さて、来週は韓国の閣僚が訪米し、トランプ政権と関税交渉を始めます。出てくる話そのものは、「米国の貿易赤字なんとかして」など日本とほぼ同じかもしれません。ただ、自動車だけでなく半導体の話が、やはり増えるのではないか、そんな気もします。サムスン電子がHBMを供給していたエヌビディアのH20の対中輸出が「許可制」になったこともあるし、他の品目別関税とは異なり半導体関連はまだ全貌が見えていないこともありますので、日本に比べて不確実性という側面が「さらに」問題になるのではないか、そんな気もします。ニュース1などによると、いま訪米を予定している崔相穆(チェサンモク)経済副総理では限界が明らかで、首脳同士の会談が必要ではないのか、今になってそんな主張が盛り上がっています。でも、首脳いないので、韓悳洙(ハンドクス)大統領代行が訪米すべきじゃないのか、など。
首脳同士の話し合いが必要だろう、というのはわかりますが、ちょっとそれを言いだすのが遅すぎないか、そんな気もします。韓悳洙代行が訪米するとしても、6月にはまた新しい大統領が誕生します。トランプ政権がそれを知らないはずがないでしょう。一応、法律的に問題ない権限代行なので、選挙前に急速に話を進めて妥結できるなら、そしてそれを『ものすごくきれいに』包装して発表することができるなら、大統領当選も夢ではない、そんな可能性もあるにはありますが・・今のところ、可能性が高いとは言えません。中央日報が今朝報じた新しい支持率調査によると、李在明前代表が38%で、保守側候補8人全員合わせても27%だ、とのことでして。韓悳洙代行、洪準杓(ホンジュンピョ)大邱市長、金文洙(キムムンス)前雇用労働部長官が7%で、保守側候補としては同率1位です。率直に、「あ、これオワタ」としか思えない結果です。さて、首脳(代)の関税妥結で大逆転勝利はありえるのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・防衛費まで言い出したトランプ・・チェサンモク限界、ハンドクス訪米主張(※題)。米国が日本との関税交渉を進めた中、ドナルド・トランプ大統領が直接出てきて防衛費分担金問題に言及し、来週に予告された韓国と交渉も容易ではない可能性が高くなっている。結局、日本では石破茂首相が直接米国を訪れ、議論する案が言及されており、韓国もハンドクス大統領権限代行国務総理の訪米の必要性が高まる状況だ。19日、外国メディアなどによると、トランプ大統領は16日(現地時間)ホワイトハウスで赤沢経済再生大臣が率いる日本貿易交渉団と50分間面談し、トゥルースソーシャルに「大きな進展があった」と自評した。朝日新聞など報道によると、トランプ大統領は日本の駐日米軍駐留経費負担が足りないと主張し、日本で米国自動車の販売量が少なく、貿易不均衡解消を要求したという・・
・・石破首相はこれに対して「今後交渉が順調だとは思えない」とし「閣僚級協議の進行状況を見守り、最も適切な時期に米国を訪問してトランプ大統領と直接会談することを当然考慮している」と明らかにした。当初、日米交渉は閣僚級交渉で推進されたが、トランプ大統領が直接関税交渉テーブルに出て、防衛費をテーマに上げ、関税と防衛費を一度に請求する「パッケージディール」を再び掲げた。韓国も来週に米国との交渉を進める予定という点で、トランプ大統領が私たちにも関連要求をする可能性があると推測できる。政府は来週、韓米財務・通商司令塔間の「2+2会談」を推進している。
朝日新聞は、トランプ大統領が安保問題を関税交渉での「カード」として使う可能性があり、韓国と日本が米国に安全保障問題として大きく依存しているという点は交渉で弱点になる可能性があると指摘した。これに防衛費などが含まれたパッケージ・ディールを交渉するためには、経済司令塔だけでは足りないという指摘も出ている。ハンドクス権限代行も14日、「必要な場合、トランプ大統領と直接コミュニケーションを通じて解決点を作る」と述べただけに、訪米を推進しなければならないという声も高い(ニュース1)・・>>
で、先も書きましたが、首脳会談をやるとして、「首脳って誰のこと?」という問題があります。超スピードで妥結できたなら、それで大統領選挙に影響があるかもしれませんが(内容にもよりますが)、少なくとも現状では、政権交代は間違いないと思われます。ここから中央日報の、次期大統領選挙の支持率データです。出馬していない人も含まれています。
<<・・27日に大統領選挙候補が確定する共に民主党は、順調だ。イジェミョン経選候補は18日、韓国ギャロップ社が発表した次期大統領選挙選好度調査で38%を記録し、自身の最高値(37%、12月3週目)を更新した。かつて30%内外だった様相とは変わってきた。地域別公約を発表するなど、事実上、大統領候補としての歩みを見せている。与党「国民の力」は、よくわからない状況下にある。ギャロップ社の同じ調査で、8人の候補たちの選好度をすべて合わせても、20%台にとどまっている。キムムンス、ホンジュンピョ候補が7%で、ハンドンフン候補が6%だった。これらは一ヶ月近く、一桁のままである。弾劾反対運動の気流に乗って12%(2月2週目)を記録したキムムンス候補も、半分近く下がった・・
・・ハンドクス大統領権限代行が注目されている。韓国ギャロップ社の今回の調査で7%を得たが、先週(4月2週目)の調査で2%を得て初めて登場した後、1週間ぶりに5%ポイントも上がったことになる・・・・保守側候補を全部合わせても27%だ。ユン・ジョンビン明治大政治外交学科教授は、「ハンドクス代行が出馬した場合、「中道層の支持をどれだけ得ることができるかがポイントにになるだろう」と見通した(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。