IMF基準「ハードカレンシーを持たない先進国」GDP比政府債務、韓国が4位、増加速度2位

最近、韓国でも政府債務が問題になっています。急に増えすぎだとか、そんな内容です。家計債務はいうまでもなく、自営業債務、企業債務(企業の場合は債務そのものより「営業利益で債務の利子も払えない」ところが多いというニュースがもっと多いですが)などでいろいろニュースが増えてきましたが、数年前までは、それでも政府債務はそこまで高くない、という認識でした。それが、最近になってからは政府債務も増えたうわあぁぁな記事が増えてきたわけです。本当にそうなのかどうか、額が増えたかどうかより、似たような立場の国だけでみると、どういうことなのか、そういうところが来なります。もちろん見方にもよりますが、それを判断するための一つの基準になりそうなデータがあったので、紹介します。

前にも不定期に取り上げたことがありますが、IMFなど一部の国際機関が集計している「ハードカレンシーを持たない先進国のGDP比 政府債務(D2)」というのがあります。ソース記事の聯合ニュース(11日)も触れていますが、日本や米国などハードカレンシーを持っている国は、一般的に政府債務が大きいですが、資金調達力に優れています。そこで、IMF基準で先進国とされながらハードカレンシーを持っていない国だけを別枠として集計したほうが、リスク管理としてもっと適合ではないのか、そんな趣旨のデータになります。




ソース記事で紹介しているのは今年分(4月にIMFが発表した報告書)で、先進国と分類している35カ国のうち、ドル、円、豪ドルなどを使わない11カ国が対象で、ノルウェー、ニュージーランド、デンマーク、アンドラ、スウェーデン、シンガポール、アイスランド、イスラエル、チェコ、韓国、香港です。そういえば、李在明候補が2022年2月、「ウォンがすぐにハードカレンシー通貨国になる可能性が非常に高い。それだけ経済力水準が高い」と話したことがあります。だから債務は問題ないという趣旨でした。あのときも確か、あれ大統領候補として討論会かなにかでの発言でした。相手は尹錫悦候補でした。懐かしいですね。で、その「ハードカレンシーを持たない11カ国」のデータですが・・

聯合ニュースなど複数の記事によると、初めて債務が11カ国平均を超えた、とのことでして。韓国はずっと平均より低い政府債務(いわゆるD2政府債務)を記録してきましたが、初めて平均を超えたとのことですし、増加スピードもチェコに次ぐ2位ということで、確かにこれはこれで問題です。でもこれ、ちょっと「平均超え」ではなく、順位がもっと問題ではないのか、そんな気もします。なぜなら、平均が54.3%、韓国が54.5%ですが、債務比率1位のシンガポールが174.9%だからです。シンガポール174.9%、イスラエル69.1%、ニュージーランド55.3%、韓国54.5%、アイスランド52.9%、チェコ44.2%、ノルウェー42.7%、スウェーデン33.7%、アンドラ32.0%、デンマーク26.6%、香港11.8%。2023年4月16日朝鮮日報など同じテーマの記事を読んでみると、これらの国の政府債務は普通は40%台で、新型コロナ期間中にもD2債務は50%台で維持していて、それからは再び40%台に戻す流れであります。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・11日、IMFが最近発刊した「財政点検報告書(Fiscal Monitor)」4月号によると、韓国のGDPに対する一般政府債務比率は今年54.5%と見込まれた。これは、IMFが先進国に分類した非基軸通貨国(※韓国ではドルだけでなくハードカレンシーすべてを「基軸通貨」と言います)11カ国の平均値(54.3%)を初めて超えている。一般政府債務は、国内で主に使う国家債務(D1:中央政府及び地方政府の会計・基金の債務)に非営利公共機関の債務まで包括するもので、より広い意味の政府債務のことだ。IMFと経済協力開発機構(OECD)などで各国の債務を比較する際に主に活用する。

2016年韓国の一般政府負債比率は39.1%で、非機軸通貨国平均(47.4%)より低かったが、2020年以降コロナ対応、景気回復のための財政拡張、福祉支出拡大などがかみ合いながら急速に上昇した。IMFは韓国の債務比率が今後も急速に上昇し、2030年には59.2%まで上昇すると予想した。今後5年間で4.7%ポイント(p)の追加上昇を予想したのだ。これはチェコ(6.1%p)に続き、非機軸通貨国の2番目に高い・・

 

・・(※日米英などは債務比率が高いが)ただし、これらの国家は基軸通貨国で、国際資金調達条件が比較的有利である。非基軸通貨国は、基軸通貨国に比べて債券などの需要が低く、財政健全性管理にさらに留意すべきであるため、通常、債務比率をより低く管理する。特に韓国は急速な高齢化の影響で年金・健康保険など義務支出が急激に拡大する仕組みになっている。最近では総要素生産性(※労働、資本、技術革新などすべての生産要素を考慮した生産性)の増加速度も鈍化し、経済活力も低下している。これに大統領選挙を控えて減税及び福祉拡大を骨子とする公約が増え、今後の財政余力縮小と債務拡大圧力が同時に大きくなる可能性があるという懸念も提起される(聯合ニュース)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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