韓国の政・財界、「日本と韓国でEUのような経済共同体を」「日韓FTAを」など

5月9日にもお伝えしましたが、最近、日韓経済協力という話が増えてきました。思えば、珍しいことでもないかもしれません。たとえば、円安は国力の問題だとかそんな記事が溢れながらも、なにかあればすぐ通貨スワップが必要だという話が出てきます。「それ」のもっと包括的なバージョン、とでも言いましょうか。毎日経済(10日)が詳しい記事を載せているので、紹介します。積極的に主張しているのは、SKグループのチェテウォン会長。共に民主党のイジェミョン候補も、「私もまったく同じ考えだ」としてなが同調し、ついに日韓FTAを締結し、CPTPPにも参加すべきだと言い出しました。さて、どういう話が出ているのか、<<~>>で引用してみます。ちなみに、日韓経済共同体を作るとか言ってますが、本文に「これからの韓国の成長モデルとしての日韓経済共同体」としか記述がありません(日本の成長に関しては内容がありません)。

<<・・財界ではチェテウォンSK会長が、韓国の新しい成長モデルで韓日経済連帯に力を入れている。韓日経済連帯でトランプ発関税問題に対応するのはもちろん、最終的に両国経済共同体として育てようという構想だ。チェ会長は8日、イジェミョン共に民主党大統領候補が参加した経済5団体懇談会で「最も近い隣国である日本と経済連帯を模索することが必要だ」とし「単純な協力程度ではなく欧州連合(EU)のような経済共同体を考えている」と話した。韓国と日本の国内総生産(GDP)を合わせれば6兆~7兆ドルに育てることができ、ここでの1%の成長は、去韓国だけを基準とした2~3%成長より大きいという説明だ。




 

チェ会長が主張する韓日経済連帯は、単純な経済協力を超えて両国間の戦略的・構造的相乗効果を創出することに訪点をつけている。日本との連帯は、サプライチェーン協力、技術共同開発などの方法で拡張できるだけでなく、自社循環型サプライチェーン構築にもつながるという期待からだ。世界的に保護貿易主義が盛り上がっている状況で、韓国と日本の連帯は両国にとって有効な戦略になるという見通しも出ている。政治・外交的変数によって急激に変わる両国関係を、経済協力によって安定化させるカードという期待感もある。

大統領選挙を控えてイジェミョン候補側が、いままで中断されていた韓日自由貿易協定(FTA)カードをふたたび持ち出したのも、韓日関係の変化が必要だという共感によるものだ・・・・(※日韓FTAは1998年金大中政権で提案されたものの、2004年からは関連した議論が行われなかったという話のあとに)・・当時、韓国製造業界でFTA締結時に対日貿易赤字がさらに大きくなる可能性があるという懸念を提起していた。両国は2012年、市場範囲を広げ、韓中日FTAに方針を旋回して、3国間FTAを推進したが、これもまた2019年の議論が中断された。ただ、韓中日3国は3月に韓中日FTA推進のため緊密に協力することにした。




 

産業通商資源部関係者は「韓中日FTA議論が6年前に中断されたため、議題など具体的な協議は以後の変化事項を考慮して検討しなければならない状況」と明らかにした・・・・李在明候補側は、日本主導の包括的・革新的環太平洋経済同伴者協定(CPTPP)に韓国が加入しなければならないという主張も出している・・(※いまは議論が事実上中断され、国内農産物市場の反対も予想されるという内容のあとに)・・それでもGDPと輸出増大効果が期待されるという分析が出ている。

イチャンミン韓国外大日本学科教授は、「CPTPPはFTAよりはるかに自由度が高い」とし「トランプ時代に米国を除く他の主要国の連合体が重要になる状況で、次期政府もCPTPP加入を積極的に推進しなければならない」と話した。ただし、業界ではFTA、CPTPPなど韓日経済協力強化の動きに対する懸念もある。ただでさえ対日貿易赤字が大きな状況で、赤字幅を大きくするだけではないのかという見通しだ。業界関係者は「韓日経済共同体構想が無条件で良いと言えるのか慎重であり、どの程度の水準の経済共同体が作られるかによって有利・不利が決まるだろう」と話した(毎日経済)・・>>

 




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