韓国で盛り上がっている、李在明大統領の「中国との実用外交」・・「二股をかけるのではなく、橋をかけるのだ」など

韓国では、実用外交の話が盛り上がっています。特に、中国との関係においても実用主義外交をしよう、という話が盛り上がっていますが、読んでみると、表現が変わっただけで、結局は「安米経中(安保は米国、経済は中国に頼る)」となにも変わっていない気もします。韓国日報が、「二股をかけるのではなく、橋をかけるのだ」という題の記事(14日)を載せましたので、そちらを紹介します。韓国では二股をかけるを「両足をかける」と言いますが、足も橋も読み方が「ダリ(多分、固有語)」ですので、こんな書き方になったと思われます。でも、読んでみると「経中しよう」なだけです。

記事にはバランスという言葉がよく出てきます。バランスは良い言葉ですが、盧武鉉政権でこの言葉を使いすぎたためか、この言葉を聞くと「またバランスの話だ日米逃げろー」としか思えません。記事は中国を「戦略的同伴者」としながら(今まで政府が普通に使ってきた表現です)、実用外交というのは、国益という原則を守りながら、決してどちらかに偏ることなくバランスを維持することだ、としていますが・・先も書きましたが、安米経中の話もこんなものでした。いつも思います。「結局は、もっと中国寄りになろうという話であり、それは『中国から見た視点(韓国は米国寄りだから、中国寄りになるのが『バランス』になる)』を採用しているだけではないのか」、と。さて、本ブログでも何度も書いてきましたが、中国資本による、「米国への迂回輸出」も指摘されている今日この頃。以下の引用部分、「それらしい」言葉でいっぱいですが、何一つ、「なるほど」と思えないのはなぜでしょうか。以下、<<~>>で引用してみます。




<<・・韓中首脳の対話(※電話会談)は、形式的には友好的な雰囲気を出しているものの、その裏には米中競争が激化する国際秩序の中で、李在明政権の「実用外交」が荒い海に向かって船を出したことを示している。実際、中国外交部は韓国政府の発表よりも早く通話内容を公開した。中国外交部は「習主席が李大統領に、混乱が絡み合った地域や国際情勢にもっと確実性を吹き込むべきだと強調した」と伝えた。続いて「多国間と自由貿易を共同で維持し、グローバルおよび地域産業およびサプライチェーンの安定性と円滑さを保障しなければならない」と付け加えた。これは激化する米中戦略競争と関税戦争の中で韓国がより明確な立場をとるように、迂回的に圧迫したものと解釈される。

韓国の最大貿易国であり戦略的同伴者である中国との早期のコミュニケーションは、現政府が外交基調としている「実用外交」の最初の歩みとして、意味が大きい。しかし、米中競争の中、韓国外交のバランス感覚はさらに重要なテストを受けることになるだろう。韓米同盟を維持し発展させながらも中国との経済協力を完全には止められない現実の中で(※ここちょっと気になりますが、世界中のだれも「完全に止める」ことまでは考えていないのでは?)、李在明政府の「実用外交」には、原則と柔軟性が同時に求められる。国益中心の外交を推進するが、どちらか片方に過度に傾かずに、自律的外交空間を確保することがカギだ。




このためには、以下の方向設定が必要である。まず、価値と利益のバランスだ。韓国は民主主義など自由主義価値を共有する米国との同盟を基盤とし、中国とは実用的協力を持続できる「二重戦略」を駆使しなければならない。外交で、「選択を強いられる」ではなく「自律的調律」の空間を確保することこそ真の国益外交だ。次に、経済協力の多様化とリスク分散である。サプライチェーンを多様化しながらも、中国との経済関係を安定的に管理できる政策的装置が必要である。例えば、先端技術やデータ関連が重要な産業は米国および友好国と協力を深化するが、消費財・文化・観光など非戦略分野は中国との協力を維持することができる。第三に、中堅国外交ネットワークの積極的な活用である。オーストラリア、インド、ドイツ、フランスなどとの協力を強化し、韓国が単に米中の「サンドイッチ」ではなく、自分だけの外交能力を持つ中堅国として役割を遂行しなければならない。

これは、米国のいずれにも依存しない実質的な外交資産になる可能性がある。イ・ジェミョン政権が推進する実用外交は「両足をかける外交」ではなく、「橋をかける外交」でなければならない。韓中関係は韓米同盟と衝突するのではなく相互補完的に設計することができ、その中心には国益を基準にした明確な外交戦略が位置しなければならない。今回の韓中首脳間の最初の通話が、相互信頼のスタート時点だったなら、今は、その信頼に基づいて複雑な国際情勢の中でも揺れない戦略的外交を繰り広げなければならない時である(韓国日報)・・>>




ここからはいつもの告知ですが、新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。<THE NEW KOREA(ザ・ニューコリア)>という1926年の本で、当時の朝鮮半島の経済・社会発展を米国の行政学者が客観的に記録した本です。著者アレン・アイルランドは、国の発展を語るには「正しいかどうか」ではなく、ただ冷静に、データからアプローチすべきだと主張し、この本を残しました。どんな記録なのか、「正しい」が乱立している今を生きる私たちに、新しい示唆するものはないのか。自分なりの注釈とともに、頑張って訳しました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

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  ・様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2025年3月2日)<THE NEW KOREA>です。1920年代、朝鮮半島で行われた大規模な社会・経済改革の記録です。原書は1926年のものです。 ・新刊は、<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。 ・刊として、<Z世代の闇>も発売中です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。 ・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。