久しぶりの政治側の活躍(ブログ更新的に)でしばらくシェシェ祭りでしぇたが、今回は米韓関税交渉についてできるかぎり最新のニュースを紹介します。日本側は現在、「期限(猶予期間の90日は期限が7月8日です)内には合わせるが、急ぐことはない」、「減税措置ではなく撤廃を要求」、「米国生産の日本車の(米国以外への)輸出強化」、「とうもろこしなど輸入増加」、「LNG事業参加」、「造船業での協力」などが記事になっています。造船業の場合は日本内でも記事が出ていますが、ジョン・フェラン米国海軍長官など米国側の高官からも同じ趣旨の話が出ています。で、韓国側の対応はどうなっているのか、といいますと・・減税ではなく撤廃(相互関税と品目別関税全ての免除)を要求していることと、そして、期限の延長についての話が出ています。
日本側とは異なり、具体的にどういう話を進めるのかについてはほとんどわかりません。6つの項目で話し合うとして「非関税措置」「バランス貿易」「原産地」「デジタル交易」「経済安保」「商業的考慮」を掲げていますが、具体的な内容はなく、いままで(というか、日米首脳会談で出てきた案件とほぼ同じの)と同じく、LNG開発プロジェクト参加などの話だけです。というか、商業的考慮ってどこまでの範囲の話でしょうか。ニュース1(記事1、記事2、ともに16日)によると、造船などは韓国でかなり話題になっており、株価が上がっている(いわゆるテーマ株)のはもちろん、完全に「造船でしか勝たん」な雰囲気になっていますが、こちらも米国側から「具体的な話はない」とのことです。
また、7日にもお伝えしましたが、韓国側は「FTA締結している同盟国」としての特別待遇を要求しており、今回のソース記事でも、アンドックン産業通商資源部長官は「期限内に合わせるために頑張るが、不可避な場合は延長も」というふうに話しています。米国の関税猶予措置が延長される可能性はありますが、韓国だけ延長ということはまずないでしょう。大統領選挙日程とか、権限代行ハンドクス国務総理が大統領選挙出馬のために辞任したこと、野党側の弾劾案で関税協議の担当者でもあったチェサンモク長官が辞任したことなどもあって、いまのようでは、期限内の合意は難しいのではないか、そんな気もします。というか、前にも何度か同じ趣旨を書きましたが、本当に、「まったく」といってもいいほど、具体的な案が報じられていません。マスコミの取材力の問題か、それとも政府側が徹底しているのかはわかりませんが。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・相互・品目別関税廃止を目指した韓米関税交渉が、7月8日関税猶予期限を控えて、速度を出す見通しだ。政府は時限内交渉妥結のために総力を注ぐという立場だが、時間がギリギリなだけに、交渉状況に応じて日程が調整される可能性もあるとしている。アンドクン産業通商資源部長官は16日、済州(※APEC貿易商会合)で開かれたジェミソン・グリア米国貿易代表部(USTR)代表との韓米2次高位級通商協議直後、記者たちと会って「7月8日まで関税交渉の時限を合わせるのもかなりギリギリな状況」と指摘した。避けられない場合は一定の調整があるかもしれないと予想している」と話した。
アン長官は「現在、米国との交渉は90日間、相互関税猶予が7月8日まで適用されており、それまで合意を終えなければ、25%の関税がすぐに発効する状況」とし「最大限の時限を合わせて努力するだろう」と強調した。アン長官は「次の週から各案件別の実務協議を進行し、6月中旬頃に2次閣僚級会議を通じてこれまでの協議内容を点検する予定」とし「7月予定された時限を合わせるために努力することもできると思う。ただし避けられない場合(一定)調整があるかもしれない」と話した。アン長官は早期大統領選挙を控えた政治状況と、交渉速度調整の可能性についても「米国側に現在韓国の政治状況を十分に説明し、交渉をわざと遅延させようとする意図は全くないことを明確にした」とし「米国もこれを十分に理解している」と話した(ニュース1)・・>>
<<・・両国は来週から第2次技術協議を開催し、均衡貿易、非関税措置、経済安全保障、デジタル貿易、原産地、商業的考慮など6つの分野について本格的に協議することにした。このため、韓国政府は産業部の通常政策局長を首席代表とする政府代表団を設ける計画だ。アン長官は「デジタル貿易分野はグーグルマップのようなものであり、原産地分野は韓国だけの問題ではなく協議の枠組み」とし「商業的考慮分野も現在までに具体的に(米国側で)提起されていないが、来週の協議で具体的議論に入るだろう」と説明した。
続いて「我が国が他の国と違う点は、単に貿易バランスという、赤字を減らすことを超えて、産業協力に重要なパートナーであるということ」とし「造船だけでなくエネルギー、半導体など先端産業と米国戦略分野において重要なパートナーという点を米国との重要な協議資産と見ている」と分析した・・・・長官はまた「米国が話すのは、ほとんどの交渉国と同様のようだが、米国に合わせるように、という話だ」とし「一方的に関税をかけて、本人が満足すれば下げるということで、交渉を破れば関税を出すべき状況」と診断した・・・・ほかに安長官は米国が関心を示す造船業協力と関連して「造船協力問題は交渉に連携していないが、重要な事項だから、米国商務省を含むすべての省庁が関心を持っている」とし「造船に必要な部分があれば助けると(米国側に)話し、米国側も必要なものがあれば言うと言ったが、具体的な議論はなかった」と述べた(ニュース1)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。