WSJ、在韓米軍4500人削減案について報道・・米国防部は「事実と異なる」とするも、「ほぼ既定路線」と報じるメディアも

おかげさまで、無事韓国に行ってきました。もちろん、レナも一緒でした。いつもどおり、家族と会って一緒に食事をしたり、親の墓参りなど、やるべきことはすべてやったつもりです。姉が作ってくれた料理以外は、ちょっと不味かったかな・・と思います。特に今回はコーヒーがちょっと残念でした。で、「個人的な感覚」を前提にしたいと思いますが、韓国現地の雰囲気は、あまり盛り上がっていません。遊説はあったし、なぜか選挙カーの前で踊る議員たちも多かったけど(なんで踊る?)、なんというか、思ったほどではありませんでした。タクシーでの会話など、限定的な話ではありますが、「はやく大選(大統領選挙)が終わってほしい」と話す人が何人もいました。韓国では政治の話をする人が多いですが、このように「早く選挙が終わってほしい」との話し方は、一般的ではありません。

これは、経済がよくないので、はやく選挙が終わって、なにかの政策を出してほしいという趣旨です。共通して「景気がこんなに沈むのは見たことがない」と話していました。「自営業」という言葉も何度も出てきて、こういうのは各メディアのニュースとほぼ一致している感じでした。ただ、ちょっと距離がある・・というか、ニュースとしてはかなり大きな話題になっていましたが、シェシェ発言については、関連した会話に一度も出てこず、ちょっと驚きました。こういうのは、ニュースと生活の感覚の乖離なのか、それとも知っていながらあえて言わないのか、そこまではわかりません。一言で、あまり盛り上がってなかった(思ったよりは、ですが)というのが第一印象でした。で、ここから本題です。




ウォール・ストリート・ジャーナルが、「関税かけ上手のトランプさん」が、在韓米軍4,500人(総員約28,500人)を減縮する案を検討中だと報じました。減縮だ うわあぁ という内容ではなく、北朝鮮となにかの話し合いを進める際に、「飴」としてこの案を検討している、という内容です。いまのところ、米朝会談などは貿易問題に比べてあまり話題になっていないので、あくまで検討中、ということでしょう。米国防部は「事実と異なる」と話しましたが、朝鮮日報(24日)など一部のメディアは「1期トランプ政権から何度も提起された案であり、現実味がある」とし、メディアによっては「国防部に正式に通達されていないなら、国防部としてはそんな案は検討されていないと話すしかない」、「すでに方向性は決まっているのでは」などと報じています。意外と「もし今回でなくても、いずれ、そうなる」という結論の記事が目立っています。

個人的に、検討しているのかどうかよりも、なんでこの時点でWSJにこの記事が載ったのか・・というのが気になります。「シェシェ発言」の後に出てきたものだから、そのための米国側なりの「返事」である可能性もあるでしょうけど、それよりは、中国関連ではないのか、そんな見方もできます。本ブログでも紹介しましたが、在韓米軍司令官が「(衛星写真で見ると)朝鮮半島は日本と中国の間の空母のようだ」と話したこともあります。今回の件もまた、「対中関連で使えないなら、減縮しちゃおうかな」というメッセージではないのか・・そんなところです。はてさて。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・トランプ政権が、韓国に駐在している米軍2万8500人のうち4500人を韓国から撤収させる案を検討していると、ウォールストリートジャーナル(WSJ)が米国国防当局者を引用して報道した。在韓米軍4500人をグアムなどインド・太平洋内の他の地域に移動配置するということだ。米国防総省はこの報道について「事実ではない」と明らかにした。米国防総省はそう言っているが、米国はトランプ以前から駐韓米軍の活動領域と役割拡大を公言してきた。こうした「戦略的柔軟性」は在韓米軍だけでなく、すべての海外駐留軍に適用される。米軍は「中国牽制」に集中し、核を除いた在来式の脅威は該当同盟国が自ら防御するようにする、としている。国防部政策担当次官は昨年「駐韓米軍を中国に集中するよう再編し、韓国が北朝鮮の相手として在来式防御の負担を増やさなければならない」とした。「4500人削減検討」は、予告されていたものなのだ・・

・・問題は、(※特定舞台の配置を定期的に変えるなどの米軍としての政策ではなく)トランプが金正恩とのイベントのために駐韓米軍を「カード」として使う可能性だ。米国国防関係者は、駐韓米軍削減構想が「対北朝鮮政策と関連したトランプの考慮のために検討されている」とした。トランプは2018年にも米朝の間のイベントを開き(※会談などで成果をだすために)韓米同盟の核心である連合訓練をなくした。駐韓米軍は私たちの安全保障を守る象徴的存在だ。米国の必要に応じて調整することはできるだろうが、金正恩のための交渉カードとして消費されるならば、それは次元が異なる問題だ。トランプは何をするのか分からない。ここにしっかり備えないといけないだろう(朝鮮日報)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。