韓国シンクタンク「一部でも大統領選挙の公約を実践すると、来年の国の債務(D1)が200%増えます」

トランプ大統領が、来月からEUに50%かけるとしていた関税を7月9日まで猶予することにしました。猶予もなにももともと7月9日あたりが(この前の90日間猶予の)期限だったので、結局元通り、ということになりました。7月以降、どうなるのか、さすがに心配です。日米の場合、G7での日米首脳会談でほぼ決まるという話も出ていますが・・どうなるのでしょうか。で、本題に入ります。「多くの交渉カードを持つ(修飾語)韓国」の大統領選挙が、6月3日に行われます。最近、テレビ討論会などで保守側の候補の支持率が上がってきたというニュースが多くなってきました。まだ約10%の差はありますが、はてさて、これがどう動くのか、興味深いところです。

で、その多くの交渉カードを持つ韓国の大統領選挙の公約ですが、韓国政策評価研究院というシンクタンクが米国ブルッキングス研究所(国家債務についての研究を特に行っています)のモデルを使ってシミュレートしてみたところ、イジェミョン候補、キムムンスの候補のどちらかの公約の一部(主要公約だけ、3~5個)履行した場合、韓国のD1債務が203%、193%増えるという結果が出ました。イーデイリーが報じています。AIだけでも100兆ウォン使うとか言ってるし、イジェミョン候補の場合は朝鮮半島を「U」の字で囲む再生エネルギー送電網(再生エネルギー高速道路)を作るとか言ってますから、そうもなるでしょう・・と思ったら、どうやら「それ以外」でも、こうなるそうです。そもそも財源も発表していないし、どうせ履行されないだろうから、心配ないとは思いますが。主要公約の一部のリスト化されているし、以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・李在明(イ・ジェミョン)共に民主党、金文洙(キム・ムンス)国民の力候補の主要大統領公約が現実化すれば、今年だけで国の債務が200%前後で爆増するという推計値が出た。イ・ジェミョン、キム・ムンス候補の公約のうち、かなりの財政を使うだろうと予想される公約3~5個だけを選んで、シミュレートしてみた結果だ。どの候補が当選しても、次期大統領の任期5年間、公約全体を履行すると仮定すれば、国の債務は大幅に増え、未来世代に相当な負担となるだろうという見通しだ。それでも、両候補とも公約履行のための具体的な財源調達方案は提示しておらず、「公約家計簿」を導入すべきだという提案も出ている。

政策評価研究院(PERI)は6月3日大統領選挙を控え、米国ブルッキングズ研究所「Fiscal Ship Game」(国家財政ゲーム)の韓国型モデルである「ナラサリム(『国の暮らしの費用』)ゲーム」にイ・ジェミョン、キム・ムンス候補らの公約をシミュレートした結果、このように現れたと、26日明らかにした。PERIによると、次期大統領の任期初年度である今年の国の債務(GDP対比国家債務、D1基準)は、イジェミョン候補の公約履行時に202.5%、国民の力のキム・ムンス候補の場合は195.3%も急増した。




 

今回のシミュレーションはイ・ジェミョン、キム・ムンス候補が発表した10代公約のうち、財政をかなり使うと予想される公約を基礎とした。イジェミョン候補公約の中では、「児童手当支給対象を18歳まで漸進的に上げる」、「農業の基本所得導入(一定の所得を国が保証して支給すること)」、「基礎年金夫婦減額廃止」などを反映した。キムムンス候補の公約の中では、「相続税最高税率の引き下げ(50→30%)」、「法人税最高税率引き下げ(24→21%)」、「所得税基本控除引き上げ(150万ウォン→300万ウォン)」、「所得税物価連動制導入(※所得税を物価に連動して調整するという制度)」、「国民年金自動調整装置の導入(※人口構造、経済の条件などを総合的に考え、年金の納付や支給金額を自動的に調整するという制度)」を反映した・・

・・特にPERIは、両候補ともに公約の財源推計をちゃんとしていない点、財源調達方案を簡単に述べているだけ、などの点を指摘し、具体性、実現可能性、計画性のないポピュリズム政策だとした。実際、イジェミョン候補の場合は「2025~2030年の総収入増加分活用、租税支出調整及び成長回復を通じた税収確保」と財源を明らかにしており、キムムンス候補は「既存予算再調整及び公共基金活用、民間投資誘致及びグローバル企業誘致」だけ、明らかにしている状態だ。

アン・ジョンボムPERI院長は「今現在、韓国の暮らしと債務はすでに懸念される水準であり、最近ムーディーズが米国の国家信用等級を下方調整したように、私たちもいつでも財政健全性の問題で信用格付け下方の可能性がある」とし「このような状況で、両党候補の公約要請の財政負担が再び、所要される財政の規模とその財源を提示する「公約家計簿」を導入しなければならない」と提案した(イーデイリー)・・>>




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