さて、一つ前のエントリーでもお伝えしましたが、文在寅前大統領関連で動きがあったものの、これが次期大統領選挙にどんな影響を及ぼすかは、まだなんとも言えません。現在、相変わらず共に民主党の李在明候補が他候補たちを大きくリードしており、調査機関によっては「次期大統領支持率」で40%を突破したという結果も出ています。そんな中、経済公約がどうなっているのかが、各メディアから注目されています。4月20日にもお伝えしましたが、最近、韓国も低成長時代が続いています。この流れは、程度の差はあれど、これから続くことになるでしょう。去年4~6月期マイナス0.2%(前期比、実質GDP)、7~9月期0.1%、10~12月期0.06%成長でした。そして、KBSの報道によると、事前の中央銀行の予想通り、今年1~3月期は、マイナス0.2となりました。1960年代以降、ここまで低成長が続いたのは初めてのことだそうです。
また、本ブログで子テーマとして何度かエントリーしてきた、自営業(データによっては個人事業者だったりしますが)の廃業問題、「ただ休んだ」と表現される、特に青年層で目立っている、経済活動をしない人たちの増加、などなどの問題もどんどん問題として指摘されていますが、好転の兆しは見えないでいます。このような状況だから、経済関連での公約も気になることでしょう。そんな中、いままでも「自営業者の数を国が制限する」「全国民基本所得制度(全員に一定金額を政府が支給する)」「エヌビディアのような会社を作って民間と国民が共に所有すれば、税金が必要なくなる」など、輝かしい公約を言ってきた(やってきたわけではありませんが)李在明候補。毎日経済 と 東亜日報から、「エネルギー高速道路(自然エネルギー巨大インフラ)」と「国内生産増加(韓国版IRA、インフレ抑制法)」についての内容を<<~>>で引用します。ちなみに、他に「AI100兆ウォン投資」、「KOSPI5000」、「科学技術研究開発予算大幅増額」、「防衛事業4大強国」、「文化5大強国」などがあります。
<<・・1~3月期、マイナス成長を記録しました。韓国銀行は本日、1~3月期の実質GDPをマイナス0.2%だと発表しました。昨年4~6月期にもマイナス0.2%でマイナス成長率を記録し、再びマイナス成長に戻ったのです。4連続、四半期基準で0.1%未満の低成長率。このような流れは、1960年の関連統計の作成以来初めてです。逆成長の最大の原因は内需不振です。民間消費は余暇費用と医療消費が減り、0.1%減、政府消費も0.1%減少しました。投資部門の不振はより明確です。設備投資は半導体製造用機器のような機械類中心で2.1%減少し、2021年7~9月期以降最大の減少幅です。建設投資と設備投資もマイナス0.2%で、全体の成長率を下げました。韓国銀行は、政治的不確実性の長期化と米国の関税政策が成長率を引き下げていると分析しました(KBS)・・>>
<<・・(※エネルギー高速道路とは、本当の高速道路ではなく、気候などを利用したエネルギーを各地に配電するための、朝鮮半島を「U」の地でめぐるインフラを構築するという話です)・・「全南・全北の豊かな風力と太陽光で気候問題に対応し、経済跳躍のための新しい動力にする」と付け加えた。李候補は「エネルギー競争力こそが産業競争力」とし「気候問題対応と持続可能な成長のために、再生エネルギーを拡大し、安定したエネルギー供給体系を構築する。これを通じてエネルギー転換先導国に跳躍しなければならない」とした。続いて「経済成長と気候対応の大動脈、エネルギー高速道路を構築する」とし「2030年までに西海岸エネルギー高速道路を建設する」と約束した。
それとともに「20GW規模の南・西海岸の海上風力を海上電力網を通じて主要産業地帯に送電し、全国にRE100産団(※100%自然エネルギーによる事業を拡大すること)」とし「2040年完工目標としてU字型の朝鮮半島エネルギー高速道路の建設を始めとし、朝鮮半島全域に海上ネットワークを構築する」とした。そして「このプロジェクトで湖南と嶺南の電力網を結び、東海岸の海上風力まで連結して国の新しいエネルギーパラダイムを作る」とし「地域で生産し、地域で消費する分散型エネルギー体系を作る」と抱負も明らかにした。また、電力需要の多い企業が首都圏に集中しているとし、これら企業を地域に誘致して地域経済を生かすという計画も伝えた。彼は「再生エネルギー生産地と大規模産業地域を結び、全国にRE100産団を造成する」とし「再生エネルギーと炭素ゼロ産業を、国の経済を責任の責任を負う、第2の半導体産業にする」と強調した(毎日経済)・・>>
<<・・共に民主党のイジェミョン前代表側が、大統領選挙を控え、主要産業公約として「国内生産促進税制」を準備中であることが確認された。共に民主党は国内生産促進税制が「トランプ関税」への対応策になると期待している・・・・李前代表側は党内選挙期間中に徹底的に事前企画された「1日1メッセージ」基調を維持している。李前代表がこれまで発表した公約は、AI100兆ウォン投資、コスピ5,000時代開幕、科学技術研究開発予算大幅増額、グローバル防衛事業4大強国跳躍、文化5大強国達成など、大部分が成長戦略だ(東亜日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。