G20の国内総生産(1~3月期、実質、前期比)成長率において、20位が韓国(マイナス0.2%)、19位が米国(マイナス0.1%)、18位が日本(0.0%)だというニュースがありました。去年同期比にしても韓国が20位だとかなんとか。1位はインド(2.0%)でした。多くの国の成長率が下ったとのことで、G20平均も0.8%まで下がりました。どこも大変だな・・と思いつつ、中東ではまた大変なことになっているし、某国では「違法」を取り締まるというのになぜか大騒ぎだし、いやなニュースが多すぎる今日この頃です(これらは本題ではありませんが、思うところがあるならコメント欄に書いてください)。そんな中、個人的に「本当に出来たのか」とちょっと驚いた件があります。黄金株とかいろいろ制限はあると聞きますが、本当に日本製鉄がUSスチールを子会社化しました。
収益性(投資資金の回収)はともかく、とにかく象徴性としてはすごいことになった、と言えるでしょう。さっそく韓国の各メディアもこの件を大きく報じています。ほとんどは日本、海外メディアの報道をそのまま流しているだけですが、中には うわあぁパターンも見られます。MBC(14日)はこの件で「日本製鉄の技術力と、USスチールの米国内生産能力が一つになる」「この件で、日本は鉄鋼関税引き下げを要求すつ可能性もある」などと、韓国鉄鋼のピンチだとしています。また、慶北毎日(14日)というローカルメディアは、日本、米国、インドを繋ぐ「鉄鋼のトライアングル」が完成したと報じています。ローカルメディアだからか、他のメディアとはちょっと論調が異なります。以下、各メディアから<<~>>で引用してみます。
<<・・米国鉄鋼産業の象徴とも言えるUSスチールを日本企業が手に握るようになりました。トランプ米大統領の条件付承認で日本製鉄が米国市場で競争力を高めることになりました。主な鉄鋼輸出国の一つである私たちとしては、トランプ大統領就任以後、高い関税を適用された状況で、また緊急の課題が増えました。世界4位造鋼生産能力を持つ日本製鉄は、27位のUSスチールを買収することで世界3位の鉄鋼企業に飛躍することになります・・・・問題は韓国の鉄鋼業界です。自動車と家電製品用の高級鋼材を主に生産するUSスチールと日本製鉄の技術力が結合すれば、米国内の高級鋼材市場での競争はさらに激しくなる見込みです。
【イ・ジェユン産業研究院室長「日本製鉄が持っている技術力とか資本力、そして米国でのUSスチールの生産能力が結合されるなら、韓国輸出を代替する可能性が高まるという点で、脅威的だと・・」】。また、日本政府が今回の買収に関連した対米投資を土台にして、まもなくカナダで開かれるG7首脳会議で米国側に鉄鋼関税緩和を要求する可能性も提起されています。【「ジャンサンシキ韓国貿易協会国際貿易通商研究院長「日本が、米国への投資や今後の協力などを論拠にして、日本が望むもの、すなわち米国の関税を取り除くことに主力をするだろうと思われます」】。専門家たちは、トランプ大統領が「米国内生産と投資強化」という一貫したメッセージを出しているだけに、韓国政府も造船業や半導体、自動車など戦略事業分野で米国が信頼できる同盟であることを積極的に説得しなければならないと助言しました(MBC)・・>>
<<・・日本製鉄が米国鉄鋼USスチール買収手続きを18日(現地時間)に完了する。1年半も続いた交渉にピリオドを打つことで、米国、日本、インドをつなぐグローバル戦略の「鉄鋼トライアングル」が完成したという評価が出ている・・・・日本製鉄は持続可能な成長のために日本、米国、インドを中心に「鉄鋼トライアングル」戦略を推進中だ。インド西部では高炉新設工事を進行中であり、南部では年間700万トン規模の一貫製鉄所(※銑鉄の生産から鋼材の製造まで一連の工程で行う製鉄所)建設を目標に、敷地を確保した。現地生産を通じて関税などのリスクを減らし、価格競争力を確保するという戦略だ。
これと関連し、鉄鋼業界のある専門家は、「昨年基準で日本製鉄が世界鉄鋼生産ランキング4位で USスチールが29位で、両社の統合で順位が3位に上がっても、世界8位のポスコの順位は変動がないだろうが、インドと米国での現地化により、日本製鉄が持つ技術と現地政府の協力は強くなり、私たちの輸出戦略はさらに難しくなる可能性が大きい」とし、「今からでも、政府の積極的な国家競争力の根源である鉄鋼産業に対する体系的な支援政策で、高品質、高付加価値などの技術競争力、品質競争力を高めていくことができる政策的支援が行われなければならない」と主張した(慶北毎日)・・>>
ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。
・皆様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・準新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・既刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・詳しい説明は、固定エントリーをお読みください。・本当にありがとうございます。