ついに、韓国の大統領権限代行が3人目となりました。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領のあとは、韓悳洙(ハンドクス)国務総理が代行をしました。ここまでは前にもありました(朴槿恵大統領のときも国務総理が代行しました)。でも、そのあと韓悳洙総理も弾劾されて、崔相穆(チェサンモク)経済副総理兼企画財政部長官が権限代行をしていましたが、憲法裁判所の判断でハンドクス総理がカムバック、再び大統領の権限を代行、崔相穆長官は今回の米国関税協議などに参加していました。ですが、韓悳洙総理が、なんと無所属で大統領選挙出馬を宣言、国務総理の座を辞任しました。そして、関税協議の最中だというのに、担当責任者だった崔相穆長官も辞任し、次の権限代行は李周浩(イジュホ)社会副総理兼教育部長官になりました。
このままだと全国民にワンチャンスある・・とまでは言えませんが、とにかく3人目という事実そのものが、ただならぬ政治混乱を意味するものだと見ていいでしょう。というか、先も書きましたが崔相穆企画財政部長官、この時点で辞任していいのでしょうか・・韓悳洙氏の出馬より、個人的にそっちのほうが意外でした。でも、これは、崔相穆副総理というより、野党「共に民主党」の問題です。またもや崔相穆副総理の弾劾案を国会に提出したため、その直後に副総理が辞任する形になりました。他にも理由はあるかもしれませんが、崔相穆さんが権限代行をした場合、また大統領代行の弾劾騒ぎに発展する可能性が高いからです。で、韓悳洙前総理ですが・・無所属で出馬するそうで、そこもちょっと気になります。
与党「国民の力」の複数の議員が韓悳洙前総理の出馬宣言のとき、そしてその直後に姿を見せていた・・という記事もあります。いったん出馬して、当選したら国民の力を統合する形にするのではないか、という話もありますが。国民の力という「政党」を支持する人たちも多いので、これが保守陣営の票を分散させることになるのではないか、そんな可能性もあると言えるでしょう。同じ政党内なら、競選(党内選挙)で候補を一人にすることができますが、無所属だとそうはいきませんから。さて、関税協議中だというのに責任者は辞任するし、国務総理も辞任したし、保守側の票はどうなるのか。せっかく野党側の裁判リスクが盛り上がっているのに、もったいない気もします。聯合ニュース(2日)とアジア経済(2日)から、それぞれ韓悳洙前総理関連、昨日もお伝えしましたが李在明候補関連のニュースを<<~>>で引用します。
<<・・韓悳洙前国務総理は2日、大統領選挙の出馬を宣言し、「任期初日、大統領直属改憲支援機構を作って、改憲成功に総力を傾ける」と話した。韓前総理はこの日、国会疎通官で開かれた出馬記者会見でこのように明らかにし、「3年目に新しい憲法により、総選挙と大統領選挙を行った後、すぐにこの大統領職から降りる」と公言した(※改憲内容には、大統領任期を短くする内容が含まれていて、そのかわりに重任できる内容が入るだろうと見られています)。それとともに「就任初年度に改憲案を設け、2年目に改憲を完了する」とし「改憲の具体的な内容は、国会と国民が議論して決定されるだろうが、私は牽制とバランス、すなわち分権という核心方向だけを提示する」と話した。韓前総理は「国と国民の未来ではなく、個人と陣営の利益だけを追う政治論争が危険水準に達した」とし「私たちが努力して立てた国が無責任な政争で足元から崩れるよう放置してはならない」と強調した(聯合ニュース)・・>>
<<・・ソウル高等裁判所はこの日午前、李候補の公職選挙法記録が到着したと明らかにした。ソウル高法は、破棄差し戻し審を務める裁判部を定めることになる。既存の2審裁判部は外される。裁判部が期日を指定した後、当事者を法廷に召喚する期日指定通知をすることになる。期日までに通知が当事者に送達されない場合、裁判部は期日を再指定しなければならない。最高裁判決は下級審を羈束する。これに伴い、ソウル高法破棄差し戻し審は最高裁判所の有罪判断を覆す決定的証拠が新たに提起されない限り、有罪判断を下すしかない・・・・最高裁に続いて破棄差し戻し審も、迅速な結論を下す可能性があるという観測も出ている中、李候補の防御権などを考慮する際、大統領選挙までの最終確定は物理的に容易ではないというのが法曹界の衆論だ。破棄差し戻し審が終わり、李候補が再上告した場合、上告期間(7日)と意見提出(20日)などの手続きがあるためだ。結局、最高裁判所は、事実上の法的判断を終えながらも、李候補に対する政治的判断は主権者である国民に渡したという言葉も聞こえてくる(アジア経済)・・>>
いや、そこ、国民にわたす(選挙で選ばれるなら、仕方ない)と言えばいいってもんじゃないと思いますが・・高等裁判所もまた異例のスピードで裁判結果を出し、それで出馬そのものが無駄になる可能性もなくはありません。ただ、引用部分にもありますが、それぞれの手続に期間が設定されているので、李候補側が時間稼ぎをすると、時間的に難しいのではないか・・と、個人的にもそう思っています。大統領選挙は、6月3日です。そして、明日は1日休みをいただきます。次の更新は、5月4日の11時ころになります。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。