米韓関税交渉、やっと議題が報じられる・・コメ関税、牛肉制限、防衛産業の技術移転など

さて、日米間の関税交渉が、6月のG7サミットでの首脳合意まで視野に入れてあると報じられています。なんだかんだで進展があるのかな・・な気もしますが、一応、石破総理としては「急がない」というスタンスは変わっていないようです。そんな中、米韓間の関税交渉について、その中身が報じられました。日本からすると「それは、ま、報じられるだろう」な感覚ですが、そうでもありません。前にもお伝えしましたが、意外なほど協議の内容が報じられておらず、中にはその点を問題にする記事も出ています。というか、取材力の問題ではないのか・・な気もしますが。で、25日の聯合ニュースに、「このような議題があった」という記事が載りました。非関税障壁に関する内容がほとんどですが(それ以外にもあったはずですが)、それでも、「私が知っているかぎり」を前提にしますと、そこそこの長さの記事でここまで協議の議題が詳しく(「予測される」ではなく)書かれるのは、初めてです。

お米の関税(513%、13万2000tまでは5%)、引用部分にはありませんがグーグルマップの地図データ搬出問題(韓国政府は安保を理由にグーグルマップデータの搬出を許可しておらず、スマホなどでは他の会社のマップを利用しています)、米国産牛肉の月齢問題(2008年に月齢を制限しながら「過渡期的措置」としたけど、それから何もしていない)、そして、防衛産業においての技術移転問題、などなどです。これは、韓国が米国から戦闘機とかミサイルとかを購入した場合、米国側が韓国側に技術移転をするようになっていますが、これがある種の非関税障壁だというのです。ちなみに、「次期政権」という言葉がよく出てきますが、関税猶予は7月8日までです。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・ドナルド・トランプ米政権が、最近、ワシントンDCで行われた韓米局長級関税技術協議で、既存の国別貿易障壁報告書(NTE報告書)で主張していた特定の農産物など、多数の「非関税障壁」問題解消要求を韓国側に正式にしたと伝えられた。25%の対韓国「相互関税」と鉄鋼・自動車・半導体など品目別関税の減免問題議論に関する米国側の要求が具体化し、今後韓米交渉が本格化する段階に進むものと見られる。ただ、米国の要求の大部分が、国内で複雑な事情の事案だという点で、6月3日大統領選挙後に発足する次期政権がが交渉を受け継ぐと思われる。25日、複数の政府消息筋によると、米国は20~22日(現地時間)開かれた韓米協議でNTE報告書に盛り込まれた複数の「非関税障壁」問題を提起し、韓国側の解決努力を促したと伝えられた・・

・・米国は3月に最新の年次NTE報告書を出した。ここで30ヶ月未満の牛肉輸入制限から輸入車排出ガス規制、グーグルの精密地図搬出制約、薬の価格策定、武器輸入時の技術移転などで条件を要求する「折衷貿易」など(※外国から1000万ドル以上の武器や軍需品、用役を購入する場合に、その反対給付として契約相手から技術移転や部品製作・輸出、軍需支援などを受けること)韓国に自国商品やサービスの輸出に問題をきたす多様な非関税障壁が存在するという主張を広げた・・

 




・・米の場合韓国は米に基本的に513%関税をかける。代わりに低率関税割当(TRQ)物量年間40万8700トンに対しては5%関税を適用する。米国に割り当てられたTRQ物量は13万2304トンだ。韓国代表団は6月3日大統領選挙を通じて新政府が発足した後、後続協議を経て韓米間最終合意を導出するという基調で交渉に臨んだ。このため、米国側の問題提起及び要求に関連して、国内の実状を説明し、相互認識の隙間を狭めることに注力したことが分かった。政府高位関係者は「向こうで何かを話したからって私たちがすべて聞いてやらなければならないわけではなく、現実的に(合意導出のための)協議が可能な問題が何なのかを米国側に話してきた、そう聞いている」と話した。

政府は今後、交渉の実質進展のために米国側が言及した様々な要求の中で貫徹意志が強い優先順位を分析・識別することに注力し、交渉を受け継ぐ次期政府に渡す作業に乗り出す計画だ。政府は今週の初めに政府レベルの対策会議を開き、今回の協議結果を共有する。米国側の要件が様々な省庁の業務領域にわたるだけに、分野別対応戦略も具体化するという方針だ。政府は米国産輸入拡大による貿易バランスの追求意志と、米国側が切に助けを必要としている造船中心の戦略的な韓米産業協力の重要性を強調しながら、25%の相互関税と自動車、鉄鋼、半導体などの品目関税を免除または最小化することを目標に交渉に取り組んでいる・・・・大統領選挙がすぐに行われる政治環境上、合意に関する決定権は次期政権の決定に移る。政府高位関係者は「どうしても、今は決定をするのが難しい状況」とし、「今はディシジョン・メイキング(意思決定)は次期政権がしなければならない状況」と話した(聯合ニュース)・・>>

 




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください

  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。