多くのメディアが、「実用外交が始まった」という題で記事を載せています。李在明大統領が、日米中の首脳と電話会談したからです。「いや、それは誰でもやるでしょう普通」といったところですが、実用外交ということになっています。米中についてもいろいろ書きたいことはありますが、まず日本、石破茂総理との通話についての記事を紹介します。実は朝鮮日報が、6月になってから「日韓友好」関連の記事をいくつか載せています。2日(韓国語版は2日、日本語版は選挙後の9日)には「韓国文化を愛する国会議員と家族の会」という題の記事で、駐日韓国大使館で「韓国文化を愛する国会議員と家族の会」が開かれたと報じています。
記事は「韓国の与・野党の国会議員数十人がソウルで『私は日本が好きです』という夕食会を開くことがあり得るだろうか」(できないという意味で)としていますが、私は率直に、読んでいて心配しかありません。文化が好きならそれだけでいいですが、そうもいかない(各種アプローチのための『人的インフラ』とされる)のでは、としか。林芳正官房長官、阿部俊子文部科学相、河野太郎 元デジタル相、西村康稔 元経済産業相、公明党の山口那津男 元代表、福島瑞穂 社民党代表、塩村文夏 立憲民主党議員など現職の国会議員およそ30人が参加したそうです。
記事は、「日本メディアの知人は『慎重な日本は、今ようやく、韓国が差し出した手を取ったところ(※尹錫悦大統領のこと)』だとし、『もしかすると、韓日関係正常化の果実は韓国の次期政権が持っていくかもしれない』」と話した、としていますが・・相変わらず、といったところです。手を差し伸べたとかいう表現、日本ではあまり見ませんが。また、昨日の夜には「石破総理と李大統領の相性はどうなのか」という記事を載せました。この10日の朝鮮日報の記事がソース記事になります。政策面においては、石破総理と李大統領は対立しそうなものも多いけど、政治家としてのスタイルは「日本メディアの人が、似ていると言っていた」としています。先の件もそうですが、なんか、「ガンダムがそう言っている」なものが多いですね。
そして、いつものこと、話は「戦後80年談話」になります。そこで、韓国側が望んでいる表現が出てくる可能性は少ないけど(自民党の内・外の雰囲気からして、その可能性はほぼ無い、としています)、「当時、日本は失策していた」という内容が出てくると、まだ可能性があるというのです。なぜなら、そういう部分は石破総理の『努力(原文ママ)』であり、そういう努力によって、また李大統領と話し合える可能性が出てくるだろう、というのです。完全に上から目線です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・最近、韓国大統領選挙取材のために渡ってきた日本のある政治部記者は「石破と李在明は似たところがある」と話しました。石破は1981年、政界入門以来「非主流の道」だけを歩きました。派閥政治で有名な自民党でめったにない、無派閥にこだわりました。党の顔だった安倍晋三、麻生太郎元首相と、多くの件において対立しました。首相になる前、彼のニックネームは「ミスタークレーマー」でした。李大統領も、城南市長時代から自分が「アウトサイダー」「非主流」政治家だと自称してきました。 2017年1月、著書「イジェミョン、大韓民国革命せよ」で、彼は「しっぽをしっかりと握り、本体と言える韓国社会の民主主義と政治、市民の生活と環境、世界の認識のようなものを変えて改善してみよう。そんな機会は私のようなアウトサイダーや非主流の人にだけ許されるものだ」と言いました。
非主流のイメージを前面に出して高い国民支持率を得て首相にまで上がった石破は就任以来「他の政治家と変わらない」という批判を受けます。非主流の時に見せてくれた所信と苦言はなくなり、普通の政治家の姿しか見せていないということです。「誰よりも所信を強調した石破がいざ首相になると、怖がって体を丸めている」という反応です。やや冷笑的な意味で、李大統領が最近見せた対日基調変化も、「石破に似ている」という言葉が日本から出てきます(※急に柔らかくなった、という意味で)・・
・・(※戦後80年談話で、韓国側が望んでいる表現は出てこないだろう、ということで)そもそも談話を出さず、当時の戦争の原因に対する専門家分析だけ発表するという報道(3月産経・読売新聞など)もあります。この場合、李大統領が望む表現は出てこないでしょうが、石破が当時の日本の「失策」に言及する可能性はあります。執権自民党の保守係でも、このような可能性について緊張していると聞きます。現在、現地政界の状況を考慮した時、石破が(※失策指摘など)最大限の「努力」を見せれば、両首脳間の和合の余地を期待できるという部分です。李大統領と石破首相は15~17日、カナダのアルバータで開かれるG7首脳会議で初対面すると思われます。このような相性が、実際の外交ステージにも現れるかどうかに関心が集まります(朝鮮日報)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。