さて、本題の前にまたちょっと関税の話ですが、米国のベッセント財務長官が、関税猶予期間を延長できると話しました。誠実に協議をしていることを前提にして、延長することもできるのではないか、と。この件、大統領選挙の前から、FTA締結国だし同盟だからという理由で、『特別な待遇』を求める主張がありました。最近のことだと、5月7日複数のメディアによると、韓国の趙兌烈(ジョテヨル)外交部長官が、米国側に「同盟国でFTAも締結している唯一の国」と「大統領選挙を考慮して進めてほしい」という理由で、米韓関税協議においての「特別待遇」と「事実上の延期」(関税免除期間の延長)を要請しました。まだまだ具体的な話はありませんが、李在明政権になってからも「どうしてもだめならそういう可能性もある」という話はありました。
そこで、朝には一部のメディアが「私たちとしては一安心だ」という記事を載せたりしましたが、そのあとにトランプ大統領が「猶予を延長する必要はない」と話しました。トランプ政権内でも意見が合わないのか、それとも「わざと」なのかは分かりませんが。誠実に協議をしていたわけではないけど、一応大統領選挙があったのは事実なので、もし猶予が延長されたら、韓国も延長してもらえるのかどうか、気になるところです。日米の場合は、相変わらずG7サミットでの何かの発表を目指すと言われていますが、どこまで合意に近づいたのか。もうすぐ分かることでしょう。で、ここから本題です。
李在明大統領、本ブログでも出番が増えてきましたが、国内でもシェシェ無双状態です。違法的な空売りについて「そんなことがあってはいけません」と一言したそうですが、その5時間後には金融当局者たちが緊急会議を開いたとか、いろいろです。韓国では、政権交代は「世の中がひっくり返ることである」です。これから、李大統領はどんな活躍(?)を見せてくれるのでしょうか。で、その李政権が始まってから、初の支持率調査データが公開されました。まだ支持率を語るには時期尚早な気もしますが、聯合ニュースなどによると、とりあえず前の政権(尹政権)の同時期の調査と比べてみると、5%p支持率が上がっているそうです。なんと53%です。
特に政党支持率が大幅に動いていて、与党の共に民主党の支持率が大幅アップです。共に民主党が45%、国民の力が23%で、選挙前の調査では9%p差だった支持率が、一気に22%pまで広がりました。ミョンたん大勝利です。前の尹政権と異なるのは、与党が多数党であるという点です。尹政権の場合、政権スタート時には勢いがありましたが、急激に弱くなり、2024年の総選挙で巻き返しに失敗しました。というか、野党の大勝利でした。さて、今回の共に民主党はどうでしょうか。今年はもう大きな選挙はありませんが、来年6月3日には地方選挙(各自治体長などを選ぶ選挙)があります。来年までこの勢いを維持できるなら、国会でも多数党の共に民主党は、さらなる勢力拡大が可能かもしれません。ちなみに、次の国会議員選挙は2028年です。以下、<<~>>で引用してみます。
<<・・李在明大統領の国政遂行を肯定的に評価した割合が50%を超えたという世論調査結果が12日に出た。エンブレインパブリック・ケーススタリサーチ・コリアリサーチ・韓国リサーチの・・・・全国指標調査(NBS)で、「李大統領が仕事を上手にしていると思うか」という質問に「よくやっている」という回答は53%だった。「うまくできていない」という回答は19%、 「わからない/無応答」は28%だった。地域別では「光州/全羅」地域の肯定評価が85%で最も高く、「大田・世宗・忠清」56%、「仁川・京畿」53%などの順だった。大邱/慶北肯定評価は31%で最も低かった。進歩層の82%が肯定評価を、保守層の42%が否定評価をした。中道層では59%が李大統領が国政遂行を「うまくやっている」と評価した。そうでないとする割合は14%だった・・
・・政党の指導では、共に民主党の支持率が45%、国民の力の支持率は23%と集計された。大統領選挙前の先月19~21日に行われた直前の調査結果と比べると、共に民主党の支持は5%ポイント(p)上昇し、国民の力は8%p下落した。両党の支持率差は9%pから22%p差まで広がった・・・・新政権が優先して推進すべき課題が何なのかに関する質問には「民生経済安定と内需回復」と回答した割合が69%で最も多く、「国民統合と政治葛藤解消」(30%)、「関税交渉など外交懸案解決」(29%)、「戒厳事態真相究明」(26%)、「検察・司法改革」(20%)、「不動産対策準備」(14%)などが続いた・・・・現在の国家経済状況に対しては「よくない」という回答が87%で、「良い」という回答は9%だった。6カ月後の経済見通しについては「良くなる」46%、「変わらない」31%、「わるくなる」19%だった(聯合ニュース)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。