韓国大統領選挙、期日前投票が始まりました。いまニュースをチェックしてみると、11時基準で約7%だそうです。前の大統領選挙(韓国では「21代大統領選挙」といい、今回が22代です)では、全国投票率が77.1%でしたが、期日前投票だけで36.9%でした。今回はもっと高くなるという話も出ています。で、「何を基準にして」票を入れるのか、中央日報(28日)に記事があったのでちょっと読んでみました。「候補の能力と経歴」が31.8%、「政策公約」が26.9%、「候補の道徳性」が24.9%、「政党」が7.9%、とのことです。記事はこれを、「公約より『人物』を重視している」としています。まず、政党が7.9%ってこれはないでしょう。個人的に、もっとも重要なのがこれだと見ています。「政党で候補を決めてはならない」ということを誰もが「口にしている」ので、こういう調査では低い数値が出るのではないでしょうか。もちろん、他の人たちがそうすべきだと思っているわけで、自分がそう思っているとは言ってませんが。
一番のツッコミスポットはそこですが・・他の部分を見てみると、経歴はともかく能力ってなんだろう、としか。これを「人物」カテゴリーにするなら、道徳性もそうでしょう。合わせると、人物関連で56%超えてしまいます。関連公約についての指摘は、多くのメディアが記事を出しました。23日のものですが、ニューシースが、「なんで公約に『数字』が出てこないのだろう」という記事を載せたりしました。公約を出しながら、財源などについて言及がないのはもちろん、そもそも数字が出てこないというのです。たとえば、「世界をリードする経済大国」という公約がありますが、こういう話をここまで数字出さずに話すというのも、ある意味ではすごい、という趣旨です。先のデータと合わせて考えてみると、もはや公約はそう大事ではないのかもしれません。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・有権者たちは、候補を選択する時、能力と経歴、道徳性など候補者の「人物」を、政策や公約よりも考慮すると答えた。有権者のうち31.8%が候補者の能力と経歴を考慮すると答えた。政策と公約を考慮するという回答は26.9%、道徳性を見るという回答は24.9%、所属政党を見るという回答は7.9%とそれぞれ集計された(中央日報)・・>>
<<・・李在明(イジェミョン)共に民主党大統領候補は、大統領選挙の競選(※大統領候補を決めるための党内選挙)のときから、SNSを通じて地域公約はもちろん、各分野の公約を出してきた。内容上、概して総論的な性格が強い。しかし、具体的な目標と数値が示されていないものが多い。大体、大きな枠組みの政策方向だけを提示している。例えば、李候補は首都圏地域関連の公約として、住宅供給拡大方針を明らかにしている。ソウル老朽都心の再開発、再建築などにおいて、(※再開発が容易になるように)容積率の上限や分担金の緩和を約束したが、具体的な住宅供給規模や容積率・分担金緩和基準などは発表しなかった・・「戦略的曖昧性」と言われるほど、公約の具体さが足りないという指摘が出てくるわけだ・・
・・社会的に対立している案件については、「社会的合意」という言葉をよく使う。李候補は、医大定員問題と関連して、「社会的合意から再び出発する」と医大定員「合理化」を語った。定年延長と大統領執務室の世宗市移転などについても、案件そのものは先にいい出したものの、「社会的合意で推進する」と慎重にアプローチした。意見が分かれそうな事案は、国論分裂を憂慮してか、「段階的に手続きを踏んでいく」という考えなのかもしれない。しかし、大統領選挙を控えて、票を意識した「両方にアピール」しか考えない公約だという批判も出ている。
12日発表された、「10大大統領公約」にも、数字はなかった。「世界を先導する経済強国」、「世界秩序の変化に実用的に対処する外交安保強国」、「すべての人の権利が保障される社会」、「児童・青年・お年寄りなどすべてが豊かに暮らす国」などだが、抽象的な表現が主に盛り込まれている。安保公約を見てみても、ただ議論を避けようとしている。「北朝鮮の核リスクの段階的削減」、「朝鮮半島非核化目標の下、南北関係の復元」、「韓米同盟に基づき戦時作戦権移譲推進」などを提示したものの、それらをどのように実践していくかについては話をしていない(ニューシース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。