昨日もお伝えしましたが、韓国の与党「国民の力」が、大統領選挙の候補を決める問題で大騒ぎになっています。大統領選挙は6月3日です。普通、政党の大統領選挙公式候補は、「競選(ギョンソン)」と呼ばれる、党内の選挙で決まります。そこで金文洙(キムムンス)前雇用部長官が選ばれましたが、競選過程にも参加しなかった韓悳洙(ハンドクス)国務総理が、大統領選挙に出馬しました。無所属出馬になります。そこで、与党「国民の力」は、キムムンス候補に、ハンドクス総理との候補単一化を要求しました。キムムンス候補は、確かに競選中に「ハンドクス総理と保守側候補を単一化する」という趣旨で何度も言っていましたが、党が公式に選出した公式候補であることに変わりはありません(これはハンドクス候補も同じで、単一化すると言っていたものの、これといって単一化の話に応じていません)。
与党の動きは完全に「単一化しないなら、候補を交替する(無所属ハンドクス総理を与党の候補にする)」という動きであり、キムムンス候補はこの流れに反発、裁判所に「与党候補としての地位」仮処分申立をしたりしました(棄却されました)。そこで、朝鮮日報、毎日経済、デイリアンなどによると、与党は昨日の夜、なんと候補選出を取り消すために党大会を開き、「候補選出を取り消す」と公式に発表しました。再選出する、というのです。キムムンス候補は再び再競選に参加するとしていますが、党が候補登録を認めないといけないので、どうなるかわからない状態です。そして、ハンドクス候補が与党候補として競選に登録(参加)しました。いまのところ一人しかいないので、今日、賛否投票になるというニュースも出ています()。また、「結局、野党の李在明候補に票が集まるのでは」という見解も出ています。以下、各紙から<<~>>で引用してみます。
<<・・キムムンス国民の力大統領候補と無所属ハンドクス予備候補との単一化交渉が決裂した後、国民の力は史上初の大統領候補再選出手続きに突入した・・・・単一化交渉が最終決裂すると、党指導部は候補交替に乗り出した。シンドンウク首席広報担当者は「キム候補の候補資格を取り消し、新しい候補者が登録する手続きまでやらなければならない」とし(※大統領候補登録締め切りまで後1日しかありません)、「ハン候補が入党願書を提出すれば非常対策委員会の議決が必要であり、次に新しい大統領候補選出手続きが進行される」と説明した。
党指導部は「相当な事由があるときは、非大尉議決などで大統領選挙候補選出に関する事項を定める」という党憲74条2項を根拠に挙げ、「中央選管委の候補登録締め切り前に単一化をしなければならない」という意見が86.7%を占めたという7件を提示した。また、8~9日に行われた党員および国民世論調査では、中央選管委決定によって調査結果が発表されなかったが、ハン候補が優勢だったと伝えられた。イヤンス選挙管理委員長は10日の夜明け、ホームページを通じてキム候補の選出を取り消すと公告した(朝鮮日報)・・>>
<<・・ハンドクス大統領選挙予備候補が10日午前3時から4時まで国会本庁で受付した国民の力大統領候補申請受付に、単独で登録した。「国民の力」大統領候補選挙管理委員長を兼ねているイヤンス事務総長は10日公告を通じて国務総理と駐米大使を務めたハンドクス候補が国民の力大統領候補として申請・登録したと公告した。候補が一人だけなので、10日行われる全党員投票は、ハン候補を国民の力大統領候補に最終選出に賛成するか反対するかを問う賛否投票の形式で進行されるものと見られる(デイリアン)・・>>
<<・・大統領候補登録締切日をわずか1日控えて、国民の力が大統領候補再選出手続きに突入し、これによる波及効果にも関心が集まっている。キムムンス国民の力大統領候補とハンドクス無所属大統領選挙予備候補など、保守側の候補たちが李在明ともに民主党大統領候補との支持率差を縮めずにいる中で、両候補間の葛藤がここまで大きくなり、批判が避けられない状況だ。10日、エンブレインパブリック、ケーススタリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチが5~7日進行した全国指標調査(NBS)の結果によると、次期大統領適合度はイジェミョン候補が43%で1位だった。続いてハンドクス候補23%、キムムンス候補12%、イジュンソク改革新党候補が5%と集計された。「留保」は18%だった。保守陣営候補たちの支持率の合計は40%で、「支持政党無し」層の動きによって状況が変わる余地があったという意味だ。
しかし、保守陣営の候補単一化過程は険しいばかりだ。キム候補とハン候補の議論は進まず、イジュンソク候補の場合「単一化しない」としている。このような状況に対してイジェミョン候補は、呆れてわ笑うしかないという。イジェミョン候補は8日中小企業中央会で全国職能団体と政策協約を持った後、記者たちと会って「キム候補とハン候補間の単一化」がうまくすすまないでいる件について質問を受けると、笑いを浮かべながら「単一化のための『送りバント』用候補として選ばれていたようだ。ここまでむりやり単一化するのは初めて見たが、笑える」と話した(毎日経済)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。