本ブログでも2~3回紹介しましたが、李在明大統領の当選に関してホワイトハウスが「中国の介入(など影響力拡大)」に関するメッセージを出しました。「韓米同盟は鉄のように維持されている」としながらも、「韓国は自由で公正な選挙を進めたが、米国は世界中の民主主義国家に対する中国の介入と影響力の行使については、依然として懸念して反対する」という内容です。聯合ニュースだけでなくロイターなど外国メディアにも、このような内容のメッセージを送ったけど、当選を祝うという内容はありませんでした(マルコ・ルビオ長官が出した声明には、お祝いのメッセージもちゃんとありましたが)。
このこと、日本ではあまり報じられていませんが、韓国メディアは連日のように多くの記事を出しました。今日、東亜日報がまた米シンクタンクCSIS(The Center for Strategic and International Studies、戦略国際問題研究所)のビクター・チャ研究員の見解として、関連記事を載せました。韓国メディアには、ホワイトハウス側の反応が、あまりにもパッとしないという記事が多いですが、ビクター・チャ氏によると、「(中国の影響力を憂いるという話こそが)ホワイトハウスが李在明大統領に送った明確なメッセージである」というのです。ビクター・チャ氏はずいぶんと韓国側に優しい意見を述べる人ですが、さすがに安保関連(中国、北朝鮮など)になると、国内メディアよりはハッキリした見解を述べています。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・「イ・ジェミョン大統領に送る明白なメッセージだ」。ビクターチャ戦略国際問題研究所(CSIS)韓国議長は7日(現地時間)東亜日報との書面インタビューで韓国大統領選直後の3日米国ホワイトハウスが出した論評の意味についてこのように話した。当時、ホワイトハウスは高位当局者名義で「韓国が自由で公正な選挙を行った。韓米同盟は鉄統のようだ」としながらも、「全世界民主主義国家に対する中国の干渉と影響力行使を憂慮し反対する」と明らかにしたが、同盟国の大統領選出関連メッセージで第三国である中国を言及したのは異例だという指摘も出ていた。
チャ議長は、ホワイトハウスの論評と、当時マルコ・ルビオ米国務長官が当選のお祝い声明で「日米韓3者協力の深化」を述べた内容を取り上げ、「やや不思議に見えた」と述べた。彼はこれをドナルド・トランプ政権が李大統領に「既存の(韓国)の立場から後退してはいけない」というメッセージを伝えたものだと解釈した。「トランプ政権は、在韓米軍の「戦略的柔軟性」を前提にしている」(※見出し)。チャ議長は「トランプ政権は、アジア内の米軍の態勢を再調整する過程において、(在韓米軍の戦略的柔軟性は)すでに前提にしている」とし「韓国はこの問題に対してどのような立場を持つべきか、悩むべきだ」と強調した(※前にも何度か書いたことがありますが、韓国は中国との関係を考え、在韓米軍は北朝鮮問題以外では動いてはいけないと主張しています)・・
・・トランプ政権が在韓米軍の役割の再調整に乗り出すのは、事実上、避けられない流れであり、韓国もこれに対する立場の整理が必要だという意味だ。彼は先立って、2日、問答形式の論評では、韓国の新政権がこの戦略的柔軟性に応じなかった場合には、「トランプ大統領が韓国を『無賃乗車』とみなし、対応措置に出る可能性がある」とし「これは(駐韓米軍)全面撤退につながる可能性がある」と明らかにした。韓国など米国の同盟国が、安保保障は米国から受け取り、同時に中国との貿易を通じて利益を得る状況を、もう期待してはならないとした。彼は先月31日、ピート・ヘグセス米国防長官が「アジア安保会議」で、いわゆる「安米経中」式の外交政策を批判したことについて、「これはトランプ政権内の誰と話しても一貫した立場だろう」とした。
当時、ヘグセス長官は「中国への経済的依存は、中国の影響力を深めるだけだ」と指摘した。新政権がトランプ政権との関係の中で直面する「最も大きな課題」については、「関税」と「韓国経済成長」を挙げた。まず彼は、現在韓国は深刻な経済的問題に直面しているとし、自動車関税など米国の関税圧迫と韓国銀行が最近2025年の成長率見通しを半分に下げた事実などに言及した。それと共に「これは事実上、(韓国が自ら)経済危機を認めたようなものだ」と見た。
このような経済危機を克服するためには、李大統領はまず関税問題から米側と交渉を模索しなければならないが、ここにはジレンマがあると彼は指摘した。トランプ政権と積極的に取り引きに乗り出す場合、相当な譲歩をしなければならない反面、時間稼ぎをして顔色ばかり気にしていると、そのまま国の成長率や輸出鈍化など大きな問題に直面する可能性が大きくなる、というのだ。チャ議長は「いった、関税猶予措置をもう一度延長できるようにする合意を引き出すことが、臨時の解決策になれるだろう」と助言した(東亜日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。