どの数値をどう比べるのかで変わったりもしますが、「韓国のGDPにおいてサムスンの売上は何%なのか」というのは前からよく指摘されてきました。大企業グループ、その中でも一部の上位グループに「集中」、いや「集中しすぎ」を指摘する内容でした。最新のデータがあったので、紹介します。今回は「名目GDP比の、売上」データになります。ヘラルド経済(6日)の記事です。一時より、GDPにおいてサムスン電子の割合は減少しましたが、それでもまだ13%。5大グループで約40%です。記事は資産5兆ウォン以上の企業を「大企業」としていますが、その大企業で見ると、GDPの78.8%になります。一般的な大企業の定義は、OECDは250人以上、韓国は300人以上、そして資本金などによります(製造業の場合は資本金80億超過、建設業は30億ウォン超過など)。すなわち、この記事で言う「大企業」は、一般的な大企業の中でも一握りの企業だけ、ということになります。日本の場合は、GDPの約半分が中小企業から発生します。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・昨年、5大グループ(サムスン、SK、現代自動車、LG、ロッテグループ)の売上高が1000兆ウォンを超え、国内総生産(GDP)の40%を占めるなど、大企業集団の売上が韓国経済規模の80%水準に迫ったと調査された。6日、関連省庁などによると、公正取引委員会が最近指定した公示対象企業集団(以下、大企業とする・資産5兆ウォン以上の企業集団のこと)92社の昨年の売上高は2007兆7000億ウォンと集計された。韓国銀行が発表した昨年名目GDP(2549兆1000億ウォン)の78.8%に達する規模だ。
このうち「上位大企業」と呼ばれる相互出資制限企業集団(資産11兆6000億ウォン以上)46社の売上高は1833兆1000億ウォンで、GDP比71.9%水準だ。相互出資制限企業集団は「大企業」のうち、資産基準で上位50%で、売上の91.3%を占めた。大企業といっても、上位企業の集中度が圧倒的という意味だ。企業売上高は海外発生分も含むため、GDPとはカテゴリーが完全に一致するわけではない。だが、特定期間の算出量を示すという共通点を考えると、大企業集中の程度を考えるためのデータにもなる。財界1位のサムスングループの昨年の売上高は、公正委基準で331兆8000億ウォンだ。サムスングループ1社の売上が韓国GDPの13.0%に達するという意味だ。
次は現代自動車グループ(279兆8000億ウォン・11.0%)、SK(205兆9000億ウォン・8.1%)の順だった。サムスン・SK・現代自動車・LG・ロッテなど上位5大グループの売上高は1025兆ウォンで、昨年韓国経済生産の約40%に達した。大企業の集中現象は、これといって目新しい話ではないが、これを問題と見るか、経済を支える「柱」と見るかは、政権覚によって政策対応が異なる・・(※文在寅政権では問題とし、尹錫悦政権では援護してきたという話の後に)・・GDP比大企業集団の売上高の割合は、2018年70.9%から2019年68.7%、2020年65.3%に徐々に下がった。
そして新型コロナ期間を経て、状況が変わった。危機対応力の高い大企業の売上が大きく上昇し、その割合は2021年73.5%、2022年85.2%まで跳ね上がった。2022年5月に入ったユン政権は、法人税の最高税率の引き下げ、企業規制の緩和など親・企業の政策を展開した。 GDPに対する大企業の売上高は2023年の79.4%、2024年の78.8%で、新型コロナのときよりは低くなったが、文在寅政権初期よりは高い水準を維持した・・来月の大統領選の後、新政権の大企業政策が具体的になってくると、その方向も変数になると思われる(ヘラルド経済)・・>>
引用最後の部分ですが、これはもちろん政権のやり方による部分もあるでしょう。でも、その期間の「前」と「後」で、中小企業の勢いが急激に弱くなったという見方もできるかもしれません。大企業はなんとかなったけど、中小・零細企業はそのパンデミック期間の影響から抜け出せずにいる、とか。たとえば、2022年は85.2%と高くなっていますが、この期間に大企業の売上が大幅に増えたとはちょっと思えません。「それ以外」が急に減少したのではないでしょうか。4月29日にも書きましたが、この状況下で「もっとも雇用が発生しているのは『飲食店』」というデータもありますから、不思議なものですね。
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。