韓国、対米輸出30%減少(5月1~10日)・・予想より大きい関税の影響力

これは別に韓国だけの話でもないでしょうけど、いわゆるトランプ関税が輸出にどれほどの影響を及ぼすのか、最新のデータがあったので、エントリーしてみます。4月のデータもあるにはあります。6%台の減少で、一部は「大したことないんじゃね?」な意見もありましたが、「関税の影響を受けた側面を語るには、4月のデータは時期尚早すぎる」という指摘もありました。まだ5月だし、90日間の猶予も続いているので、もっと本格的な影響を分析するにはまだまだ早すぎると言えるでしょう。ただ、ニュース1(12日)が、現時点で最新となる5月1~10日分のデータを分析したところ、なんと韓国の対米輸出は30%も減少しました。その影響で、輸出全体が23.8%も減少した(※すべて前年同期比)、とのことでして。

繰り返しになりますが、まだ影響はわからないし、関税交渉もまだです。しかし、貿易をメインとする国としては、さすがに3割減少となると、ゾッとする話です(「関税の影響『だけではない』という側面も考える必要があるでしょうけど)。関税関連の交渉として、スイスで米中会談が開かれ、近い内に共同声明も発表されるということですがが・・米国側はいくつかの合意があったとしているものの、具体的に何があって、何が発表されるのかは、なんとも言えません。先月から、一部の欧米メディアが「(中国だけでなく日本及び他の国とも)『これから合意のために話し合います』という、合意のための合意を発表する形になるだろう」という見解を述べています。今回もそのような発表になるのではないか、そんな気もします。実際、「協議の枠組みを新設する」という話が出ています。




 

経済安保というものがあるかぎり、そもそもこの短期間で何かの合意が出来たとは思えませんし・・こちらはソウル経済(12日)の記事ですが、面白いのは、共同声明が用意されているという部分です。記事はこのことで、「米韓協議でも共同声明なかった」としています(引用部分にはありませんが、記事本文にて)。「も」の部分が、いい味(?)出しています。こういう協議では、共同声明なしのほうが普通でしょう。日本との2次交渉のあと、米国側が日本の交渉意志を歓迎するとかそういう声明を出したことはありますが。輸出データだけだとちょっと短すぎるので、こちらも合わせて、以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・米国トランプ行政部発「関税ショック」が本格化し、5月1~10日に対米輸出が30.4%も減った。去る4月にも’関税ショック’で対米輸出は6.8%減少したことがある。5月1~10日、米国をはじめ、中国ベトナム欧州連合への輸出が減り、全体の輸出も23.8%減少した。12日、関税庁によると1~10日の輸出は128億ドルで、主要10品目のうち半導体(14.0%)だけが唯一増加した。半導体はまだ米国の品目別関税が適用されていない。3月3日から米国の品目別関税が適用された自動車輸出は23.2%減少した11億2200万ドルを記録した。

 




主要10品目のうち自動車をはじめ、石油製品(マイナス36.2%)、船舶(マイナス8.7%)など9品目は一斉に減少した。1~10日、米国(マイナス30.4%)、中国(マイナス20.1%)、ベトナム(マイナス14.5%)、欧州連合(マイナス38.1%)などへの輸出が減少した。台湾(14.2%)だけ増加した。米国の関税政策により、これら国家の対米輸出が減ったため、このような間接的な効果が現れたと分析される。収入は146億ドルで15.9%減少した。半導体製造装置(10.6%)、乗用車(22.1%)などは前年同期比増加した中、原油(マイナス6.1%)、半導体(マイナス8.2%)は減った。ベトナム(14.5%)からの収入は増加したが、中国(マイナス16.8%)、米国(マイナス20.0%)、欧州連合(マイナス21.1%)、台湾(マイナス12.7%)などは減少した。貿易収支は17億ドルの赤字を記録した(ニュース1)・・>>

 

<<・・米中がここまで肯定的な修辞を注いでいるのは、このままだと両国経済のすべてが大きな影響を受けるという懸念のためだと思われます。米大手流通会社は、トランプ大統領に、このままだと大型スーパーがからっぽになるだろうとの懸念を伝えました。中国も、支援策を出しているものの、経済がくるしくなると習近平国家主席のリーダーシップも下がることになります。関税の影響により、先月、中国から米国への輸出は21%減少しました・・・・米中が肯定的な表現をたくさん使ったものの12日に出てくる共同声明を見守らなければならないという分析も出てきます。ロイター通信は「この日、記者会見などで米中どちら側も、それぞれ145%、125%の関税を引き下げることに合意したという話はしなかった」と指摘しました(ソウル経済)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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