互関税を90日間猶予したのは、中国のおかげであることを忘れないでほしい」とSNSに投稿した・・というニュースを紹介しました。で、昨日(14日)は韓国の韓悳洙(ハンドクス)国務総理・大統領権限代行が、「私と電話会談した2日後に相互関税を90日間猶予した。私たちの協議の意志に答えたのだ」と話しました。ダイレクトには言ってませんが、ハン総理と電話したことで相互関税が猶予された・・というニュアンスの発言です。韓国日報などが報じています。ソース記事は淡々と書いていますが、他にハンギョレ新聞などは「なんの因果関係もありません」とも(笑)。いや、それは別に一つの国のおかげではないでしょう。

そもそも対中関税は猶予ではなかったし、韓国は6月に新しい政権が始まります。韓悳洙総理が出馬、当選する可能性もなくはないですが、決して高い可能性とは言えません。ひょっとすると、出馬を意識して「功績アピール」したかったのかもしれません。どちらかというと、日本、石破総理と電話会談したのが大きかったのではないか、そんな気もします。当時、米国の反応は「待ってました」な感じで、閣僚を日本との交渉担当にするなど、他国とは多少異なる反応でしたので。




ちなみに、米国は日本の対応を「素早い」(だからこちらも優先的に対応する)としていますが、もっと早く応じた国もあります。たとえば、先週は米国とベトナムが関税関連交渉を行いました。米国としては、日本からの連絡を「待っていた」、または「待ち構えていた」のでしょう。対米最大投資国で、同盟でもある日本との交渉結果を、他国に対して「ある種の基準」として使うためにも(そう考えると交渉は一筋縄ではいかないでしょう)。今週は日本の番で、来週は韓国との協議が行われます。もうすぐ大統領選挙になる韓国の場合、いま協議した内容が維持できるのかわかりませんが。以下、<<~>>で引用してみます。

 

<<・・韓悳洙大統領権限代行が14日、「ドナルド・トランプ米大統領と対話(※電話会談)し、その2日後に90日間、相互関税の適用を一旦猶予した」とし「誠実に交渉を進めるという私たちの意志に、トランプ大統領も同意したものだと思う」と話した。また「必要な場合、トランプ大統領と直接コミュニケーションを通じて解決点を作っていくよう努力する」と話した。ハン代行はこの日、ソウルの総理公館で開かれた経済安全保障戦略TF会議で、8日、トランプ大統領との通話内容を簡単に説明し(※「米国側に電話してくれと要請した」という話が出てから2ヶ月経ってからのことです)、今後の対米交渉を肯定的に評価した。




代行は「どのように交渉を進めていくのか、そのような私たちの立場を、トランプ大統領に詳細に説明し、トランプ大統領も非常に満足していた」とし「(その後、トランプ大統領が)韓国と日本、インドなど3カ国とはすぐに交渉を進めるようにと部下たちに指示したと思われる」と説明した(※日本を優先交渉対象にするという話は、トランプ大統領とハン代行との会談の前、トランプ大統領と石破総理の電話会談の直後に出てきました)。

 

代行はまた「おそらく、一日~二日も経たずにして、アラスカLNG(液化天然ガス)と関連し、韓米間にテレビ会議があると予想している」とし「すべての分野で韓米が交渉体系を整え、早いうちに具体的な内容を導き出すための交渉を始めることになるだろう」と伝えた。

ハン代行は米国との交渉の大きな骨子を、造船、LNG、貿易均衡改善回復に挙げた。代行は「両国間で、(※電話会談で)一旦議論を続けるための友好的な勢いが形成されたため、両国政府は今後、通商交渉を最優先課題にして、関税による負担を最小化するための努力を尽くしていく」とした。それにもかかわらず「しかし、毎日のように新しい政策が発表になっており、また近いうちに半導体分野に対する関税発表が予告されるなど、通常環境の不確実性がまだ大きい状況で、我々は緊張を解いてはならない」とも呼びかけた(東亜日報)・・>>




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