さて、一つ前のエントリーでも書きましたが、裁判所が「じゃ、じゃぁ別にいいよ」と一歩下がったことで、李在明候補の関連リスクは大幅に減りました。こんな状況の人が大統領候補になること「それ自体」を問題にすべきじゃないか・・そんな気もしますが。そこで、与党(国民の力)に残されている対抗策としてもっとも注目されているのは、保守側の候補を単一化できるのか、です。今回の大統領権限代行中に「野党と対立した」というイメージができて、大きな人気を集め、無所属で出馬した韓悳洙(ハンドクス)候補。そして、与党「国民の力」の候補に選ばれた前雇用部長官、金文洙(キムムンス)候補。この二人が、候補を単一化できるのかどうか、という話です。
ちなみに金文洙候補の場合、競選(政党の公式大統領候補を決めるための党内選挙)の間、「すぐにでも韓悳洙候補を話して、候補を単一化する」としていました。個人的に、なんだかんだんで単一化するのでは・・とも思っていましたが、競選がおわると、大した動きもなく、ついに金文洙候補が「いま党が進めている単一化には応じない」と宣言し、「国民の力の候補としての地位」について、裁判所に仮処分申立を行いました(中央日報、MBN、ともに今日の記事です)。単一化する気のある人の行動だとはまずおもえないし、もし単一化の動きがあっても、与党候補の座は譲らない、ということでしょう。もしこれが受け入れられると、韓悳洙候補に単一化できたとしても、無所属として出るしかなくなります。これで、単一化が出来るのでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・キム・ムンス国民の力大統領候補は、本人の大統領候補地位を確認してもらうため、裁判所に仮処分申請もしました。党指導部が推進中の単一化と候補交替の動きに正面に立ち向かうという意志に見えます。政党所属候補が裁判所に直接自分の候補資格を訴える、初めての状況が起きたわけです・・・・金候補側は「党が第三者に大統領候補資格を与えてはならない」と主張しました。現在進行中の単一化の推進と、候補交替の試みを止めるための措置、という説明です。
【キム・ムンス/国民の力大統領候補「党大会を招集して候補を交替しようとする手続きを止めるべき・・」】 金候補は、自身が正当な手続きを通じて選出された公式候補であり、党が政治的計算に基づいて候補交替を推進していると批判しました。金候補の今回の仮処分申請は、その可能性を事前に遮断するという強い意志だと思われます(MBN)・・>>
<<・・ハンドクス無所属大統領選挙予備候補と「単一化」葛藤中のキムムンス国民の力大統領候補が、9日、単一化を拒否しました。金候補はこの日午後、国会で開かれた議員総会に参加し、「当指導部の単一化意図は、私を引きずり下ろし、無所属候補を候補にするための単一化に過ぎず、応じることなどできない」と明らかにした。彼はこの日、党指導部に向けて「単一化の試みは違法で反民主的行為で、直ちに中断してほしい」と要求した。金候補は「候補に選出された当日(3日)党指導部に対して・・・・指導部が『先に候補単一化からして、それから対策委員会を作ろう』と話し、びっくりした。当職者がこのような話をしていいのか」と話した。続いて「党指導部は現在までも無所属候補を大統領にしようとあらゆる試みをしている」と主張した・・
・・キム候補は「単一化は自由陣営の力を一つにまとめて力を高めようとするものだが、今は、党が私を引きずりおろして、選挙で一度も検証されていない無所属候補を大統領候補にしようとしているだけで、それ以上のなんでもない」とし「このような単一化に私が応じることなどできない」と声を高めた。それと共に「信じてほしい。私が出て、勝つ」とし「すぐに選挙準備に入り、党の力を集めたなら、今日の支持率はもっと高くなっているはずだ」と話した。続いて「私は、イジェミョンとの世論調査で何度も勝利した結果を出したこともある。ハンドクス候補が、イジェミョンに勝ったことがあるのか」とし「競争力調査でも私とハンドクス候補はほとんど差がない結果が出ている」と主張した。「一緒に行こう、私が勝つ」と話したが、国民の力の大多数の議員は拍手しなかった(中央日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。