韓国の自営業者協会、大統領候補たちに「すべての『店』に1000万ウォンずつ現金支給を」

さて、大統領選挙を控えて、公約とか、法律とか、そんな話が増えてきましたが、実は国民側からも、いろいろと要求事項が出ています。韓国の「小商工人」協会が、国中のすべての「店」に1000万ウォンずつ支給してくれと要請しました。タイミング的に、そういう公約を出す候補に票を集めてやる、という意味合いが強いと見て間違いないでしょう。どちらかというと、野党側の考え方と相性が良い気もします。まずは定義からですが、「小商工人」とは、常時勤労者5人未満、製造業など一部業種では10人未満の業者のことです。個人事業者か、法人事業者かは問いません。一般的に、各メディアは「自営業者」と表現します。本ブログでも、題では自営業者にしました。

ちなみに、韓国では、自営業者というのは明確な法的定義はなく、一般的に「店をかまえている業者」を意味します。この要求を飲んだ場合、推算ですが30兆ウォンが必要だとされています。新型コロナのときに支援した金額が60兆ウォンだったとのことで、かなりの金額になります。ニュース1(5月2日)がこの件で前週から複数の記事を出していますが、基本的に「で、自救策(自力でなんとかするための策)はあるのですか」という内容です。小商工人たちが大変なのは分かっているとしながらも(年間で100万人以上が廃業するのが現状です)、さすがにもうそこまでは出せない、そもそも、1000万ウォン出したとして、それから自力でなんとかできる方法は目処がついているのか、というのです。ココだけの話、記事は小商工人たちに向けての話ですが、実は日韓関係でも似たようなシチュエーションが結構あったと言えるでしょう。「弱者としての側面だけ強調せず、経済主体としての自覚を」とか、「苦しくなったら金がもらえるという学習効果がある」などです。<<~>>が引用部分です。




 

<<・・100万人。小商工人が昨年一年、廃業した数字です。今年はこれを越えることが確実視されます。普通のことではありませんし、他人事でもありません。自営業者と小商工人の廃業は、雇用の減少と金融圏の不良債権の増加につながります。中小ベンチャー企業部の2025年度「廃業支援」の申請は、わずか3ヶ月で2万7366件で、昨年1年値とほぼ同じです。税金が投入される事業です。 他人事ではありません。だからでしょうか。小商工人たちは政治家たちにこう言いました。政府が、小商工人事業場1か所につき1000万ウォンずつ「支援」しなければならない、と。これを実現するには、約30兆ウォンの予算が必要です。今年国会が合意した追加経済予算が13兆8000億ですから、その2倍を超える規模です。

昨年、政府は小商工人の問題を解消するため、、「店」一ヶ所あたり「電気料」の名目で30万ウォンずつ配りました。合計2000億ウォンの財政が投入されました。今年は「配達費支援」名目でもう一度30万ウォンずつ配っています。これも同じ2000億ウォンの予算が策定されています。最近用意された「負担軽減パッケージ」として、1か所あたり50万ウォンずつ合計1兆5700億ウォンの現金支援案が追加されました。つまり、今年は対象小商工人1か所あたり80万ウォンの現金支援を受けるわけです・・・・これら一連の政策が小商工人の回生にどれくらい役立ったのでしょうか。実際の政策を執行したハイレベル公務員は、こう言いました。




 

「小商工人支援のための予算事業をしてはいるけど、正直にスプレーかけているようにしか思えません。干ばつに、畑に(※家で使う)スプレーで水を噴霧したところで、変わらないでしょう。そんなところです」。現金支援政策が持つ問題を、彼はこう表現しました・・・・国民の税金と企業の出捐金で設けられた政府予算は、スプレーするのではなく、小商工人の競争力回復に役立たなければなりません。今回小商工人たちが「1000万ウォンずつ支援してほしい」という主張をするのは、これまで政府が繰り返してきた現金支援策が何の効果もなかったという放証であり、それでも「苦しいと金がもらえる」という学習によるものだと思われます・・・・今必要なのは小商工人が、自力でなんとかするための方法です・・

・・(※企業の場合は)財政援助を受ける対価として、改革案を数十回は出します。それでも彼らは責任を負うことになりました。税金を受けるというのは、そういうことです。小商工人が1000万ウォンずつ求める要求が、国民から反発されているのは、小商工人のくるしさだけ強調し、政府支援を通じてどのように再起し、競争力を確保するのかという考えが示されていないからではないでしょうか。多くの専門家は「自営業の構造調整」を話します。 2500万経済活動人口に小商工人が766万です。普通ではありません。もし自営業者が1000万ウォンの支援金を受けて、廃業費用として使用し、借金を清算したり、あるいはこの機会に競争から抜け出して求人難を経験している企業に入る「再就業」の道を行くとすれば、予算使用の目的がより明らかになるでしょう。現金支援では小商工人を助けることはできません。小商工人は「弱者」だけを浮き彫りにするのではなく、経済主体として自ら生き残る案を考えるべき時です(ニュース1)・・>>




 

ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。