ベッセント米財務長官が『早ければ今週か来週に初めての合意が行われる可能性がある』と話しました。多分、インドとの合意になるのではないか、という話もあります。合意というのが正式な発表になるのか、それとも実務レベルでの何かの合意を意味するのかはわかりません(多分、合意をしてから、それを両国首脳が正式に発表する形になります)。赤沢経済再生相が訪米、5月1日に会談することになっているので、ベッセント財務長官が話した合意というのが、単に「実務レベルで合意レベルまでやっておく」という意味なら、日米の合意になる可能性もあります。
また、合意といっても、一部のメディアが予想している「暫定合意」、すなわち細かいことはあとで決めるとして、「細部合意をするという大まかな枠での合意」という形になるのか、それとも本当に具体的に決めて、首脳レベルを発表待ち状態まで持っていくのか。そこもまだわかりません。とりあえず、何かの進展があるというのは事実のようで、その内容が気になるところです。「最初のケース」になるのが、得なのかどうかも含めて。そんな中、聯合ニュース(29日)が、日本の関税交渉案として報じられた内容をまとめて記事にしました。韓国では、専門家たちを中心に「私たちよりもっと準備が進んでいる日本の事例を参考にすべきだ」という主張が出ており、各メディアも似たような趣旨を報じているだけに、記事本文に明記されているわけではないものの、ソース記事もそういう趣旨ではないだろうか、と思われます。
また、訪日中のジョン・フェラン米国外軍長官が、艦艇建造の件で「日本、韓国の協力が必要だ」という趣旨で話した、とのことです。ハンギョレ新聞(28日)などが報じています。この件、韓国では結構前から、「米艦艇を韓国が作ることになる」とかなり盛り上がっています。いまの米国には艦艇(商用もですが、韓国では主に軍艦が話題になっています)を建造できる能力がないため、同盟国である韓国に艦艇建造を任せるだろう、その協力を一つの「カード」として、関税交渉とセットで進めるべきだという内容です。でも、韓国「だけ」のはずもなく、今回、日本に対してもハイレベルから同じ話がでてきました。というか、韓国では結構前から話題になっていた案件なのに、こういう話が日本から先に聞こえてきたことになります(笑)。長官は、日本がこの件を関税交渉において議題にする可能性がある、としています。日本としては、利用できるなら(艦艇建造だけでも、日本にとっても得になる側面があるでしょうし)ちゃんと利用して、もっと有利な状況を作ってほしいところであります。ジョンフェラン長官は、まず日本を訪問し、その後に訪韓します。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・米国と二次関税交渉を控えた日本政府が、いわゆる「交渉カード」として安全基準審査を大幅に簡素化し、輸入自動車の物量拡大と砕氷船関連技術協力を検討していると読売新聞が29日報道した。日本側関税担当閣僚である赤沢経済再生大臣は来月1日(日本時間)米国で開かれると見られるスコット・ベッセント米国財務省長官と会談で、このような案に大豆、トウモロコシなど農産物輸入増大などを加えたパッケージを説明するとみられる・・・・日本は自国自動車市場に対する米国の「非関税障壁」関連の対処として、米国産自動車の輸入を増やすために「輸入自動車特別取扱制度」(PHP)を活用する方案を考慮している。
日本で車を販売するには、国内外の企業すべて書類審査、サンプル車両審査、品質管理体制審査などを通過しなければならない・・・・PHPを使用すると、書類の審査が簡素化され、残りの審査は免除される・・・・東京新聞によると、昨年の米国自動車メーカーの日本国内販売台数はシボレー587台、キャデラック449台、フォード217台にとどまった・・・・また、米国と日本はこれとは別に関税交渉過程で両国間に差がある自動車安全基準審査についても議論すると予想されると支持通信は伝えた。砕氷船乾燥技術協力もトランプ大統領の興味を呼び起こす提案として日本政府内で検討されている。読売は「トランプ大統領は資源開発などを念頭に置いて北極圏進出に意欲を見せるが、米国砕氷船の建造技術はロシアなどに遅れている」とし「日本と米国の協力が促進されれば、日本にも利益になる案になるだろう」と述べた。
また、日本では米国側が参加を望むアラスカ液化天然ガス(LNG)開発プロジェクトを交渉に活用できるという見方も出ている。これと関連して日本電力会社JERA関係者は前日の記者会見で「複数の選択肢があるが、当然検討している」と明らかにした。一方、赤沢経済再生大臣は、米国産米の輸入拡大などを懸念する自民党の反発を念頭に置いたように、「自動車のために日本の農林水産業を犠牲にすることは考えていない」と強調した(聯合ニュース)・・>>
<<・・ジョン・フェラン米海軍省長官が「韓国と日本のように船舶乾燥能力に優れた同盟国と協力は必須」とし、軍事・商業用船舶建造に韓日造船業者と協力拡大を予告した。日本を通って来る30日に訪韓するフェイロン長官は、日韓両国はドナルド・トランプ政府と関税交渉カードで造船分野を活用できると助言した。日本民間造船所が横須賀基地などに配置された米軍艦艇の整備・修理を拡大する案も打診する・・・・日本経済新聞は、「インド・太平洋地域で活動していた米軍艦艇が本国に頻繁に戻ることで発生する費用と時間を減らすことができ、日米同盟の強化にも寄与するだろう」と述べた。また、ジョンフェラン長官は最近、韓国造船業者の米国投資と関連して、日本にも米国船舶産業に積極的に投資を要請するものと見られる・・
・・また、フェラン長官は米国政府と二次関税会談を控えた日本が、造船分野を交渉テーブルに乗せることもできると見通した。彼は「(関税交渉で)すべての選択肢をテーブルに乗せなければならない」とし「(造船分野は)交渉可能性のある措置の一つであるに違いない」と話した。日本の造船業は中国や韓国と比べて規模面では相対的に小さいが、技術力は世界的に高い水準を維持している・・・・米国も自国造船業復活を迅速に実現するため、これを関税交渉の対象とすることができる。ジョンフェラン長官は訪日日程に続き、30日に訪韓が予定されているだけに、同様の境遇の韓国にも同じアドバイスをする可能性がある(ハンギョレ新聞)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。