トランプ・李在明大統領、電話通話・・内容は「挨拶」と「関税」で、米韓同盟関連での話はいつもより控え目

トランプ大統領と李在明大統領が、電話会談しました。約20分間の通話で、各メディアの記事で明らかになっているのは就任関連の挨拶と、関税交渉です。「両方が満足できる内容の合意をできる限り早い時期に」な内容だった、とのことです。米韓同盟関連の話が、いつもより「弱い」のがちょっと気になります。いま確認してみたところ、2022年と2017年では『米国側から』米韓同盟関連の話がありました。2022年バイデン・尹錫悦大統領の就任後の電話通話では「米韓同盟の力を確認」などの話が出てくるし、ホワイトハウスも相応の報道資料を出しています。2017年のトランプ・文在寅大統領の通話では、トランプ大統領が「米韓は偉大な同盟」と話しました。

でも、今回は、李在明大統領が米韓同盟を「特別な同盟」「外交の基幹」と話したとか、韓国側のブリーフィングで「米韓同盟の発展のために協力することにした」と話しましたが、米国側から米韓同盟関連でどんな表現が出てきたのかは、複数のメディアの記事を読んでみましたが、わかりませんでした。「挨拶」と「関税」関連の話ばかりです。単に報じられてないだけかもしれませんが、いつもに比べて米韓同盟関連の「表現」がずいぶん弱くなっているようで、気になります。

 




聯合ニュースなどが「朴槿恵大統領とは11分、文在寅大統領とは30分、尹錫悦大統領とは20分間の通話だった」と報じるなど、昨日も書きましたが、通話の内容よりこういう考え方のほうが本題かもしれません。さて、20分間の通話で具体的な話があったとは思えませんが、実際、今のところ韓国のトランプ関税交渉はどうなっているのか、それが気になるところですが・・「意外なほど、関連記事がない」と思わざるを得ません。で、その「挨拶」と「関税」ですが・・挨拶の部分はどもかく、関税関連でもまた、気になる部分があります。「関税交渉をしないと~」「7月パッケージ(7月一括妥結案を出す)」などの話がありますが、それがどんな内容なのかは記事がほとんどありません。

どちらかというと、日米関税交渉関連の記事が多い方です。前にハンギョレ新聞が「なぜ協議内容(~を提案した、など)がわからないのか」という記事を載せたことがあります。日本の場合は「~な案を提示」とかの内容がいろいろ出てくるのに、隠しているのか、それともそこまで話が進んでいないのか、まったく内容が出てこない、これは国民が知るべき情報なのにこれでいいのか、という内容でした。今回、韓国経済(7日)の記事を引用しますが、こちらもそこまで具体的な案件が出てくるわけではありません。「米国側に、猶予期間の延期を要求するだろう」という話がメインです。以下、<<~>>で引用してみます。

 




<<・・イ・ジェミョン大統領とドナルド・トランプ米大統領が6日(現地時間)の電話通話で関税問題関連の「ウィンウィン合意」を早期に導出することを意味した。両首脳は米韓関税協議で両国が共に満足できる合意が早急に行われるよう努力していくことにしたと、韓国側が発表した。また、両首脳はこのため実務交渉で可視的成果が出るように励ましていくことにしたと、カン・ユジョン大統領室スポークスマンが明らかにした・・・・米国が大多数の貿易相手国にかけている10%の基本関税と、自動車および自動車部品(25%)、鉄鋼およびアルミニウム(50%)に適用される品目別関税などがすでに適用されている。韓国は相互関税25%が策定されたが、上乗せ分は7月8日まで一時猶予された状態だ。

トランプ政権は、現在各国との貿易交渉を進めており、李在明政権発足前に、大統領権限代行体制の韓国政府とも実務協議を進めた。4月末の韓米長官級2+2協議で、両国は相互関税猶予満了前に韓国が要求する関税廃止または引き下げと、米国が要求する韓国の対米貿易黒字縮小、非関税障壁解消、造船など産業協力などを包括する合意の、いわゆる「7月パッケージ」を作る案を議論した。米国は「二次技術協議」で30ヶ月以上牛肉輸入許容、遺伝子組み換え農産物(GMO)緩和、グーグルの精密地図搬出許可など、複数の「非関税障壁」解消を要求したと伝えられた。

 

現在、トランプ政権は貿易黒字規模の大きい国々との交渉で早期に成果を出すことを目指している。これには韓国、日本、インド、ベトナム、欧州連合(EU)などが含まれる。米国1審裁判所が最近相互関税などにブレーキをかけ・・・・トランプ政権は各国と早期合意しなければならない必要がより大きくなった。しかし、イ・ジェミョン政権は新たに発足したため、戦略策定と交渉チームの人選などに時間が必要だ。特に高位級交渉に乗り出す長官クラスは、人事聴聞会の手続きを経なければならない。李在明政権としては、来月初めに終わる相互関税猶予期間をさらに延長し、時間的余裕を確保してから交渉に乗り出す方が良い。しかし、スピードアップしたいトランプ政権が相互関税猶予延長要求に対応するかどうかは不明だ・・

・・米韓間の貿易交渉の枠組みは、今後、李大統領の対米特使派遣などを通じて行われるものと見られる。李大統領が今月15~17日、カナダ・アルバータで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議や、今月24~25日、オランダハーグで開かれる北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に招待されると、韓米首脳が対面して疎通することもできだろうと思われる。多国間首脳会議を契機に、米韓首脳会談が早期に成就すれば、李大統領とトランプ大統領が直接談判する機会になる見通しだ(韓国経済)・・>>

 

記事を読んでみると、「相変わらず、首脳同士で会えばなんとかなる」という考え方が強いのがわかります。日本の場合、G7サミットで何かの合意を発表することまで考えている・・という話もありますが、それでもまだ合意時期は不明です。日米は結構早い時期に交渉を初め、5回6回も続けてきたのに、それでもまだこの段階ですから・・急に会って「猶予延長よろしくシェシェ」と話したところで、うまく行くのでしょうか。出来たら出来たで、米国側からも相応の条件が出てくるのでは。




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