さて、数ヶ月前から「中国資本が韓国に進出し、対米輸出(迂回輸出)を試みている」というニュースを紹介してきました。タグ(事実上中国製だけど韓国製に)を替えただけだという 表現も目立ちました。そのような場合は、ほとんどが合法です。韓国には、日本のような事前審査制度がないとのことで、とりあえず中国から資本が入ってきたら歓迎する雰囲気になってしまう、とも。ただ、毎日経済 と ロイター(コメント欄からの情報、英語版)などによると、違法的なもの、たとえば前から準備して工場を建てるとか売買するとかではなく、本当にタグを替えるだけで(比喩ではなく、本当の意味で)中国製品を韓国に持ち込んで、そのまま米国に「韓国製」として輸出する件も、金額基準で増えています。件数はまだ少ないですが・・はてさて。以下、<<~>>が引用部分です。
<<・・韓国関税庁は21日、ドナルド・トランプ米大統領による広範囲の関税を回避するため、主に中国からの輸入品を韓国の輸出品として偽装する件が増加していると発表した。韓国関税庁は、先月の特別調査の結果、1~3月期から原産国に関連する違反が295億ウォン相当見つかったと発表した。そのうち米国向けの貨物が全体の97%だった。2024年全体の総額は348億ウォンで、そのうち米国向けの貨物が62%だった。1月に就任したトランプ大統領は、2月から対中関税を引き上げ始め、さまざまな製品や国に大幅な関税をかけてきた。
「トランプ大統領の最初の任期中に偽装輸出の試みが増加しており、同様の傾向が見られるだろうと予想している」と、韓国税関捜査局の捜査計画担当官は述べている・・・・当局は、リスクの増大を予想し、違法輸出を未然に防ぐため、最新の調査を実施した。担当管は記者会見で、トランプ大統領の関税回避を試みている兆候が1~3第期から既に見られていたと述べた。21日の調査結果には、トランプ大統領の関税発効の前、1月にもすでに高かった関税を回避するため、中国から輸入され、韓国を原産国として偽って米国に出荷された、バッテリーに使用される33億ウォン相当の正極材が含まれている。3月には、中国の通信機器に対する米国の規制を回避するため、193億ウォン相当の監視カメラが中国から部品として輸入され、韓国で再組み立てされた。一部の商品は海外に出荷されたが、一部の商品はまだ港に残っている(ロイター)・・>>
<<・・A社は、1月、中国産二次電池正極材を米国に輸出して税関当局に摘発された。A社は25%に達する高率関税を避けるために、中国から取り入れた正極材を国産のように包装だけを変えたり、国産正極材と混合した後、原産地を国産と表記した。最近になって急増するこのような国産の偽装迂回輸出(為替・Transshipping)の試みに対し、通商当局の負担が加重されている。特に米国向きの迂回輸出摘発規模は、今年に入って3ヶ月で昨年の年間記録を超えている。ドナルド・トランプ米大統領が迂回輸出を指摘しているだけに、これを遮断するための案が求められている・・
・・21日、関税庁によると、今年1~3月のうち米国への迂回輸出行為は3件、摘発金額は285億ウォンと集計された。昨年には計4件の迂回輸出行為が摘発され、摘発金額が217億ウォン規模だった。金額を基準にわずか3ヶ月ぶりに昨年の年間記録を越える迂回輸出行為が摘発されたわけだ。関税庁の関係者は「最近、米国政府の貿易政策の変化に伴い、相互関税と輸入規制を回避するためにその対象となる製品を韓国を経由して迂回輸出する行為が大きく増加している」と説明した。
特に、中国産製品が韓国を「原産地」として活用する場合が増えている。先月、税関当局は中国産CCテレビカメラなどを国産にし、米国に輸出したB社を摘発した。B社はCCTVカメラを、組み立て前の状態で輸入し、国内で組み立てた後、国産にして輸出した。米国が行っている中国産通信・映像セキュリティ機器に対する輸入規制を避けるためだった。
ホ・ユン西江大学国際大学院教授は「米国と中国の関税政策が共に現実化すれば、中国の迂回輸出行為は今よりはるかに深刻化する可能性が大きい」とし「保護貿易主義に流れる世界の通商秩序の流れを冷静に認識し、私たちも対応能力を育てていかなければならない」と助言した。税関当局も今後迂回輸出の試みが頻繁になる可能性が大きいだけに、全方位的に取り締まりに乗り出した。関税庁は貿易安保特別調査団を発足し、米国の国家別関税率差を利用した迂回輸出を遮断することにした。集中取り締まり対象は米国の反ダンピング関税、相互関税など高関税賦課物品と輸入制限対象物品だ。関税庁は国家情報院はもちろん、米国国土安保捜査局(HSI)、関税国警保護庁(CBP)など国内外の情報機関と捜査協力と情報協力も拡大していく予定だ(毎日経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。