日本、トランプ政権とレアメタル・半導体サプライチェーン協力を推進か・・韓国メディア「私たちの関税交渉チーム、五里霧中」

昨日お伝えした、米国国際貿易裁判所の「関税は違法」判決は、米政府の上訴により、「しばらく判断保留(どんな影響を及ぼすのか見定める必要がある、などで)」になりました。これ、日本でも話題にはなりましたが、韓国メディアのニュースは「判決確定なら関税ゼロ(FTAがあるので)」「これで勝てる」などのものが多く、日本側の報道とは盛り上がりに差がありました。でも、結果、保留となり、いったん元通りです。昨日もちょっと書きましたが、このほうが「むしろ安定する」のではないか(すでに交渉を進めている国々の立場を考えると)、そんな気もします。ここでいう「むしろ」は決して良い意味ではありませんが。で、そんな中、日本と米国の関税交渉ですが・・あくまで「雰囲気から感じられる」レベルの話ですが、日米間の関税交渉、意外と進んでいるのではないか、そんな気がします。

G7での首脳合意も視野に入っているとかそんな話を聞いたときには、早すぎないかと思いましたが、相次ぐ首脳同士の電話会談といい、なにか、結構進んでいるのではないか、と。防衛産業関連、造船関連、米国で生産された日本メーカーの車を「輸入」する案など、いままで様々な案が報じられましたし、ソウル経済(30日)によると希土類(レアメタル、レアアース)、半導体など経済安保関連の分野でも案が提示されている、とのことでして。個人的に、「どうせなにか買うなら」という妙な状況下での話ではありますが、どうせならこういうのがいいかもしれない、とも思っています(条件によりますが)。というか、いままでこの件、ありそうでなかったかな・・と。そういう話が出てくるたび、韓国メディアの反応はほぼ決まっています。




まずは「日本はそんな案しか提示できない」というふうの記事が溢れます。例えば、前には「守ってもらうためにLNG買う(アラスカLNGプロジェクト)って言ってる」な記事が結構出ていました。でも、しばらくすると「私たちも参加しよう」というふうの記事が溢れます。例えば、「私たちもアラスカLNG買おう」、と。今回も、一部のメディアが「経済と安保は別」としながら、経済安保分野で目立とうとするのはよくないとかそんな趣旨を述べたり、どうしても評価下げしようとする論調が目立ちます。しかし、そんな中、時事IN(30日)が、「うちの関税交渉は五里霧中だ」という記事を載せました。内容を語る前に、そもそも方向性はあるのか、という趣旨です。

本ブログでも2~3回書いたことがありますが、米韓関税交渉は、崔相穆(チェサンモク)経済副総理と、韓悳洙(ハンドクス)国務総理を中心に行われていました。どちらも、当時の大統領権限代行です。でも、韓悳洙総理が、大統王に俺はなる、と言って辞任しました。そして、共に民主党がダンガイダンガイして、崔相穆さんも辞任しました。記事は、「五里霧中」としながら、韓悳洙大統領(代行)のときに決めた「7月パッケージ(7月に一発妥結する)」案が、本当に実現可能なのか、と疑問を提起しています。余談ですが、中央銀行(韓国銀行)が、今年韓国の経済成長率を0.8%まで下げました。3ヶ月前の予想では1.6%だったので、大幅な修正となります。以下、<<~>>で引用してみます。あと、ちょっと早めの告知ですが、今日も更新はこれだけです。次の更新は明日の11時頃になります。最近、休みが多くて申し訳ございません。




 

<<・・「7月のパッケージ」というのは、特定の交渉の結果ではない。一種の「締切期限を決めました」という話に近い。米国が韓国にかけると発表した25%の相互関税は7月8日まで猶予される予定だ。その時限まで、韓米政府が関税・非関税措置、経済安全保障、投資協力、通貨(為替レート)政策など4つの分野を議論するという交渉の枠組み(フレームワーク)を作ったという意味だ。これは「韓悳洙体制」で作った対米交渉の「戦線配置」に近かった。問題は、その時点だ。当初、「韓悳洙体制」で政府は韓米間の交渉を急ぐ姿を見せた。イギリス〈ファイナンシャルタイムズ〉が4月20日に公開した韓悳洙当時大統領権限代行のインタビューにもそのような基調が現れている。

当時、韓代行は「トランプの行動を、私たちが対抗すべき目標にするよりは、両方がウィン・ウィンできる解決策を探す」と、強硬対応とは言えない態度を見せた。ところが、そうやって交渉にスピードを上げようとしていた韓代行が、大統領選挙に出馬すると宣言して、コントロールタワーから退いた・チェサンモク当時経済副総理も辞任し、事実上、現政権の対米交渉は五里霧中の状態となった(時事IN)・・>>

 

<<・・経済安全保障協力で日本が攻略する部分は、希土類(レアメタル・レアアース)と半導体サプライチェーン強化だ。これは中国を牽制しながら米国の対日貿易赤字問題を解決するという日本の戦略的アプローチという分析だ。中国は全世界の希土類生産量の大部分を占めており、4月に米国の「相互関税」に対して7種の希土類対米輸出を制限したことがある。希土類は電気自動車や各種先端技術製品の生産に不可欠な素材で、中国の輸出関連措置で米国内の供給支障に対する懸念が高まっている状況だ。これと関連してトランプ大統領は23日の首脳間電話会談当時、石破総理に希土類などを言及し、経済安全保障協力を要請したと伝えられている。

読売新聞は、「これまで農産物の輸入拡大、米国産自動車輸出関連の非関税障壁改善などを提案してきた日本だが、経済安全保障が有力な交渉カードになると見て、さらなる協力案を提示する方向へ動いている」と説明した。日本政府は、希土類など核心鉱物・半導体・造船分野を中心に具体的な協力案を設けている。核心鉱物分野では、日本が保有する加工・製錬技術を米国に支援する方案を検討している。技術力を備え、人件費が安い第三国での製錬協力も議論中だ。半導体分野では、トランプ大統領が推進する半導体製造業の米国回帰政策に合わせて半導体製造装置関連協力を強化するという構想だ。これにより米国の半導体生産能力が向上し、日本への輸出が増えれば、対日貿易赤字減少効果も期待できるという計算だ(ソウル経済)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。